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斡旋利得の疑惑をかけられて辞任した甘利明は日本社会を巨大資本に贈呈する作業の中心的な役割
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201601290000/
2016.01.29 19:38:15 櫻井ジャーナル
経済再生担当大臣だった甘利明の辞任が話題になっているようだ。UR(独立行政法人都市再生機構)の道路用地買収をめぐるトラブルに甘利大臣の秘書が介入し、補償金としてURに2億2000万円を建設会社へ支払わせ、その謝礼として500万円を受領、URと業者の産業廃棄物処理をめぐるトラブルでは別の秘書が環境省の課長やURの担当者と面談、国交省の局長に対する「口利き」の経費などと称して合計600万円以上を受領したとされている。この話が事実なら「絵に描いたようなあっせん利得」になると弁護士で元検事の郷原信郎(http://urx3.nu/rLZf)は指摘している。
安倍晋三政権が推進してきた「アベノミクス」、TPP(環太平洋連携協定)、消費税率のアップなどで甘利大臣は中心的な役割を果たしてきた。その点を強調し、甘利擁護論を展開するマスコミ人もいるようだが、そうした政策の実態は日本社会の破壊にほかならない。
いわゆる第2次安倍内閣で推進されているアベノミクスは「大胆な金融緩和」が軸。その方針に基づき、日銀の黒田東彦総裁は「量的・質的金融緩和(異次元金融緩和)」を推進してきた。ETF(上場投資信託)買いで相場を押し上げ、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)に株式の運用比率を倍増させるということもしている。つまり政府/日銀による仕手戦。
1970年代から始まった金融規制の緩和やオフショア市場ネットワークの拡大で投機システムは整備され、資金は投機市場へ流れていく。「カネの世界」のバブルが膨らみ、庶民が生活する「モノの世界」では経済が縮小するのは必然だ。
今のような投機システムが存在しなかった19世紀にも不公正な手段で先住民や国民の財産を手に入れ、巨万の富を築いた人たちがアメリカにはいた。いわゆる「泥棒男爵」である。ジョン・D・ロックフェラー、J・P・モルガン、アンドリュー・カーネギー、エドワード・ヘンリー・ハリマン、アンドリュー・W・メロンなどが含まれている。
こうした人々は手にした富を実業の世界に投入、生産活動の基盤を築き、結果として工業を盛んにすることになるのだが、それはそうせざるをえなかったからだ。フリードリッヒ・ハイエクやミルトン・フリードマンを理論的な支柱とする「自由主義経済」が世界的に広がると、生産活動に資金を投入する必要がなくなった。富豪たち、つまり資本家はカネ儲けが目的で、そこに商品を介在させる必要はなく、金融が肥大化し、「カジノ経済」と呼ばれるような状況になる。
投機市場の肥大化は現実の社会を破壊し、貧富の差を拡大させることになる。ある時点で庶民もそうした実態に気づき、何らかの行動を起こすことが予想される。そこで、庶民の動向を監視、そうした人びとの怒りを体制へ反映させる仕組みを壊し、念のため反乱にも備えておく必要がある。民主主義的なシステムの破壊だ。
2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターやワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された後、アメリカでは国内のファシズム化と国外での侵略が推進される。日本も同じ道を進んできた。
その結果、庶民の実質賃金は下がり続け、円安や消費税の税率引き上げで庶民の生活は苦しくなり、福祉政策の水準は引き下げられ、特定秘密保護法で支配層の犯罪的行為がばれることを防ぐ体制を作り、集団的自衛権で自衛隊をアメリカ軍の下請けにするだけでなく、TPPの導入で政府や議会を無力化しようとしている。
TPPで最大の問題はISDS(国家投資家紛争処理)条項にある。この条項によって巨大資本が国を支配する体制ができあがり、参加国はボリス・エリツィン時代のロシアのようになるだろう。当時のロシアは「規制緩和」や「私有化」で国民の資産が政府の腐敗勢力と結びついた一部の人びとによって略奪され、巨万の富を築いた人びとは「オリガルヒ」と呼ばれるようになった。オリガルヒは犯罪組織のフロント企業のような会社を拠点にして「ビジネス」を展開、ロシア政府はオリガルヒに支配された。庶民の貧困化は深刻になり、街は荒廃、街には売春婦が急増してロシアは破綻国家になる。
TPPが成立したなら、直接的な生産活動やサービスのルール、労働条件、環境汚染、食糧の安全などに関する規制、あるいは健康保険や年金など社会保障の仕組みを最終的に決めるのは巨大資本になる。政府、国会、裁判所はその支配下に置かれ、形式的にも民主主義は終わる。
西側では選挙という形式が存在しているかどうかで民主的かどうかが議論される。そうした意味では日本もアメリカも民主主義国家ということになるのだろうが、その実態が知られるようになっている現在、説得力はない。
アメリカで進行中の大統領選挙も無惨なもので、ワッハーブ派/サラフ主義者を中心とする武装勢力を生み出したズビグネフ・ブレジンスキー(https://twitter.com/zbig/status/692708950387486720)は「アメリカの民主主義にとって地球規模の不名誉」だと表現している。まだアメリカが民主主義国家だと言いたいのだろう。
しかし、ブレジンスキーとデイビッド・ロックフェラーが1973年から目にかけ、大統領にしたジミー・カーター(https://www.youtube.com/watch?t=16&v=hDsPWmioSHg)は違った見方をしている。巨大資本や外国人が際限なく政治家に寄付できるという判決は「政治システムにおいてアメリカを偉大な国にしていた本質を壊した」と主張、大統領候補や大統領だけでなく、知事や議員を際限なく政治的に買収する寡頭政治にしたとしている。民主国家ではないということだ。
大企業の活動を規制し、労働者の権利を拡大しようとしたフランクリン・ルーズベルトは1938年4月29日、ファシズムについて次のように定義している。
「もし、私的権力が自分たちの民主的国家より強くなるまで強大化することを人びとが許すなら、民主主義の権利は危うくなる。本質的に、個人、あるいは私的権力をコントロールするグループ、あるいはそれに類する何らかの存在による政府の所有こそがファシズムだ。」
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