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甘利大臣辞任で幕引き!?「『あっせん利得罪』の可能性もあり、議員の資格も問われるはず」と神戸学院大・上脇教授が指摘!安倍政権「4トップ」の一角が陥落で「ドミノ倒し」開始の可能性も!?
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/284806
2016年1月28日 IWJ Independent Web Journal
「週刊文春」誌上で「政治とカネ」を巡る疑惑が報じられていた甘利明経済再生担当大臣。甘利氏は2016年1月28日の夕方5時から1時間あまり内閣府で記者会見し、2013年11月と2014年2月の2回にわたり、建設会社の社長と担当者からそれぞれ現金50万円を自分自身が受け取った事実を認め、大臣を本日辞任する意向を明らかにした。
2月4日に出席が予定されていたTPPの調印式には出席しないことが決まった。
▲辞任会見する甘利明経済再生担当大臣(2016年1月28日)
甘利氏は、2013年8月に神奈川県大和市の自らの事務所で、秘書が建設会社の関係者と面会し、現金500万円を受け取ったことを認めたうえで、このうち200万円は政治資金規正法にのっとり、適切に会計処理したものの、残り300万円を秘書が私的に使ったと説明した。
甘利氏は会見の中で、時折涙を浮かべながら、「閣僚としての責務、および政治家としての矜持に鑑み、本日ここに閣僚の職を辞することにした」と発言。自身が担当していたTPPについて記者から聞かれると、「(2月4日の)署名式には、正直出たかった」と悔しさを滲ませた。
「この一週間、報道された事案の真の内容を知れば知るほど、一体なぜこんなことが起こったのか、自問を繰り返す日々が続いた。同時に、なぜ秘書は自分に報告・相談をしてくれなかったのか、忙しすぎて地元に目が向かなかったことが原因かなどと、深い悔恨の思いが澱のように溜まってきた」
秘書の責任を強調した甘利氏は、「一介の秘書ではなく、よりによって地元事務所長という事務所を統括する立場の人間がその道を外れてしまったこと、いやそれ以上に、そうした事態に至っていることをおよそ報道されるまで見逃してしまった自分自身を責めた」と、適切な会計処理をしなかった責任は自分ではなく、秘書にあり、自分の責任はあくまで「間接的」なものにとどまると主張した。
■大臣辞任で幕引き?神戸学院大学法学部・上脇博之教授は「『あっせん利得罪』の可能性も十分にあり、議員の資格も問われるはず」と指摘
今回の甘利大臣辞任を受け、IWJは神戸学院大学法学部・上脇博之教授に話を聞いた。上脇教授は、「政治とカネ」問題を監視し、悪質な場合は告発する「政治資金オンブズマン」の共同代表で、安保法案に賛成した議員を対象に落選運動を展開する「落選運動を支援する会」の呼びかけ人も務めている。
上脇教授は甘利氏が、自分自身で50万円を2回、受け取った事実も認め、辞任の判断をした報を受け、「びっくりしました。前日から『“自身の授受”否定へ』と流れていたし、安倍総理も続投させる意向を示していましたから、甘利氏と総理の間で話しができていると思っていました。本人が『もうだめだ』と思ったのではないでしょうか」との見方を示した。
そのうえで、「甘利氏は、事実をすべて認めたわけではない」と指摘。「この件は、間接的に『政治資金規正法違反』が成り立つと思いますが、できるだけ自分には責任がない、知らないかのように話している印象です。そこにはやはり嘘が入っているように思えますね」と疑問を呈した。
涙の会見。金は受け取ったのは事実だと、潔く認める姿勢。そして責任をとっての大臣辞任。こうした会見を開いて辞任を発表することで、説明責任を果たしたと、言いつのるつもりなのだろう。
しかし、上脇教授の厳しい指摘を待つまでもなく、「大臣辞任」という幕引きで問題はすむのだろうか。甘利氏は辞任会見で、「国会議員として、秘書の監督責任、閣僚としての責務、および政治家としての矜持に鑑み、本日ここに閣僚の職を辞することを決断した」と述べており、大臣辞任の必要性を認めたものの、議員辞職の可能性には言及していない。
これについて上脇教授は、「『あっせん利得罪』の可能性も十分にあるので、議員としての資格が問われるはずです」と断言。市民オンブズマンで告発する可能性もあるとし、「大臣辞任だけでなく、議員辞職まで必要だと思いますが、それをせずに居座るのか、それとも秘書の説明をしてから議員を辞めるのか、注視が必要です」と話した。
■「企業が何か相談すると、議員がたかる」がパターン化か!? 甘利氏のケースは「氷山の一角」の可能性も!
こうした「政治とカネ」の問題は、甘利大臣のみの「失態」なのだろうか。
「甘利氏の収支報告書は、議員の中でも比較的『分厚い』んです。それに応じた企業献金があるということ。『企業が何か相談すると、議員がたかる』というのがパターン化していれば、他の大臣や議員にも同様のケースはあるのかもしれません。そういう意味で、甘利氏のケースは『氷山の一角』の可能性もありますが、断定はできません」
週刊文春のスクープ記事を受け、自民党は援護射撃に出た。菅義偉官房長官はオフレコ取材に、「(告発者は)その筋の人らしいね」などと告発の信頼性の失墜を狙うかのような問題発言。高村正彦副総裁は「罠を仕掛けられた感がある」と「金銭の授受」という根本的な問題から論点をずらし、甘利大臣本人も「先方は最初から隠し録音をし、写真を撮ることを目的とした人たち」と責任転嫁を図った。こうした責任回避の言動に、上脇氏の見方は厳しい。
「28日付の文春によると、今回、告発した『S社』の総務担当者は甘利氏の親父さんのときからの付き合いだそうで、ずっと以前から甘利氏に相談ごとを持ちかけていたそうです。よって、『ハメる』ようなおかしな人だったら、前から知っているはずでしょう。『ハメられた』といいますが、持ちつ持たれつの関係だったのではないかと想像します。いずれにしても甘利氏本人の責任であって、『ハメられた』というのは卑劣です」
■安倍政権の「4トップ」の一角が陥落!ドミノ倒しの可能性も!
安倍総理は辞任会見前日、1月27日の参院本会議で、甘利大臣の進退について、「経済再生、TPPをはじめとする重要な職務に引き続きまい進してもらいたい」と述べ、続投させる意向を明らかにしていた。まだ甘利大臣が調査結果を公表する以前、つまり甘利大臣の身が潔白か否かの判断もできていない段階で、「甘利大臣は辞任する必要はない」という甘い認識を示していたのだ。
上脇教授は、「甘利氏はTPPも担当しており、安倍政権の維持には甘利抜きには語れない、とも言われています」と述べ、安倍政権における甘利氏の「役割」の重要性について、次の見解を述べた。
「安倍政権では、安倍、菅、麻生、そして甘利の4人が重要な政権のポストを占めているとの見方もあります。そういう意味では、4人のうちひとりが欠けるのは、政権の今後にもつながる。安倍総理は甘利氏の責任問題よりも、安倍政権の維持を優先し、続投を求めたのではないでしょうか。もし甘利氏が辞任すれば、他の大臣までドミノ倒しになることも懸念したのでしょう」
現在、上脇教授ら「落選運動を支援する会」は、やはり違法な「政治とカネ」の疑いがあるとして、島尻安伊子・沖縄担当相を刑事告発している。
・2015/12/04 普天間「県外移設」の公約破棄だけではない!裏金作り?カレンダー配布?偏向ラジオ放送!?沖縄担当相の島尻安伊子参議院議員に浮かび上がった疑惑の数々!ついに刑事告発される!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/277484
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甘利氏の後任には、石原伸晃元環境相の起用が決定した。石原氏は環境相時代に、福島第一原発で出た汚染土を保管する中間貯蔵施設建設をめぐり、「最後は金目でしょ」などと発言し、批判を集めた過去がある。
金の問題で辞任した大臣の後釜が、「金目」発言の元大臣。自民党に、金にきれいな、クリーンな人材はいないものか。八百屋で魚を求めるような、ハナから無理、無茶な要求なのだろうか。石原氏に、日本の経済、特にTPPのような、国のかたちを大きく変える重大なテーマの担当大臣がつとまるのか、我々としてはひとまず、注視するほかはない。
(文責:岩上安身 記事:平山茂樹 取材・記事:原佑介)
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