2016.1.25 05:02 【主張】 宜野湾市長再選 基地移設を着実に進めよ http://www.sankei.com/column/news/160125/clm1601250002-n1.html 米軍普天間飛行場を抱える沖縄県宜野湾市長選で、与党が支援する現職の佐喜真淳氏が再選を果たした。 佐喜真氏が普天間の危険性除去を主張し、名護市辺野古への移設を否定しなかったのに対し、対立候補は移設に反対していた。 危険性除去には、辺野古移設がより現実的だという判断が示された結果といえよう。 もとより、日本の平和と安全を守る安全保障政策は、地方自治体ではなく国が担う。 辺野古移設は日米両政府が交わした重い約束事である。日米同盟の抑止力を保つためにも、政府には引き続き移設を着実に進めてもらいたい。 敗れた志村恵一郎氏は「県内移設によらない飛行場の閉鎖、返還を求める」と訴えていた。 結果次第で辺野古移設がより困難になることも予想されただけに、佐喜真氏が勝利した意味は小さくない。 最近の沖縄では、知事選、名護市長選、衆院選4選挙区で、いずれも移設反対派が当選した。翁長雄志(おなが・たけし)知事は、これが「沖縄の民意」だと主張し、移設再考を政府に迫っている。 直ちに状況が好転するわけではないが、政府は、志村氏を支援した翁長氏ら反対派に移設の重要性を粘り強く説得するなど、これまで以上に建設促進に向けて積極的に動いてほしい。 尖閣諸島(石垣市)を抱える沖縄は国の守りの最前線である。とくに、北東アジアをめぐる日本の安保環境が一段と厳しさを増している現状を直視すべきだ。 今年に入り、尖閣諸島周辺で機関砲を搭載した中国海警局の公船が確認された。中国は南シナ海でも国際法を無視した一方的な現状変更を図ろうとしており、その備えを万全にするのは当然だ。 米空軍は「世界最強」と評されるF22戦闘機を横田基地に飛来させ、核実験を行った北朝鮮も牽制(けんせい)している。 これらを踏まえた同盟の強化は喫緊の課題といえる。 日米両政府による普天間返還合意から20年がたつ。集団的自衛権の限定行使を可能とする安保関連法制が整った今、抑止力の実効性をさらに高める辺野古移設の戦略的な重要性は極めて大きい。これ以上、移設計画が遅れることは許されない。 宜野湾市長再選 「普天間固定」を避ける一歩に 2016年01月25日 03時01分 http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20160125-OYT1T50004.html 米軍普天間飛行場の危険性の早期除去という移設問題の「原点」について、多くの市民が再認識した結果ではないか。 沖縄県宜野湾市長選で現職の佐喜真淳氏が、移設反対派が推す元県職員の志村恵一郎氏を破り、再選された。佐喜真氏は、辺野古移設を進める自民、公明両党の推薦を受けていた。 2014年の名護市長選と沖縄県知事選で移設反対派が勝利した流れを止めたものだ。推進派の反転攻勢の足がかりとなろう。 佐喜真氏は、自公両党の支持層を固め、無党派層にも浸透した。前回の市長選では「県外移設」を唱えたが、今回は、移設先には言及せずに、移設を実現する必要性を誠実かつ真剣に訴えた。 普天間飛行場の固定化を避けるには、やはり辺野古移設が現実的な近道だ、との受け止めが市民に広がったのは間違いあるまい。 政府が基地負担軽減に積極的に取り組んだことも功を奏した。 普天間飛行場東側の土地の返還前倒しにより、交通渋滞を解消する市道整備に道筋を付けた。飛行場返還後の跡地にディズニーリゾートを誘致する構想も、若者らの支持につながったとされる。 志村氏は、翁長雄志知事と二人三脚で、「3年で普天間飛行場の運用停止の実現」という空疎な主張を繰り返すだけだった。これでは、市民の支持を広げることに限界があるのは当然だ。 政府は引き続き、より多くの県民の理解を得る努力を尽くしながら、辺野古移設の作業を着実に進めなければならない。 翁長氏はなお、徹底抗戦の構えだ。自らの埋め立て承認取り消しに関する国土交通相との対立を巡り、総務省の国地方係争処理委員会の却下判断を不服とし、高裁支部に新たな訴訟を起こす。 だが、具体的な解決案を示さずに、国との対決姿勢を強めるだけの翁長氏の硬直的な手法については、県内でも、保守系を中心に冷ややかな声が高まりつつある。 翁長氏は、県民の基地負担軽減には何が有効かを再考し、現実的な対応をとるべきだろう。 理解できないのは民主党の対応だ。沖縄県連が志村氏支援に回り、枝野幹事長は「多くの党国会議員が(志村氏に)頑張ってもらいたいという思いだ」と述べた。 移設問題がここまで迷走した原因は、民主党政権が「最低でも県外」と訴え、反対派を煽(あおっ)たことにある。辺野古移設を党方針と決めたのに、安易に再び反対に回るのは、無責任に過ぎよう。 2016.1.25 05:30 【宜野湾市長再選】 移設反対派、共産党含む「オール沖縄」戦略が裏目に…参院選での野党共闘に暗雲 http://www.sankei.com/politics/news/160125/plt1601250009-n1.html 沖縄県宜野湾市長選で当選を決め、支援者と万歳する佐喜真淳氏(前列左から2人目)=24日夜 宜野湾市長選で共産党などの野党が支援した辺野古移設反対派の新人候補が敗れ、衆院選、知事選などで続いた野党側の「オール沖縄」の勢いにストップがかかった。共産党は昨年11月の府知事・市長の「大阪ダブル選」でも自民党候補を支援して完敗。全国的に注目された地方選で共産党と連携した勢力の敗退が相次いでおり、夏の参院選に向けた野党共闘に暗雲が漂うことになりそうだ。 共産党の山下芳生書記局長は24日、産経新聞の取材に「大変残念だ」とした上で、「政府はこの選挙結果をもって移設を民意とすべきではない。6月の沖縄県議選、夏の参院選でオール沖縄勢力の勝利に奮闘する」と述べ、移設反対に向けた戦いの継続に決意を示した。 ただ、今回の市長選を「オール沖縄の声をオールジャパンの声に」(志位和夫委員長)と訴えてきた共産党にとって、移設反対派が敗北した影響は大きい。同党は新人を当選させ、野党共闘の実績として参院選の選挙協力を加速させたい考えだった。 「オール沖縄」は平成26年12月の衆院選で野党が掲げたスローガン。県内4選挙区全てで野党候補を一本化したことで、自民党候補に勝利した。26年11月の県知事選でも翁長雄志氏を当選させる原動力となった。 特に共産党や社民党は今回の市長選でこの構図の再現を目指し、参院選の1人区の候補者調整の協議にすら入れていない民主党との共闘の機運を高める狙いがあった。 ただ、野党間の足並みは選挙中もそろわなかった。政権時代に「県外移設」を打ち出しながら、迷走の末に県内移設を容認した民主党の岡田克也代表は22日の記者会見で「新たな移転先が見つからないまま『現在のプランがだめだ』というのは、鳩山由紀夫政権と同じ過ちを犯すことになる」と語り、党本部として市長選に関与しない姿勢を重ねて示していた。 民主、共産両党間の参院選の協議が暗礁に乗り上げる中、今回の「オール沖縄」の敗北がさらなる試練となるのは間違いない。
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