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JAバンクの頂点にあるのが農林中金【PHOTO】gettyimages
小泉進次郎の「農林中金不要論」の真意 このままではニッポンの農業は復活しない
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47519
2016年01月24日(日) 井上久男「ニュースの深層」 現代ビジネス
■「書いたら訴える」
「農林中金の貸し出し残高のうち農業に回っているのは0.1%。だとしたら要らない」
小泉進次郎・自民党農林部会長が1月13日、茨城県内の農業関連の施設を視察した際に放ったこの一言が、波紋を呼んでいる。この指摘は、父親譲りとも言うべきか、単純明快に今の日本の農業の課題を言い当てていると感じる。
小泉氏の指摘がどういうことか簡潔に説明しよう。
農林中金は農協金融(JAバンク)の頂点にある組織である。全国の農家は農協に口座を持っており、普段の決済に活用したり、預金したりしている。全国の農協の窓口に集まった金は、各県単位にある「信用農業協同組合連合会(県信連)」経由で農林中金に吸い上げられる。
そして農林中金は、農家から吸い上げた資金や市場から調達した資金をリスクマネーに投資する。海外からは農林中金は「日本最大級の投資ファンド」と見られている。小泉氏が指摘するように、農家にはほとんどのお金を貸していないのだ。
しかし、サブプライム問題で世界の金融市場が大揺れに揺れた際に農林中金も大きな打撃を受け、自己資本が欠損。1兆円を超える増資を行ったが、その増資に応じたのが「県信連」である。これは、農家にはお金を貸していないのに、自分のところが困ったら、農家に支援を求める「勝手な振る舞い」と言える。
実は7年ほど前、こうした問題を筆者が指摘しようとしたら、「書いたら訴える」と農林中金広報から電話がかかって来た。
その内容は「うちはサブプライムローンにはほとんど投資しておらず、他の株式や債券の投資で失敗したので、サブプライムとは書くな」というものだった。このほかにも、「うちの職員は農家を歩き回って融資している」など嘘八百を並べた説明もした。広報の対応を見るだけで、この組織が”腐敗”していることも分かった。
■JRが農業を支援?
筆者は経済記者として度々農業の現場に取材に出向くことが多い。新しいビジネスモデルを構築し、雇用も創出している戦略的な農家ほど資金需要が旺盛だ。しかし、こうした農家に対して、農林中金から金は流れてこない。やる気のある農家は、自身でビジネスプランを書いて、銀行や地元の信用金庫から借りる流れが強まっている。
こうした流れを支援する動きも出ている。JR西日本は1月21日、ともに関西圏に地盤を持つ、池田泉州銀行とみなと銀行と提携して、農業の生産性と競争力の向上を推進していくと発表した。両行が農家に資金提供しやすく狙いもある。
おや、なぜJR?と思う読者もいるだろう。JR西日本は、沿線経済の活性化のために、農業の発展は不可欠と見ているからだ。沿線経済が活性化すれば利用客も自然と増えるということだろう。
しかし、JR西日本自身には農業経営に関するノウハウはない。このため、2014年、農業コンサルティングなどを行う「ファーム・アライアンス・マネジメント」(本社・東京、松本武社長)に資本参加して筆頭株主となり、農業分野に進出した。今回の提携はファーム・アライアンス・マネジメント社が、両行に対して農業経営のアドバイスなどを送ることで、農家に資金提供しやすくしていく。
松本武社長は、熊本県内で大規模に野菜を栽培している実家の「松本農園」出身。ベンチャー企業として、ファーム・アライアンス・マネジメント社を設立、東京に進出した。松本農園時代は、「畑が見える農園」として知られ、農業経営のIT・合理化や消費者に対する情報開示を徹底的に進めた。
このため、企業の農業進出に興味がある日本経団連が視察に来たほどだ。特に、農産物の安全・品質管理を得意とし、これを「武器」に市場拡大を果たしてきた。欧州を中心に世界100カ国以上に普及している国際的な認証規格「グローバルGAP(適正農業規範)」をいち早く日本で取得、ファーム・アライアンス・マネジメントはこの取得ノウハウなどを指導する会社でもある。
■避けて通れない課題
政府は地方創生を重要視しているが、地方経済を支える産業の一つが農業である。農業と言えば補助金頼みの負のイメージもあるが、将来を見据えた戦略的農家ほど補助金を当てにした経営をしていない。
しかし、農業も経営である以上、人を雇い、資材を購入し、設備投資もやっていかなければならず、資金需要は旺盛だ。こうした農業に、農林中金から金が流れていないのである。
さらに農協金融に関していえば、JAバンクは、保険事業(共済)や自動車ローンなども展開し、これが大きな収益源となっている。お客は、農家以外も大歓迎で、テレビCMも大々的に行っている。農協経営者の中には「共済とローンだけをやっていろ」と言う人たちもいる。農産品の販売拡大、新しい栽培指導など営農支援は後回しになっているケースもある。
農協金融のあり方をどう再構築していくのか、地方創生を真剣に進めていくとすれば、避けて通れない課題ではないだろうか。
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