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待機児童が増えたのは「働く母」が増えたからじゃない! 白熱の質疑応答で暴かれた安倍総理の「ウソ」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47410
2016年01月19日(火) 古賀 茂明 現代ビジネス
月13日の衆議院予算委員会での山尾志桜里議員の質疑は、待機児童の増加原因について、安倍総理と国民の感覚のズレを根本から切り崩す重要な指摘だった。果たしてどんなズレがあるのか、その質疑内容を振り返りながら、待機児童についての政府の認識、またマスコミや一般国民の大きな思い違いについてを改めて見直していく。
本記事は現代ビジネスが配信するメルマガ「古賀茂明「改革はするが戦争はしない」フォーラム4』の記事の一部抜粋です。
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久々に聞き応えのある質疑があった。野党がしっかりした質問をすれば、こんなに安倍総理を追い詰めることができるということを見せつけた。
しかも、単なる言葉の問題ではなく、待機児童に関する政府全体としての認識に問題があり、マスコミや一般国民も大きな思い違いをさせられていたということを明らかにするとても面白い質疑だった。
ニュースでも取り上げられたが、ごく一部だけしか伝えられていないので、今回は、少し長めに引用したい。これも、皆さんが、国会中継を見ているつもりで読んでいただけたらと思う。もし、お時間があれば、36分ほどなので、是非ネットで見て欲しい。(衆議院インターネット審議中継:http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=45450&media_type=wb)
1月13日の衆議院予算委員会の山尾志桜里議員と安倍総理の質疑。待機児童の部分を抜粋しながら解説したい。
山尾志桜里議員(以下山尾): 「待機児童の数は、2010年から2014年まで、連続して減ってました。2015年は、増えちゃったんです。21,371人から23,167人です。
待機児童ゼロに強い決意を持つ総理は、何故、去年待機児童が増加になってしまったのかという、原因について当然お考えになっていると思いますが、去年の11月、総理は読売国際経済懇話会でこう説明しています。
『今年待機児童は前年より増えてしまった。安倍政権発足以来、女性の就業者が90万人以上増えたから、無理もないことであります。』この認識にお変わりはないですか」。
安倍総理(以下総理): 「女性の就業率の上昇などを背景に、女性が活躍できる環境の整備と景気が回復していることによって、働く場が増えていくわけであります。待機児童は増えています。そのため、…(子育て政策の説明)…のような政策を進めています」。
山尾: 「違う違う。(待機児童増加の)原因は、女性の就業者が90万人増えたと言っているが、その認識が変わっていないのかと聞いている」。
総理: 「今言ったとおり、女性の就業率の上昇などを背景に……」。
山尾: 「違う違う。今、総理は就業『率』と言っているが、去年、女性の就業『者』が増えたからと言っている。そこに変わりはないのかを聞いている」。
総理: 「就業者が増えていくことによって就業率も増えていったということであります」。
このあたりまで来ると、普通は、何故こんな細かいことにこだわるんだろうという疑問を感じるはずだ。
待機児童が増えたのは女性の働く人の数が増えたからだと、去年から政府はずっといい続けてきた。それをマスコミも鵜呑みにして報道してきた。その説明は一見説得力がある。その説明を前提にすれば、これは過渡的な現象である、というように感じる。
それについては、今まで大きな議論になったことはなかった。ところが、山尾議員は、ここで議論を仕掛けようとしている。どうしてだろう。何かくだらない揚げ足取りがまた始まるのかな。そんな雰囲気で、与党議員も含めて議場は静かになった。みんな次の山尾議員の言葉を待ったのだ。
■子育て世代の年齢分布は見てもいない?
山尾: 「しかしね、総理、25歳から44歳の働く女性の数の推移を見るとですね、2010年から2015年にかけて、この6年間ほぼ横ばいなんです」。
ここで、議場が静まり返る。意外な話だ。25歳から44歳といえば、子育て世代だ。その世代で働く女性が増えてないというのか。それじゃあ、働く女性が増えたから待機児童が増えたという今までの政府の説明は、全く意味をなさないじゃないか、と誰もが思う。自民党側に「まずいんじゃないか」という雰囲気が広がる。
山尾: 「しかも、(25歳から44歳の働く女性の数が)2014年から15年にかけては、減っているんです。2014年は1141万、2015年は1131万。この6年で、下が大体1129万人、上が1141万人。この間で大体横ばい状態なんです。
25歳から44歳というのは、保育園に子どもを預けている大体ママの年齢層なんです。そこは女性の就業者数はほとんど増減がないんです。だから待機児童の増減とは、どう考えても原因と結果の関係にならないんです。総理いかがですか」。
安倍総理は、ようやくまずいということに気づいたようだが、もはや手遅れ。しどろもどろになって逃げるしかなかった。
総理: 「そこのところで、事前にですね、この質問通告が正確な数について、今、ご指摘がないので、ただちには答えられませんが、それは、後ほど調べてですね、お答えさせていただきたいと思います。
全体としては90万に増えたということはお答えさせていただいたわけですが、年齢分布については、今ご指摘がありましたので、調査をしてみたいと思います」。
これは、実は大問題だ。子育て世代の就業者が減っているのに待機児童が増加した。しかも、そのような重要な統計を政府が把握していなかったということになる。
外部の講演での発言という形で取り上げられたが、総理が外部で講演するときは、その原稿は官邸の官僚が作る。その原稿に、待機児童が増えたのは女性就業者が増えたからだと書いてあったので、昨年の読売の講演会で総理がそうしゃべってしまったのである。
もちろん、内閣府や厚労省の専門家たちは事実を知っていたはずだ。官邸が知らなかったということなのだろうか。いずれにしても、そんないい加減な発言を誰も訂正できない、そういう雰囲気が官邸周辺にあるということがわかる。
世代別の就業者という統計は、何もそんなに特別なものではない。総理は、「調査する」と言ったが、調査など必要ない。いつでも見られる形で発表されているのだ。私もこの統計はよく見ている。(総務省統計局:http://www.stat.go.jp/data/roudou/longtime/03roudou.htm)
それを官邸のブレーンと言われる人たちが見ていなかったのか。あるいは、わかりやすくて都合の良い数字だけを使うというやり方が定着してしまった安倍政権では、もはや嘘でもインチキでも誰も何とも思わなくなってしまったのだろうか。
その後は山尾議員が学校の先生のように安倍総理に諭すような調子で問いかける。
■働く親は切実な悲鳴をあげている
山尾: 「年齢分布見ないで、子ども預けてるお母さんたちの分布見ないで、何でこんなことが言えるんですか」。
そして、安倍総理の恥をさらすまずい材料が出てくる。
山尾: 「安倍総理は講演でこう言った。『今年待機児童が増えてしまった。安倍政権発足後90万人女性の就業者が増えてたので無理もないことであります。』それに続けて、『その意味で嬉しい悲鳴ではあるのですが、待機児童ゼロは必ず成し遂げなければなりません。』今、総理、どこが悪いと思ったかもしれません。
私はすごい気になりましたよ。待機児童が増えて無理もない、嬉しい悲鳴だと。また、揚げ足取りをするのかと、もしかしたらおっしゃるのかもしれない。でも、これ、本当に、(一瞬沈黙) 私も5歳の息子を預けながら、働いてる母親です。
でも、私よりももっともっと大変な状況で、働いて、子ども育ててるお母さんはいっぱいいます。子どもが保育園に入れないっていうのは、本当に子育て世代とか働く母親にとって、心の底からの悲鳴なんです。嬉しい悲鳴なんかじゃないんですよ。
ホントに感覚がずれてるので、しっかり、このずれをあらためていただいて、責任のある子育て政策を実行していただきたいし、そのためにまずは、この年齢分布、しっかり認識していただきたいと思います」。
山尾議員自身子育てママなので、おそらく、保育園に入れなくて困っている周りのママ友のことが頭をよぎったのだろう。一瞬言葉に詰まるような場面もあった。普段と違い、議場は真剣に聞いている議員が多い。
グーの音もでないとはこのことだ。安倍総理の完敗。しかも、単なる嫌がらせではない。待機児童が増えたのはどうしてかという疑問を根本から問い直す、とても良い質問だ。
この後、質問は、単に保育所を増やしてもダメ、問題は人、そのためには資格試験の回数を増やすとかいう小手先のことだけではダメで、保育士の待遇改善が不可欠だという議論に入る。さらに、そのための予算を削ることはないのか。とりわけ、軽減税率の財源として削減することはないのか、という議論が続いた。
安倍総理は最後まで苦しい答弁を続けなければならなかった。
質問のはじめに、重要な統計的な事実を使って、安倍政権の嘘を暴露したことが大きな力になっていたのが印象的だった。久しぶりに良い質疑を見せてもらった。
古賀茂明「改革はするが戦争はしない」フォーラム4(2016年1月15日配信)より
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