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自主検閲が徹底している日本では支配層の検閲は必要なかったが、状況の急速な悪化で検閲を強化
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2016.01.19 00:30:47 櫻井ジャーナル
安倍晋三政権は情報統制に熱心で、本人たちが事実を見たがらないだけでなく、国民が事実を知ることも嫌う。現実から逃避し、妄想の世界にどっぷり浸かるという点は旧日本軍の作戦参謀やネオコン/シオニストと似ている。
その妄想を生み出すのは信仰であったり、イデオロギーであったり、欲望であったりするのだが、ともかく安倍晋三もそうした妄想の世界に生きているひとりであり、見たくない事実を突きつけられると怒りの感情が吹き出すようだ。
2001年1月30日にNHKは「女性国際戦犯法廷」を題材にしたETV特集「問われる戦時性暴力」を放送したのだが、元従軍慰安婦の証言シーンがわずかしかなく、日本軍の行為について法廷が下した結論にも触れていない。44分枠の番組が40分に短縮されていることに疑問を持つ人も少なくなかった。
その後、明らかになったのは、放送前日の29日に松尾武放送総局長(当時)と、国会対策担当の野島直樹・担当局長(同)らが中川昭一や安倍晋三に呼ばれ、議員会館などでそれぞれ面会したということ。安倍の立場は、「強制性があったことを証明する証言や証拠がない」というものだ。
この番組の改変は裁判になり、東京高裁は2007年1月29日に判決を言い渡した。それによると、松尾放送総局長や野島国会担当局長が国会議員などと接触した「際、相手方から番組作りは公正・中立であるようにとの発言がなされた」ため、「松尾総局長らが相手方の発言を必要以上に重く受けとめ、その意図を忖度してできるだけ当たり障りのないような番組にすることを考えて試写に臨み、直接指示、修正を繰り返して改編が行われたものと認められる。」
勿論、人間は自分の立場が「公正・中立」だと考えがちで、安倍や中川は自分たちが好ましく思っている、あるいは信じる歴史解釈に則って番組を作れと要求したと言えるだろう。
安倍がカルト教団と関係が深いことは広く知られている。安倍が敬愛しているらしい祖父の岸信介は笹川良一や児玉誉士夫とともに統一協会と結びつき、統一協会の教祖、文鮮明をアメリカの当局が脱税容疑で摘発した際には、中曽根康弘と岸がロナルド・レーガン大統領に恩赦を求めている。2006年5月には、安倍晋三本人が統一協会の関連団体「UPF(天宙平和連合)」が開いた集会に保岡興治元法相らとともに祝電を送った。
安倍政権は「秘密保護法」や「安保関連法制」など、戦争の準備を思わせる法律を強引に制定させようとしてきた。昨年6月1日に開かれた官邸記者クラブのキャップとの懇親会(http://gendai.ismedia.jp/articles/print/43909)で安倍首相は「安保関連法制」に関する発言の中で、「南シナ海の中国が相手」だと口にしたという。週刊現代のサイトが紹介、外国でも話題になった。
アメリカは全世界で侵略を進めている。21世紀に入ってからだけでもアフガニスタン、イラク、リビア、シリア、ウクライナなどがすぐに思い浮かぶ。自国軍が直接、侵略するだけでなく、アル・カイダ系武装集団やネオ・ナチを傭兵として使ってきたことは本ブログでも繰り返し、書いてきた。
支配層による検閲が行われるのは、支配層にとって好ましくない情報が発信されていることを意味している。アメリカの場合、情報の発信源が支配層に支配され、記者の選別も進んでいるので検閲は必要ない。日本では自主規制や自主検閲が徹底しているため、これまで支配層が前面に出た検閲をする必要はなかった。現在、日本のマスコミが揺れているのは、マスコミが追いつけないほど支配層が情報の統制を強化しているからだろう。それほど事実が支配層にとって脅威になっている、つまり彼らにとって状況は悪くなっているとも言える。
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