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安倍1強政治に死角あり 野党2連勝なら政局動く
http://mainichibooks.com/sundaymainichi/column/2016/01/24/post-597.html
サンデー毎日 2016年1月24日号
倉重篤郎のサンデー時評 連載83
政治記者の初仕事は、内外情勢調査会(時事通信社)主催の賀詞交歓会をのぞくことである。
ここには時の首相や野党党首らが駆けつけ、それぞれに抱負を述べ、集まった報道関係者と雑談していく有り難き慣行がある。記者たちにとっては、その年の政局展開を占う格好の場となっている。
さて、今年はどんな塩梅(あんばい)か。1月5日のことであった。
来賓あいさつは、例年通り2大スターが競演した。安倍晋三首相と、野党第1党の岡田克也民主党代表である。そこに2016年政局の明暗を見たような気がした。
岡田氏曰(いわ)く。「参院選で安倍政権の暴走に歯止めをかける結果が出れば、次の衆院選で政権にチャレンジすることが可能になる。野党第1党として責任を果たしていきたい」
民主党としては、政権に復帰するためにはそれしかない道であろう。覚悟のこもったスピーチだったが、相変わらず地味であった。聴衆も半分耳を傾け、半分は私語しているような雰囲気だった。
安倍首相はどうだったか。この日伊勢神宮に参拝した後、遅れて立ち寄った安倍氏だったが、聴衆のほとんどが帰らず待っており、会場入り口から演台まで花道を作ってお迎えする歓待ぶりだった。
それに応えてか安倍氏は、まずは5日が国会日程の谷間(政府演説と代表質問の間のフリーな1日)であったがゆえに自分の出席につながったとして、この日に設営したメディア側の先見性を持ち上げる一方、1億総活躍社会実現への挑戦を重ねて表明、1956年の経済白書から「新しきものの摂取は常に抵抗を伴う」とのフレーズを引用し、「60年たっても変わらないものもある」と抵抗勢力への対決姿勢をにじませた。メディア側を牽制(けんせい)したものであろう。
これを聞いて、安倍氏の年頭記者会見(1月4日)のあるくだりを思い出した。
八代将軍・徳川吉宗が周囲の反対を押し切り、江戸の各地に桜の苗木を植え、そのことが結果的に後々の人々が桜をめでることのできる幸せを作り出した、との挿話を引用し、いかに困難な挑戦であっても苗木を植え続ける政治家でありたい、と述べた部分である。
◇権力は腐敗する 自己批判なき政権が二つの選挙で問われる
この二つの言から浮かび上がるのは、時の世論の抵抗や反対があるものの中にこそ、後世の人々にとって役立つものがある、という思い込みと、政治のトップにある者として、その抵抗や反対を粉砕し、ことを断行することへの盲目的な自己陶酔ではないだろうか。
桜の苗木ならまだいいが、対米追随のための軍備強化(集団的自衛権一部容認、後方支援強化)の苗木は育ち方によっては後世の人々を苦しめる。1億総活躍といいながら、子々孫々の財政負担には目をつぶり、現在の人々の成長の果実のみを追うアベノミクス経済政策も然(しか)り、である。原発再稼働中心のエネルギー政策もまた未来に花を咲かす苗木なのだろうか。
反対や抵抗にはそれなりの理由がある。その目配りをし、かつ、もしかしたら自分は間違っているかもしれない、という保守ならではの自制心が欲しい。周辺に彼を諫(いさ)める人がいないのも気になる。
権力は腐敗する。これは古今東西の歴史が示す真実である。そのために政治はチェック・アンド・バランスを必要とする。野党もメディアもその使命を担っているが、何よりも決定的なものが選挙である。その結果こそが神の声としてその後の政局を決定する力を持つ。
その観点からすると、7月の参院選の前哨戦たる二つの選挙が意味を持ってくる。
一つは、今月24日投開票の沖縄・宜野湾市長選である。移設対象である普天間基地を抱える地元首長選であり、同基地の辺野古移設を進める現職・安倍政権連合軍と、移設に反対する新人・翁長雄志(おながたけし)知事連合軍が正面から対決する。
安倍氏側が勝てば2014年の知事選(11月)、衆院選4小選挙区(12月)で連敗した負の流れを止め、局面転換の機を得るが、失えば新基地問題は工事強行が一層困難になる。ある意味この問題の雌雄を決しかねない重要な選挙である。
このため安倍氏側は総力戦を展開している。まずは、この問題に中立的だった公明党票を確実に取り込んだ。いわゆる軽減税率問題で公明党要望を丸のみした(翌々日公明党は現職推薦を表明した)。ほかにもこの地域の基地返還予定を前倒し、あるいは、基地跡地利用案としてディズニーランド誘致構想を政権丸抱えでにおわせ、住民の歓心を買わんとしている。現状はほぼ五分五分、どちらが勝ってもおかしくない情勢だという。
野党は、まずはこの選挙を確実に取りに行くべきだろう。新人・翁長連合が勝てば、安倍氏側はへこむ。特にこの問題を専管事項とし強硬姿勢に終始してきた菅義偉(よしひで)官房長官のパワーが大きくそがれる。そのことは菅氏の威信を著しく低下させ、彼を屋台骨とする安倍政権自体を追い込んでいく。
もう一つの選挙は、4月に予定された衆院北海道5区補選である。故町村信孝前衆院議長の娘婿である自民党新人と民主党新人の事実上の一騎打ち。自民優位な地盤だが、新党大地の鈴木宗男氏の票がどうなるのかがポイントだ。
民主党がこの新人を野党統一候補として仕立て上げ、そこに共産票と鈴木票を両乗せする芸当ができるならいい勝負となる。勝てば、これが一つのモデルケースとなって、参院選での野党統一戦線にとって大きな追い風になる。
永田町の空気は安倍1強である。だが、街を歩くと、安倍政権に対する飽きや忌避感が出てきているのも事実だ。二つの選挙次第では賀詞交歓会での明暗の逆転もありうる。だから政治は面白い。
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