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自民党公認候補予定者一覧(「自民党 HP」より)
先進国内で最も高い食品消費税、デタラメなスマホ料金介入…参院選でアベノミクス審判の年
http://biz-journal.jp/2016/01/post_13183.html
2016.01.07 文=町田徹/経済ジャーナリスト Business Journal
3年に1度巡ってくる参院選の年、2016年が始まった。
この年を迎えるにあたり、選挙上手で「戦争の放棄」を謳う憲法第9条の改正を悲願とする安倍首相が掲げたのは、3年1カ月前の政権発足時と同じ「経済最優先」という戦略だ。昨年夏、安全保障関連法を強引に成立させたことで急落を招いた支持率の回復を狙い、暮らしの安定と改善を連呼して人気を回復しようというのである。
ドイツ国民を第1次世界大戦の重い賠償責任と米国発の世界大恐慌の2重苦から解放すると訴えて独裁体制の確立に成功、世界を第2次世界大戦の戦禍に巻き込んだナチスドイツを彷彿させるような選挙戦術だ。
しかし、安倍政権が掲げる「1億総活躍社会」「軽減税率の導入」「携帯料金の引き下げ」といった経済政策は、どれも実現性が乏しく、方法論に危うさが潜む欠陥政策である。われわれ有権者は、3年前の参院選や2年前の総選挙の時のように、美辞麗句に踊らされてはならない。今こそ、政策の真贋を見極める眼力が求められている。
今夏の参院選へ向けて、政府・与党は周到な勝利の方程式を描いている。派手な狼煙のひとつは、昨年9月24日に打ち上げられた。正式に自民党総裁に再選されたことを受けて、安倍首相が自ら東京・永田町の自民党本部で記者会見し、政権発足以来の経済政策の1枚看板だったアベノミクスを「新3本の矢」に昇華させると宣言したのである。
安倍首相は世論形成の達人だ。「新3本の矢」は、「希望を生み出す強い経済(GDP600兆円)」「夢を紡ぐ子育て支援(希望出生率1.8)」「安心につながる社会保障(1億総活躍社会)」の3本柱から成るが、どれも有権者の耳に心地よく響くものばかりだ。当時、経済政策の看板の掛け替えは急務になっていた。短期的な効果しかない旧3本の矢のうちの2本(異次元の金融緩和、機動的な財政政策)の賞味期限が切れかけていたうえ、残りの1本(成長戦略)も掛け声倒れに終わりつつあったからだ。
しかし、新3本の矢はいずれもよい社会を生み出す手段(矢)ではなく、実現を目指す目標(的)を列挙しただけのものだ。準備不足で首尾一貫した哲学がなく、実現性の乏しい政策を寄せ集めたパッケージに過ぎないことは明らかだった。
■民間企業経営に口出し
そして、昨年12月。安倍政権が相次いで15年度の補正予算と16年度予算案を閣議決定し、新3本の矢が選挙目当てのバラマキ戦略に過ぎなかったことがはっきりした。安倍政権は、子ども1人当たり3000円を支給する子育て給付金の16年度からの廃止を決めていたが、15年度補正予算で「1億総活躍社会」実現のためとして、1人当たり3万円の低所得高齢者(約1100万人)向け現金給付(総事業費3624億円)を打ち出した。
これが、参院選向けの「高齢者優遇」と批判されると、今度は16年度本予算で、希望出生率1.8の実現のためと称して子育て支援に9000億円弱を配分したのだ。2人以上の子どもを持つ低所得者世帯への支援として、第1子の年齢にかかわらず第2子は保育料を半額に、第3子以降は無料にすることなどが柱で、29万人が恩恵を被るという。
だが、夫婦(2人)に対し出生率が1.8では、人口は減り続ける。本気で人口1億人を維持し、質だけでなく規模の面でも活力ある経済を持続するつもりならば、小手先のバラマキでは焼け石に水だ。毎年7〜8兆円の子育て支援予算を投じるだけでなく、1000万人を超す移民の受け入れが不可欠になる。
移民の受け入れは、これまでの日本の社会を破壊しかねない痛みを伴う政策だ。安倍政権は議論の俎上にさえ載せていない。必要性をひた隠し小手先で人気取りを狙う、そんな選挙目当ての安倍政権の姿勢が浮き彫りになっている。
家計の重荷の代表格になっているスマートフォン(スマホ)の問題もある。高市早苗総務大臣が昨年12月18日、NTTドコモなど大手3社の社長に値下げを迫る指導文書を手渡し、今月中下旬にも総額で月額5000円以下のライトユーザ向け格安プランが登場すると期待されている。この話も背景に参院選対策があり、やはり2015年9月に安倍首相が「携帯料金等の家計負担の軽減は大きな課題である。高市総務大臣には、 その方策等についてしっかり検討を進めてもらいたい」と是正指示を演出してみせたのが発端だ。
筆者が取材する限り、この格安プランは、今のプランの上限まで使わないユーザが対象で、テザリング、動画視聴、ゲームを楽しむ多くのヘビーユーザのニーズに応えるものではない。消費者のかゆい所に手の届く政策とはいえず、課題がたくさん残った。
さらに大きな問題は、携帯電話の料金規制は1990年代半ばに撤廃されており、政府が権限を持たないにもかかわらず、民間企業経営に口出ししたことだ。カルテル体質を持つ業界の肩を持つ気はないが、政府の介入は自由主義経済の原則に反する。本来ならば、関連法の改正を行い、規制権限を復活させるという手順を踏むべきだった。
■実効性の乏しい政策ばかり
そして、最後が、来年4月の消費増税に伴い導入することになっていた軽減税率の問題である。安倍官邸は、消費税率の引き上げと同時の導入に積極的な姿勢を見せ続けた。財務省べったりで導入そのものの先送りや対象範囲の絞り込みを目指す議員と対峙し、野田毅前自民党税制調査会会長を事実上更迭したほか、積極論を掲げる公明党への再三の援護射撃を行ったのだ。その手法は、郵政族議員を悪者に仕立てて、郵政選挙の勝利を勝ち取った小泉純一郎元首相を彷彿させるものだ。
しかし、財務省や自民党の主張より広がったとはいえ、軽減税率を食品の一部と新聞に絞り込んだことは政策として問題が多い。課税所得の多寡に応じて税率を累進的に定める所得税と違い、消費税は所得水準にかかわらず一定額を支払うもので、低所得者に厳しい税金だ。食品だけでなく、電気、ガス、水道、緊急通信といったライフライン全体に広く軽減税率を導入すべきだ。その税率も食品で8%というのは、先進国でも最も高い“酷税”である。
結局のところ、軽減税率導入騒ぎも、安倍政権が国民に寄り添うポーズをしただけで、実効の乏しい議論といわざるを得ない。
昨年の秋以降、永田町ウォッチャーの間では、連立を組む公明党とあわせて参院でも3分の2の議席を確保したいという安倍首相の執念を感じるという声が増える一方だ。その先には憲法9条の改正が視野にあるのだという。
過去2回の国政選挙で、安倍首相の経済政策に期待して、連立与党に投票した有権者は多かったはずだ。永田町ウォッチャーたちは、同じ選挙戦を展開すれば、今回も大勝できると安倍政権が算盤を弾いているという。
しかし、この政権の経済政策にそれほどの効果があったのか、あるいは今後期待できる要因があるのか。今年は、投票前に熟考が求められるのではないだろうか。
(文=町田徹/経済ジャーナリスト)
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