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「核兵器禁止条約へ交渉」 国連総会で決議採択[NHK]
12月24日 12時07分
核兵器を法的に禁止する条約の制定に向けて来年から交渉を開始するという国連総会の決議が、113か国の賛成多数で採択されましたが、アメリカなど核兵器の保有国に加え、段階的な核軍縮を主張する日本も反対し、国際社会の足並みが大きく乱れる形となりました。
この決議は、核兵器を法的に禁止する条約の制定に向けて来年の3月から国連で各国が交渉を始めるというもので、核兵器を保有しないオーストリアなど50か国以上が共同で提案し、ことし10月に国連総会の委員会で賛成多数で採択されました。
23日には国連総会でも決議案が採決にかけられ、過半数の113か国が賛成して決議は採択されましたが、中国とインドを除く核兵器の保有国がいずれも反対しました。
また、唯一の戦争被爆国として核兵器の廃絶を訴えながらアメリカの核の傘の下にある日本も、核軍縮は核兵器を保有しない国と核保有国が協力して段階的に進めるべきだとして再び反対しました。
軍縮に詳しい国連外交筋は「核保有国が核兵器の近代化と増強という方向へ進もうとしている現実と、核軍縮を進めようという国連の中での議論のかい離が大きくなっている。条約の交渉は厳しいものになるだろう」と指摘しています。
決議の採択を受けて、来年3月から核兵器禁止条約の制定に向けた交渉が始まることになりますが、国際社会の足並みが大きく乱れる中、今後の世界の核軍縮の流れにどのような影響を及ぼすのか注目されます。
外務省「日本の立場に合致せず」
外務省は、NHKの取材に対し「今回の決議は、核兵器の保有国と非保有国の対立を助長し、亀裂を深める内容になっていて、『核兵器のない世界』を目指すために双方が協力して具体的で実践的な取り組みを重ねる必要があるという日本の立場には合致しなかった」としています。
また、決議に反対した背景には、北朝鮮が核実験を繰り返していることなど厳しい安全保障環境を考慮する必要があったとも説明しています。
一方、来年3月から始まる条約の制定に向けた交渉について、岸田外務大臣は、議論の場に参加して核保有国と非保有国が協力して核軍縮を着実に進めることの必要性を訴えたいという意向を重ねて示していて、今後、議論の場に参加するかどうか、政府全体で検討することにしています。
米 禁止急いでも核軍縮にならないと強調
核兵器を禁止する条約の制定に向け交渉を開始するとする国連総会の決議について、アメリカのウッド軍縮大使はNHKの取材に対し、「北朝鮮の核開発問題など、現在の不安定な世界情勢を無視した議論で、失敗するとしか思えない」と述べ、核兵器の禁止を急いでも核軍縮にはつながらないという考えを強調しました。
核兵器を法的に禁止する条約の制定に向けた交渉を始めるとする決議が国連総会で採択されるのを前に、国連で核軍縮の交渉に当たっているアメリカのロバート・ウッド軍縮大使はNHKのインタビューに応じました。
この中でウッド大使は、核兵器を禁止する条約に反対する理由について、「今の世界情勢は不安定だ。中国が台頭し、北朝鮮の核開発問題があり、ロシアも国際的な影響力を広げようとしている。この情勢の中で核兵器の禁止に向けた議論を始めることは無責任だ。失敗するとしか思えない」と述べました。
また、多くの国が核兵器の非人道性に強い懸念を抱いていることについては、「核兵器の議論には人道と安全保障の2つの側面があり、安全保障の面を考慮しない核軍縮の議論は極めて危険だ」と指摘しました。
さらに、核兵器禁止条約が停滞する核軍縮を後押しするのではないかという問いには、「核保有国が参加しない議論が、なぜ核廃絶につながるのか。条約の制定を強行することは的外れな努力としか思えない」と述べ、核兵器の禁止を急いでも核軍縮にはつながらないという考えを強調しました。
広島と長崎の被爆者などは
国連総会の決議に日本が反対したことについて、広島で被爆し、日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会の代表理事を務める箕牧智之さんは、「核兵器を持つ国は核があるから世界が平和なのだと言うが、核がある以上、いつかどこかで使われるかもしれず、非常に不安だ。日本も追従するかのように決議に反対していて、私たち被爆者はこの問題をどう訴えれば解決するのか」と批判しています。
そのうえで、来年3月から条約の制定に向けた交渉が始まることについて、「世界の情勢がこれからどんなふうに変化するのか、予想がつかない。半歩くらいは前進かもしれないが、『もう大丈夫だ』と言えるほど期待はしていない」と述べ、今後の推移を見守る考えを示しました。
決議が採択されたことについて、被爆者で、長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会の川野浩一議長は、「原爆の被害を二度と繰り返さないためには核兵器そのものを廃絶する以外になく、多くの国が賛成したことは非常に喜ばしい」と評価しました。
この一方で、ことし10月の国連総会の委員会での採決に続き、今回も日本が反対したことについて、「核廃絶に向けて唯一の被爆国である日本が本来ならば先頭に立って頑張らなければならないのに、核保有国と同様に決議に賛同しないことはあってはならない」と批判しました。
そのうえで「核兵器の廃絶に向けて上向きの方向性が出てきたこのタイミングを逃してはならず、日本には世界の国々を引っ張る役割を果たしてもらいたい」と話していました。
長崎市の田上市長はコメントを出しました。この中で、田上市長は「悲惨な体験を二度と世界の誰にも経験させてはならないと核兵器廃絶を訴え続けてきた被爆者や被爆地にとって新しい大きな流れであり、大変喜ばしく思います」と評価しました。
そのうえで、「今後、核保有国と『核の傘』の下にある国々を含むすべての国が交渉に参加し、核兵器のない世界に向けて英知を結集されることを期待します」と指摘しました。
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