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2017年の世界は型破りトランプ政権を中心にこう変わる(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/16/kokusai16/msg/765.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 12 月 21 日 12:44:10: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

日本にとって重要なのは、トランプ政権と緊密な関係を維持していきながらも、従来のように米国の動きを待って受動的に対応するのではなく、自ら能動的に動いていくことだ Photo:首相官邸HP


2017年の世界は型破りトランプ政権を中心にこう変わる
http://diamond.jp/articles/-/112140
2016年12月21日 田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長] ダイヤモンド・オンライン


■アウトライヤーのトランプ政権
「理念より取引」重視

 2017年の世界は米国を中心として大きな変動が世界にもたらされる予感がする。1月20日に発足するトランプ政権は第二次大戦後のどの政権とも共通点の少ない「アウトライヤー(基準外の)」政権である。トランプ次期大統領の選挙期間中及び勝利後の言動や閣僚級人事を見てもアウトライヤーぶりが際立つ。トランプ次期大統領の言動は過去の慣例や伝統的政策に縛られないことを示している。

 まずトランプ勝利の背景である。大方の予想に反するトランプの勝利は特に白人労働者にはリーマンショックからの不況の脱出の実感がないという強い不満や、近年の移民の急速な増加(移民排斥がピークに達した1920年代と同じレベルー人口の13%程度に達している)で雇用が奪われているという不満が背景にある。従ってトランプ次期大統領の中心課題は雇用の創出と移民の制限による「強いアメリカ」の創出であり、対外的には保護主義も辞さないという「アメリカ第一」の政策ということになる。

 次に、人事である。これまで発表された閣僚級人事に驚かされるのは、国家安全保障関係は軍人出身、国務長官を含め主要閣僚は成功したビジネスマンであることである。

 ここには有力政治家や学者、シンクタンク出身者といった人物の姿はない。これはビジネスマンとしてワシントン政治には無縁であったトランプ次期大統領にはそもそも政治家や学者の知己がいないということや共和党の多くの関係者が反トランプであったことだけを理由とするのではなかろう。軍人やビジネスマンは明確な目標に向けて組織をあげて注力し、結果をつくることを重視するという点も重要なのだろう。トランプ政権は結果志向の政権となると思われる。

 さらに、「理念より取引」である。トランプ次期大統領が勝利してから世界の注目を浴びた三つの行動がある。安倍首相とのトランプタワーでの会談、孫正義ソフトバンク社長との会談、そして蔡英文台湾総統との電話会談である。これらはいずれも正式就任前の次期大統領としては異例の行動である。

 トランプ次期大統領は安倍首相との会談の後、再びTPPからの離脱を口にし、孫社長との会談後は、孫社長を持ち上げつつ米国内の雇用促進のための投資が圧倒的に重要であると強調し、蔡総統との電話会談後はツイートで中国の南シナ海政策を激しく批判し、「一つの中国」政策も取引の対象であるかのような示唆を行った。

 これらは米国大統領が西側世界の指導者である理念を示すより、米国の利益最優先という目的のため取引を辞さないという考えのように見える。もちろん政策は多くの利益の調整という結果、現実的にならざるを得ないが、トランプ政権の特色が維持されるならば果たしてアメリカの政策は、そして世界はどのように変化していくのだろうか。

■短期的には好況に
長期的には双子の赤字か

 短期的には米国の経済は好況感に満ちていくだろう。トランプ次期大統領はインフラ再建のための投資を重視し、減税を実行し、金融規制の緩和を進めていくのだろう。金利は上昇し、ドルは価値を上げる。しかし結果として輸出にはブレーキがかかり貿易収支は悪化し、財政赤字と併せ「双子の赤字」が問題化するのだろう。

 これは1980年代のレーガン大統領時代と似通った面がある。当時もっとも貿易赤字が多かった日本に対する激しい圧力が深刻な貿易摩擦を生んだ。結果日本の市場が開放され通貨の調整(プラザ合意)が進んだわけで日本に不利益であったとは言いがたいが、トランプ政権下では対日もさることながら対中関係で厳しい通商摩擦を生むのだろう。中国は米国が市場の障壁を上げれば報復措置をとるだろう。

 東アジア情勢にとって極めて重要な意味を持つ中国との関係は通商摩擦が生ずるだけではなく、大きな変化が生まれ得る。トランプ政権は従来の民主党政権が重視した人権問題には大きなウェートを置かないのかもしれない。上述の通り、トランプ次期大統領は中国との取引を通じ「グランド・バーゲン」(複数の事項を一括的に決着させること)を行うことが念頭にあるのかもしれない。

 これは習近平国家主席が就任直後オバマ大統領との首脳会談で提案した「新型の大国関係」と一脈通じるものがある。「米中双方が各々の核心的利益を尊重すればウィンウィンの大国関係が生まれる」という点がこのコンセプトの中核である。

 トランプ次期大統領が「一つの中国」政策すら取引材料であると示唆したのはまさにこのことが頭にあったのかもしれない。中国が通貨や貿易面で米国に譲歩し、南シナ海や東シナ海問題で自制的な態度をとれば「一つの中国」はもとより、中国の影響力の拡大を認め協力を拡大していこうということか。

 中国は2017年秋には党大会が開催され、今後5年の人事体制を決めるという重要な時期に差し掛かる。習近平主席にとっても米国との関係の調整を行い新型の大国関係を実現したと喧伝する機会と考えるかもしれない。一方、マティス元海兵隊大将が長官に就任する国防省などは中国への警戒心は強く、米国の政策も柔軟、強硬の二面性を持つのだろう。

 中国との協力拡大のグランド・バーゲンの重要な一部は北朝鮮問題である。トランプ次期大統領は金正恩党委員長との会談も辞さないと口にしており、北朝鮮問題でカギとなる中国の協力が得られれば交渉による問題解決に乗り出す可能性がない訳ではない。北朝鮮にとってトランプ体制は怖い体制と見られている可能性がある。共和党政権は元々北朝鮮に強硬であり、新政権の国家安全保障関係者は軍人出身であり、当面核実験やミサイル実験などの挑発的行動は控え、様子見ということなのだろう。

 北朝鮮核問題の解決のためには米国が毅然とした態度をとること、中国が北朝鮮に本気で圧力をかけること、6者協議を構成する北朝鮮以外の韓、米、中、ロ、日の5か国が結束を固めることが前提となる。このような条件が整う可能性は皆無ではあるまい。ただ韓国の政治の混乱は不確実要素である。朴大統領の弾劾や次の大統領候補を巡り、国内の厳しい対立は朝鮮半島情勢に大きな影響を与えざるを得ない。いずれにせよ北朝鮮問題はイスラム過激派との対決と併せ、トランプ政権が直面する最初の安全保障課題となるのだろう。

 ロシアについては、トランプ次期大統領はプーチン大統領を度々持ち上げるが、対ロ関係を大きく変えることを目指しているのではないか。フリン次期国家安全保障担当大統領補佐官はロシアについてこれまでたびたび前向きの発言をしていることで知られ、新国務長官のティラーソン・エクソンモービル会長兼CEOは仕事を通じロシアとの関係が緊密であると評されている。ウクライナ・クリミア問題の関係でとられた対ロ制裁を解除し、イスラム過激派との戦いで協調することが念頭にあるのだろうか。ただロシアは膨大な核戦力を有し軍事的に米国と対抗できる唯一の国である。国防エスタブリッシュメントの警戒心は強い。

■対ロ関係は大きく変わる可能性
中心課題はイスラム過激派との戦い

 トランプ次期大統領が政権の中心課題として繰り返し提起してきたのは、イスラム過激派との戦いである。マティス次期国防長官は中東をカバーする米国中央軍の司令官を務め、ISやその他イスラム過激派に対する強硬な姿勢で知られる。おそらくシリアでのISとの戦いに米国は正面から乗り出していくのだろう。このためオバマ政権が忌み嫌ってきたアサド政権やロシアと協調体制を組む可能性も云々されている。

 これにより、ISやイスラム過激派との戦いで役割を果たすシーア派イランとの関係はどう展開していくのだろうか。ISやイスラム過激派との戦いを優先すればイランは協調すべき相手となる。他方トランプ次期大統領はイランとの核合意に対する敵意を隠しておらず、どのようにバランスをとることになるかが注目される。

 米国の同盟国である欧州や日本との関係はどう展開するのだろう。2017年はフランスの大統領選挙やドイツの総選挙が行われる。また英国のEU離脱問題は、メイ英首相が言うとおり2017年3月に正式の離脱通報がEUに行われたとしても、交渉は難航するだろう。EUへの貿易のアクセスはこれまでどおり確保して移民を制限するというような「良いとこ取り」が許されるはずもない。

 一方欧州においては反移民、反EUのポピュリスト政党が頭角を現している。トランプ次期大統領は選挙期間中、英国のEU離脱を支持し、右翼政党英国独立党のファラージ元党首が駐米大使になることを期待する旨公言し、むしろ欧州のポピュリズムを煽るような発言を行っていた。米・EUの自由貿易協定についても反対の態度を明確にしており、一般論としてはEUに対して消極的な姿勢をとると考えられる。また、NATOの欧州諸国には安全保障経費の負担増大を迫ることが想定され、米欧関係は難しくなるのだろう。

■米欧関係は厳しくなる
日本は能動的外交ができるか

 日本との関係はどうか。TPPからの米国の離脱は日本の戦略にとって深刻な打撃となる。TPPはアベノミクスの成長戦略の柱の一つであるだけではなく、自由主義経済体制のルールを浸透させ、中国などの国家資本主義の変化を促していく上でも重要な手立てとなるはずであった。TPPをとりあえず11カ国で発足させ、米国との提携のあり方を検討するべきだろう。

 また、トランプ政権が日本の安全保障負担を拡大することを迫ることは想像できるが、防衛費の拡大や思いやり予算の増額というより、新安保法制の下での計画・訓練の促進を含め実質的な安全保障への役割の拡大を実現していくべきと考える。

 そして何より重要であるのは日本が東アジアの安保環境の向上のために能動的外交を展開できるかどうかということである。上述のように米国の対中政策も大きな変化が見通されるのかもしれない。日本も安全保障上の考慮とは本来両立するはずの中国との協力拡大を真剣に考えるべきである。

 いずれにせよトランプ政権とも緊密な関係を維持していくことは日本にとって必須である。しかし、従来のように米国の動きを待って受動的に対応するのではなく、日本から能動的に動いていくことを期待したいと思う。

(日本総合研究所国際戦略研究所理事長 田中 均)

 

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