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【AFP=時事】世界反ドーピング機関(WADA)が9日に公表したカナダの法律家リチャード・マクラーレン(Richard McLaren)氏の最終報告書で、ロシアの組織的ドーピングを告発した同国反ドーピング研究所のグリゴリー・ロドチェンコフ(Grigory Rodchenkov)元所長が、検体にコーヒーや塩を混ぜて陽性反応を隠していた手口だけでなく、国際大会でメダルを獲得するために諜報機関が不正を行っていた全容が明らかになった。
マクラーレン氏の報告書では、連邦保安局(FSB)が2014年のソチ冬季五輪で尿サンプルの容器に細工して中身をすり替え、陽性反応を隠していたとされている。そして、現在は米国で身を潜めているロドチェンコフ元所長が、世界反ドーピング機関(WADA)に不正が発覚する可能性のある「時限爆弾」を抱え、なりふり構わぬ方法に頼らざるを得なかった状況も浮き彫りにされた。
FSBの職員でもあったロドチェンコフ氏は、2011年から始まったとされるドーピング工作の責任者として、WADAの動向を連邦保安局に報告する役割を果たしていた。さらに、ロンドン五輪で加速したとされる「前例のない」規模の不正行為が発覚するのを恐れ、露政府関係者がパニックを起こし始めていた状況も明らかになった。
報告書ではまた、現在は露副首相に昇進しているビタリー・ムトコ(Vitaly Mutko)前スポーツ相が一連の不正に関与していたことや、2011年にはロドチェンコフ元所長が病気のためほとんど不在だったことが明らかにされており、「ロドチェンコフ博士が復帰して以降、スポーツ省のムトコ大臣とユーリ・ナゴルニフ(Yury Nagornykh)副大臣の指導と了解の下で、あらゆる手段や措置が講じられるようになった」と記されている。
ロドチェンコフ元所長は特にロンドン五輪での不正が発覚するのを恐れ、禁止薬物が検知されにくくなる「カクテル」を開発。2012年5月から7月にかけて、WADAはロシア選手の検査を強化していたが、露スポーツ省には陽性反応が報告されていた一方で、WADAのコンピューターシステムには改ざんした検査結果が送られていたという。
露モスクワ(Moscow)で保管が義務づけられていた67件のサンプルについて、スイス・ローザンヌ(Lausanne)で新たに検査するためにWADAから提出を求められた際、ロドチェンコフ元所長は自分が「時限爆弾の上に座っている」と認識。リストに上がっていた検体のうち、10件は「汚れた」ものであると知っていたものの、クリーンな尿サンプルは8つしかなかなく、WADAの検査官をごまかすために塩やコーヒーを加えていたという。
■赤ちゃんボトルに入れられた「クリーン」な尿
マクラーレン氏は一部のサンプルからスプーン1杯分の塩が検出されたとする専門家の報告を受けたこと明かし、「彼(ロドチェンコフ)はクリーンなAサンプルについても水で薄めたり、汚れたB検体の比重や見た目を調和させるために、塩やコーヒーの粒を加えていた」と述べた。
今回の報告書では、2008年に行われた北京五輪の陸上女子4x100メートルリレーで、銀メダルを獲得したアナスタシア・カパチンスカヤ(Anastasiya Kapachinskaya)と、ロンドン五輪の女子円盤投げで2位となったダリア・ピスチャルニコワ(Darya Pishchalnikova)も不正リストに名前が挙がっていた。
ロシアでは2013年にスポーツ相やFSB、そしてロドチェンコフ元所長を中心に、尿サンプルをすり替える手口の開発を決断し、ソチ五輪への準備に着手。「FSBが検体の入った容器のふたを取り外したり、すり替えたりする計画を遂行」し、いわゆる「陽性反応のもみ消し」を行っていた。ロドチェンコフ元所長によれば、「使われた道具は高級筆記具モンブラン(MONTBLANC)ほどの大きさで、歯医者が検査で使用する器具のように、ハンドルつきであらゆる方向に曲げられる薄い金属部分がある」とされている。
さらには、ドーピング検査で失格にならないために、選手から採取したクリーンな尿が保管されている「銀行」も存在しており、持ち運ばれる際には「コーラの赤ちゃんボトル」が使用されていたという。
ロドチェンコフ元所長はまた、2013年の第14回世界陸上モスクワ大会(14th IAAF World Championships in Athletics Moscow)と、同年カザニ(Kazan)で開催された第27回ユニバーシアード夏季大会(World Student Games)が、ソチ五輪の「予行練習」と位置付けられていたと証言しており、2014年の「本番」では合計21個のメダルを獲得した6人のパラリンピック選手について、「すべての検体を入れ替えた」と明かした。
さらに同五輪では、計4個の金メダルを手にした選手2人と、銀メダルを獲得した女性選手から、「塩入りの検体から、生理学的にあり得ない結果」が出たほか、女子アイスホッケーの選手2人からは、男性のDNAが検出された。
最終的には犯罪専門家の調査で、検体に使用された「容器のふたの内側に傷のような痕跡」があり、「開封されて、中身が入れ替えられていたことが確認」されたという。「緻密に練り上げられた陰謀」と報告書で指摘したマクラーレン氏は記者会見で、ロシアの「暗い秘密」が暴かれたと述べた。【翻訳編集】 AFPBB News
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161210-00000014-jij_afp-spo
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