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(社説)トランプ氏の「ファミリー政治ビジネス」 私利私欲の排除で手本を示すべき 左からドナルド・トランプ氏のメラニア夫人
http://www.asyura2.com/16/kokusai16/msg/396.html
投稿者 軽毛 日時 2016 年 11 月 19 日 03:35:05: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

(回答先: 焦点:トランプ新政権で影響力発揮へ、娘婿クシュナー氏の横顔 ユダヤ教徒 オルタナ右翼 父は脱税、買収違法献金2年実刑判決 投稿者 軽毛 日時 2016 年 11 月 19 日 03:30:04)

【社説】トランプ氏の「ファミリー政治ビジネス」
私利私欲の排除で手本を示すべき
左からドナルド・トランプ氏のメラニア夫人、娘のイバンカ氏、次男エリック氏、長男ドナルド・ジュニア氏
https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-QW037_1ethic_IM_20161117175906.jpg
2016 年 11 月 18 日 16:57 JST

 米国の有権者6000万人がドナルド・トランプ氏に投票した理由のひとつは、私利私欲に走るワシントンの政治文化を変えるとトランプ氏が約束したことにある。大統領として成功したければ、同氏は自ら犠牲を払って手本を示さねばならない。トランプ氏は今のところ自身のビジネス帝国を維持するが経営権を子供たちに譲るとしている。だが、そこには政治的な危険が潜んでいる。

 トランプ氏は数十年間にわたって経営してきたファミリー企業トランプ・オーガニゼーションについて、大統領に当選した暁には成人した3人の子供たち、長男のドナルド・ジュニア氏と次男エリック氏、長女イバンカ氏に譲り渡すと公約した。この3人は現在、政権移行チームに参画している。同社の広報担当者によると、トランプ氏のファミリービジネスは「さまざまな組織形態を精査中」であり、最終的な形は「適用され得る全てのルールや規則にのっとった」ものになると述べた。

 トランプ氏の弁護士の中からは「ブラインド・トラスト」(白紙委任信託)方式の採用を想定する声が出ている。これは過去の大統領たちが資産を守るために、利益相反の印象を与えるのを防ぐ手段として利用してきた方法だ。だが対象となる資産は通常、債券や株といった流動資産であり、ビルなどの不動産やブランド事業などではなかった。ブラインド・トラストについて定める法律によると、その管理者は家族ではなく、第三者であることが義務づけられている。

 大統領は利益相反に関する連邦法の適用を大部分免除されているが、トランプ氏の計画はすでに政治的な騒動を巻き起こしている。今週前半、トランプ氏の娘イバンカ氏が経営する宝飾メーカーが、CBSの報道番組「60ミニッツ」に出演したトランプ夫人が身につけていたダイヤモンドのバングル(1万0800ドル=約120万円)を宣伝したことで非難を浴びた。メーカーはマーケティング担当幹部の勇み足のせいにしたが、これはメディアによる野次の始まりに過ぎない。余談だが、イバンカ氏の夫はジャレッド・クシュナー氏で、トランプ次期政権では側近に起用される可能性がある。

 トランプ氏がとるべき最良の手段はトランプ・オーガニゼーションにおける自身の持ち分を精算することだ。ジョージ・W・ブッシュ氏の政治倫理を担当した弁護士のリチャード・ペインター氏と、バラク・オバマ氏で同じ領域を担当した弁護士のノーマン・エイサン氏はレバレッジドバイアウト(LBO)もしくは新規株式公開(IPO)の手法を提案する。

 そうすればトランプ氏は得られた利益を本当のブラインド・トラストに入れることも可能だ。トランプ氏の子供たちは自分名義で資産を確保でき、多額の贈与税を支払えば、さらに多くを譲ることができる。最後に、トランプ氏は子供たちとファミリービジネスに関する話をしないと決めておくべきだ。

 ほかの代替案は問題をはらむことになろう。恐らく、トランプ・オーガニゼーションの収益にとってもだ。クリントン政権が示した前例のおかげで、大統領も個人的な問題で法的な争いに直面する場合があることが証明された。同社は超強力な磁石のように訴訟を吸い寄せることになろう。ルディ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長はテレビ番組で、資産の一部売却はトランプ氏の子供たちを「失業」させると嘆いたが、メディアによる終わりのない監視の目にさらされるよりは、再編のほうがビジネスにとっては良いかもしれない。進歩派のグループはまもなく権力を失うだろうが、彼らはすでにトランプ一家が私欲のために大統領を目指したと声高に主張している。

 次期政権への政治的なダメージは広範囲に及ぶ可能性がある。トランプ氏が自身の会社の持ち分を清算しなければ、政策面で立場を表明するたびに金銭目的だとの批判を受けることになる。例えば、上下両院が税制改革を望んだとしよう。その際、不動産の扱いは重要な論点のひとつになるだろう。不動産といえば、トランプ氏のファミリービジネスの利益が大いに関わっている領域だ。金融規制改革法(ドッド・フランク法)の撤廃も、金利政策も同様だろう。

 トランプ氏には中国国営の商業銀行大手、中国銀行からの借り入れがあるほか、諸外国の政府系ファンドとの取引なども考えられるため、利益相反が懸念される場所は世界中に散らばっている。政権を握っている間、公職にある者が外国政府からの贈り物や金銭の受け取りを禁じた憲法の規定に抵触しているとして、罪に問われる危険に自身をさらすことになりかねない。

 カネと政治をごちゃ混ぜにすれば、ワシントンの膿(うみ)を出すとしたトランプ氏の約束が台無しになりかねない。2018年の中間選挙で民主党が下院を奪還すれば、トランプ氏とそのビジネス仲間は下院監視委員会から発行される数多くの召喚状をさばくことになるだろう。民主党のイライジャ・カミングス下院議員は今週、そうした戦法をとることを示唆したが、こうした質問に毎日答えることはトランプ氏が望むような政治資本の使い方ではないはずだ。

***

 トランプ氏の会社の売却は痛みを伴うものであり、恐らく高くつくものであることは間違いない。政界入りを望む実業家に特別な負担を背負わせる一方で、公益活動に関わった弁護士たち(訳注:クリントン氏を暗喩)がお咎(とが)めなしに政府に出入りできるというダブルスタンダード(二重基準)についても、われわれはよしとしない。リベラル派と異なり、共和党員は民間企業で働くことを好む。

 だがこれは今の時代のワシントンの話だ。国務省とクリントン財団という政治と私的利益をごっちゃ混ぜにしたような大統領はいらないという国民の思いが、クリントン氏敗北の一因であることを思い出してほしい。大勢の国民が生活向上の思いを託して、次期大統領に選んだのがトランプ氏だ。事業からの4年間の休暇を与えようとしているわけではない。ファミリービジネスが日常的な政治批判の標的になるとすれば、その代償は大きすぎる。

トランプ政権へ始動

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