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アメリカの変質 リーダーなき世界へ〜イアン・ブレマー氏インタ
11月16日 11時28分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161116/k10010770931000.html?utm_int=news-international_contents_list-items_021
アメリカ大統領選挙でトランプ氏が勝利したことは、超大国アメリカや世界にどのような変化をもたらすのか。気鋭の国際政治学者、イアン・ブレマー氏にニューヨークでインタビューしました。(聞き手はニュースウオッチ9・河野憲治キャスター)
リーダーなき世界へ
選挙結果には驚きました。トランプ氏の勝利は世論調査でも予想されていませんでした。多くのアメリカ国民は肩をすくめながら「どちらの候補も好きじゃないから、関心がない」と言いました。それが今回の悲劇です。
「2016年にパクス・アメリカーナが終えんを迎えた」と言うことができます。超大国アメリカは世界を先導しなくなり、世界はリーダーシップの不在という深刻な状況になります。トランプ氏はそれを「アメリカ第一主義」という方針で明確に示しました。
トランプ氏はもはやアメリカの価値観を世界に広めることを望みません。その場その場の利益に基づいて世界とアメリカが関係を築くことを望んでいるのです。対ロシア、対中国、対日本、対イギリスなど、何であっても、得になればよいのです。
トランプ氏が最も関心を持って省こうとしているのが、アメリカの世界的リーダーシップの中核となっていたものです。残念ながら、アメリカに代わってその役割を満たす国も、ほかの一連の価値観も存在しません。アメリカの外交政策は中国の外交政策に似てくるでしょう。つまり「自国の問題に介入されることは望まないが、どの国とでも取り組む。うまい取引をして、両者が得をする」という考え方です。それがまさにトランプ氏の望む外交政策です。それが「アメリカ第一主義」です。
フィリピンのドゥテルテ大統領は中国を訪問し、「アメリカから離れるつもりだ。中国のほうとよい取引ができたからだ」と述べました。アジアだけでなく、中東、ヨーロッパなど世界中で、もっとドゥテルテ大統領のような指導者が現れてくるでしょう。今やアメリカの大統領は自由主義世界のリーダーではなくなりました。それが今回の結果です。
アメリカの信用
重要な点は、世界中の国々が「ドルを信用できるかどうかわからない」と示していることです。
トランプ氏が「イスラム教徒が危険なので入国を望まない」と述べていてサウジアラビアがこれまでどおりにアメリカに投資すると思いますか。信用できる価値を維持できると思うでしょうか。
トランプ氏は「日本はみずからの力で自国を防衛する必要がある。もっと出資する必要がある」と述べていて、日本はこれまでどおりアメリカ経済を信用するでしょうか。そのようなことが世界中で見られるようになるでしょう。
これは、深刻な構造的な衰退です。多くの企業や国々でさまざまな選択肢が決定されるでしょう。その決定に共通するのは「アメリカがこれまでどおり信用がおけるかどうかわからない」という考えです。
アメリカ分断、自由の国の変質
問題は、トランプ氏が不和を通して人々を先導していく人物だということです。対外的には壁を築くことが上げられます。ベルリンの壁を崩壊させたのはアメリカです。そのアメリカが壁を築く。メキシコに対する物理的な壁は、おそらく実現しないかもしれません。しかし、それよりも象徴的な壁のほうが問題です。男女の壁、移民と移民でない人との壁、不法と合法、白人と黒人・ヒスパニック系の壁。それを変えるのはとても難しい。
自由の女神像が近くにあります。それはフランスから贈呈されました。アメリカが世界中で抑圧された人々にとっての希望の光であることを象徴しています。彼らはなんとかしてアメリカにたどり着きたいという願いを持っていました。たどり着かなくても、個人や地域がアメリカ的な理念を持つことができました。アメリカのような国家や生活を目指すことができました。私は自由の女神像が、トランプ政権の象徴するものを反映するとは思いません。この2つは同じ国に属しません。この先、アメリカに注目する人々は、アメリカの指導者に耳を傾ける気持ちを失っていくでしょう。アメリカを誇りに思う国民の1人として、私はとても悲しく感じています。
私はクリーブランドの共和党全国大会で、彼が指名を受諾する様子を見ました。彼の演説は、不安、分断された社会、憎しみ、怒りといったものについてでした。人々は皆、興奮しました。このような人物を待っていたかのようでした。しかしそれは同盟国が何十年にもわたって信じてきたアメリカではありません。それが、パクス・アメリカーナの終えんと考える根本的な理由です。
日米関係
トランプ氏は日本がもっと(防衛の費用を)出すことや、核兵器を持つことについて話しています。それでも、大国に対してアメリカが突然、防衛協定を破棄することはないと思います。ただ小さな国、弱い国に対して、アメリカはすでに協力を減少させています。東南アジアや中東の国々は、もっと劇的にアメリカから離れていくでしょう。これらの同盟がぜい弱性にさらされる可能性があります。
日本の問題は防衛面ではなく経済面にあります。問題はトランプ氏がTPPの破棄を考えているだけでなく、彼が日本を1970年代の頃のように見ていることです。「日本が貿易でアメリカを利用している。日本に打撃を与えてやる。関税を課す」といった考えは、中国に対する見解と同じです。それがトランプ政権の日米関係の問題です。
中国、ロシア
パクス・アメリカーナの終えんによって、中国は世界一の経済大国になっていくでしょう。取って代わるための経済構造を構築する準備が整ってきています。特に「一帯一路」の構想は、アメリカ主導の制度に太刀打ちできるでしょう。その結果として、一部の諸国が中国との協調関係を持つようになるでしょう。しかし、それは経済面だけです。安全保障の分野で、中国は世界的な役割を果たすことができる存在ではありません。エネルギーや技術、そして外交の分野でも同様です。
一方、ロシアについては、米ロ関係が改善すると思います。トランプ氏はクリミアがロシアに属すると認めています。ただ、ロシアの力はエネルギーと安全保障にあるだけです。エネルギーの重要性は時とともに減少し、安全保障がもっと重要になります。ロシアの経済力はとるにたらず、外交の力も全くありません。ロシアがアメリカの穴埋めをするだろうという考えはありません。
ロシアは制裁措置を終わらせる努力をするでしょう。アメリカの圧力がなければ、ヨーロッパも制裁措置を継続しないでしょう。ヨーロッパ各国の経済成長が見られないからです。
アメリカ大統領選挙がもたらした劇的な変化は、アメリカと世界の歴史にとって極めて重要です。少なくとも同時多発テロとその後の出来事に匹敵するほど重要です。2017年に対する私たちの考え方を一変させることになりました。
・トランプ次期大統領の主たる役割は「パックス・アメリカーナ」にはっきり幕引きした大統領として歴史に名を残すこと
http://www.asyura2.com/13/dispute31/msg/429.html
投稿者 仁王像 日時 2016 年 11 月 16 日 20:19:06: jdZgmZ21Prm8E kG2JpJGc
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