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●「日米露三国同盟」を基軸に、中国とイスラム過激派の牙を抜き、大義を伴う新しき世界秩序の主宰者たれ
●現行TPP条約を破棄し、国際資本の恣意性を解毒し、真に日米両国民等にとりWinWinとなるものへと組み替えよ
●格差問題解決に向け、国民各層が活力に満ちそれぞれ所を得るような、社会構造の成功モデルを構築せよ
◆新三国同盟◆
本日11月8日に行われた米大統領選で、トランプがヒラリーを降し勝利した。
筆者は、8月のトランプのイラク戦没者家族への過剰反応以降、大統領選の勝敗確率を四分六でヒラリーの勝ちと見ていたので、予想を外した。
しかし筆者は同時に、トランプの選挙スローガンを織り込んでボブ・ディランの「風に吹かれて」の替え歌を作り、米国へ向けTwitterで拡散を試みてディランファンの顰蹙を買うなど、日本から細やかなトランプ応援活動をしていたこともあり、今回の勝利を祝福したい。
さて、トランプは、先ず選挙期間中に唱えていた経済政策を急進的独断的には進めない旨のメッセージを出して、マーケットの混乱を鎮めなければならない。
そしてその後に、直ぐにでも始めなければならない大仕事が待っている。
手始めは、トランプ自身が就任式を待たずに直ちにプーチンと会談すると語っていたように、シリア・IS問題解決に向け米露の関係正常化に動かなければならない。
オバマの任期が残るうちに、政権と軍部内の「冒険主義勢力」(ネオコン)がロシアとシリアで戦争を始めないために、これは喫緊の課題だ。
この冒険主義勢力は、ビジネス界と組んで所謂軍産複合体を形成し、中東に介入しロシアと代理戦争、進んでは直接衝突を起こす一方、中国とは表面上対立姿勢を示しつつも譲歩も止むを得ないとするのが基本戦略とみられる。
その狙いはよく解らないが、中東に覇権を確立するとともに火種を絶やさぬようにし戦争経済によりビジネスとしての実を取り、中国のマーケットは当面確保するというのが複合体の集合意思のようだ。
スターリン時代のポーランド亡命貴族の家系で、ロシアに消せない恨みを持つ米国外交の重鎮ズビグニュー・ブレジンスキーがこの戦略の思想的主柱となっている。
これにより中国とロシアを組ませる結果を招いており、やがて米国は太平洋の西半分を失うだけに止まらず、中国による世界覇権を許すことに繋がりかねない。
どんな凡庸な戦略家が考えても米国が損をして世界が混乱するだけのこの戦略を捨て、米国は中露の間に楔を打ち込み、進んでは「日米露三国同盟」を基軸にイスラムから過激派を一掃し穏健化して取り込み、中国包囲網を完成させその牙を抜くのが正しい戦略であり、米国はこの新しい世界秩序の主宰者とならねばならない。
また、これはファイナンス的にも合理的選択である。
今、トランプの内向き志向が心配されている。
相対的に衰退しつつあるとは言え、超大国である米国が内向き志向に走るのは責任放棄と言わざるを得ない。
しかし、米国の「内向き」志向を否定し「外向き」志向を主張する日米問わず所謂外交専門家の多く、例えば藤原帰一氏等は意識的かどうか「外向き」の内容と質を問わない。
中東でのイラク戦争を始め、悪事または間抜けぶりを繰り返してきたような、「外向き」志向は下の下である。
米国は、仕切り直して大義を伴う新しい世界秩序の主宰者として、王道を歩むべきである。
◆TPPを解毒せよ◆
大凡、甲論乙駁の厄介な問題には、3つの顔がありそれが絡み合っているから容易に正解に辿りつけない。
TPPはその典型的なケースで、(1)自由貿易の理想、(2)日米中心の中国包囲網、(3)国際資本(グローバル企業)による各国民からの収奪、の3つの顔(機能)がある。
このうち(1)と(2)は、少なくとも基本的に見れば、日米両国民にとってメリットとなるが、(3)は一般国民からの収奪であるとともに、課税回避により国家についても利益がなく、一部エリート・富裕層のみの利益となり、社会格差により分断を招いている。
具体的には、一度規制を緩めると二度と戻せなくなる「ラチェット規定」、外国企業が規制により不利益を受けたと考えた場合に相手国家を損害賠償請求で国際機関に訴え一発勝負で判決が出る「ISDS条項」、その他一般国民に利益のない荒業のカラクリを外す必要がある。
移民の制限は、尊重されるべき国家主権である。
どんな構造とるか、またリアルなものかバーチャルなものか等、コストパフォーマンスを考える必要はあるが、メキシコとの国境に壁を作るのは正しく国家主権の発露である。
しかし、保護貿易も基本的には国家主権ではあるが、食料、健康等の生存に直接かかわる特定分野以外では、保護貿易を継続するはトータルに見れば長期的な国益に適わないだろう。
例えば極端な例で言えば、ある国が携帯電話の輸入に高関税を掛け、また自力で技術革新できなく、コメディアンの平野ノラがコントで使っているショルダーバッグのような30年前の携帯電話を今後も使い続けていた場合に、その国民は余り幸福とは言えないだろう。
保護貿易は、当該産業の従事者の痛みを和らげる短中期的な便法であるが、持続可能な永遠の解決策ではない。
◆成功モデルを構築せよ◆
黒人や少数民族を優先する「アファーマティヴ・アクション」は取り敢えず置くとして、米国社会は基本的に自由競争に基づく実力社会でありそれが活力となってきた。
しかし、敗者が事実上復活するのが不可能な場合、特に世代を跨いでそれが不可能な場合は、社会の分断を加速度的に進めることとなってしまう。
筆者は、野球には左程詳しくないのだが、米大リーグでは、有力チームが金とブランド力で極端に強くなり過ぎないように工夫したドラフトやトレード等の制度があると聞く。
リーグの中で加速度的に戦力を累積するチームがあれば、ゲームが成立しなくなる。
大学の学費ローンで何千万円かの借金を抱えなければならないのでは、親の財力で人生が決まってしまうことが多く、米国民の分断がとまらない。
バーニー・サンダース主張するように授業料無料は行き過ぎとしても、4年制大学に於ける授業料合計で数百万円程度以下に抑えることは必要だろう。
格差問題には、既得権への切込みが必要である。
移民にしてみれば、米国籍こそが既得権と映るかも知れない。
低所得層にとってみれば、グローバル企業こそが既得権と映る。
IT技術を応用した新興企業サービスにしてみれば、規制に守られた既存の3K仕事・サービス業従事者こそ既得権と映る。
格差問題には、これら既得権の整理、即ち良い(妥当な)既得権、悪い既得権の腑分けが必要である。
その上でそれらを、社会保障や教育制度の社会制度や前述の通商政策と組み合わせて、国民が活力に満ち機能する仕組みを作り上げなければならない。
これを米国で行うのは、試行錯誤を伴う壮大な社会実験となる。
振り返って日本では、中途半端に斑模様で終身雇用制が壊れており、始末が悪い。
安倍政権は現在、「同一労働同一賃金」を始めとする働き方改革をしようとしている。
本来は、「社会保険と働き方の一体改革」としてダイナミックに社会構造を変革しなければ効果は望めないが、その方向だけは正しい。
米国では「同一労働同一賃金」は既に基本的に実現されており、なお突き当たる問題はある部分日本の先を行く。
日米に限らず、今後先進国が目指すべきものは「ナショナル・ミニマムを伴う自律社会」であろう。
日米事情は異なる部分はあるが、共に手を携えて解決策を探して行きたい。
以上、拙文にて述べた、米国を立て直し、世界に向けては新しい秩序の主宰者として大義を示すこと。
「米国を再び偉大な国にする」とは、そういうことだろう。
- (加筆修正)トランプ大統領への要請書: 米国を立て直し、新しき世界秩序を主宰せよ 佐藤鴻全 2016/11/13 09:49:31
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