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FBI、クリントン陣営を標的とした偽造文書を捜査=関係筋
11月3日、米連邦捜査局(FBI)と米情報当局は、米大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン氏にダメージを与えることを目的とした偽造文書を捜査している。写真はクリントン氏。フロリダ州 で1日撮影(2016年 ロイター/Brian Snyder)
11月3日、米連邦捜査局(FBI)と米情報当局は、米大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン氏にダメージを与えることを目的とした偽造文書を捜査している。写真はクリントン氏。フロリダ州 で1日撮影(2016年 ロイター/Brian Snyder)
[ワシントン 3日 ロイター] - 米連邦捜査局(FBI)と米情報当局は、米大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン氏にダメージを与えることを目的とした偽造文書を捜査している。ロシアによる米大統領選の妨害工作とみて行っている幅広い捜査の一環だという。同件に詳しい情報筋が述べた。
複数の情報筋によると、米上院国土安全保障政府問題委員会のトム・カーパー民主党上院議員は、FBIが捜査している文書の1つについて、自身の名前と文房具が本物のように偽造されていたと言及した。
偽装と特定されたこのメールで、カーパー氏はクリントン氏に「私たちはあなたをこの選挙で敗北させない」と書いていたという。メールを見た人がロイターに語った。情報筋によると、このメールは、FBIと司法省に再調査のためにここ数週間で提出された複数の文書の一つだという。
カーパー氏の報道官はコメントを拒否した。
関係筋によると、ロシアの関与が疑われるハッキングに関する調査の一環として、FBIの捜査官らは民主党の当局者らに、メールと共に流出した偽造が疑われる他の書類や、ハッキングされた本物の書類のコピーを提出するよう要請したという。
FBIの報道官は、同局が大統領選に関する「偽物とみられるメールについての申し立てを受け取って」いることを確認したが、詳細は明らかにしなかった。また、複数の関係者らは、FBIが最近公表された他の偽造文書も捜査していると述べた。
カーパー氏のメールを含め、偽造文書の出所や、流通経路などは明らかになっていない。
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コラム:米国の変容示すヒーロー不在の大統領選=山下えつ子氏
11月4日、三井住友銀行のチーフ・エコノミスト、山下えつ子氏は、米国社会と同国の国際的な位置付けの変容と劣化が大統領選におけるヒーロー出現を阻んでいると指摘。写真は、米ネバダ州ラスベガスで開かれた大統領選の最終テレビ討論会に臨む共和党のドナルド・トランプ候補(左)と民主党のヒラリー・クリントン候補(右)。10月19日撮影(2016年 ロイター/Lucy Nicholson)
山下えつ子 三井住友銀行 チーフ・エコノミスト
[ニューヨーク 3日] - 11月8日の米大統領選挙が目前に迫ってきた。10月24日の週までは民主党のヒラリー・クリントン候補の勝利がほぼ確実視されていたが、同氏の私用メール問題が再浮上した後、共和党のドナルド・トランプ候補が急激に追い上げてきた。
各種世論調査の平均を計算しているリアル・クリア・ポリティクスによれば、一時は7ポイント以上の差をつけてクリントン氏が優勢だったが、本稿執筆時点(11月3日)では1ポイント台まで差が縮まり、トランプ氏が勝利する確率が上昇している。
トランプ氏が勝利するためには、フロリダ州、ペンシルバニア州など票数の多い州を中心に、激戦区をすべて取り、民主党がやや優勢な州でも勝利する必要がある。大方の票読みでは、クリントン氏が8割弱の確率で勝利すると見られてきたが、トランプ氏の支持率が急上昇していることで、大統領選の結果には不透明感が増した。もし支持率が逆転して選挙当日を迎えた場合には、2割強と計算されていたトランプ氏勝利が実現する可能性がある。
この情勢変化に金融市場はドル売りと株売りで反応している。実際にトランプ氏が勝利した場合には、少なくとも短期的にはドル下落と株下落というネガティブな反応になると考えるべきだろう。
金融市場がトランプ氏勝利を「トランプ・リスク」として警戒するのは、トランプ氏の政治家としての手腕が全く未知数で、就任後の政策に不透明感が強いこと、また、これまでの暴言も加味すると、国内政治も対外政策も混乱するのではないかとの恐れもあるからだ。クリントン氏が政治家として豊富な経験と実績を持つのと対照的である。トランプ氏が勝利した場合、金融市場は一時的なものではあってもリスクオフとなり、グローバルに株式相場が大幅に下落することが懸念される。
<クリントン氏勝利でもバラ色ではない>
しかし、本当にトランプ氏が勝利すれば「先行き真っ暗」で、クリントン氏が勝利すれば「バラ色」といった違いが発生するのか。
確かに相対的にはクリントン氏勝利の方が安定性という観点からはポジティブだが、大局的にはそこまでの大きな違いはないと筆者は考える。一般的に、選挙キャンペーン中の「公約」通りに政策が運営されるとは限らず、また優先順位が異なることも多い。このためトランプ氏が勝利しても、発言通りの政策が運営されるとは限らない。
また、法案審議は議会が行うため、大統領が極端な政策を出しても、議会がそれをブロックする。トランプ氏の言動に振り回されることは多くても、米国が凋落するほどの直接的な影響は恐らくないだろう。
日本への影響について言えば、安全保障問題では日米の同盟関係に対してトランプ氏は見直しを、クリントン氏は継続を、それぞれ主張しているため、大きな違いがあるが、通商面ではトランプ氏もクリントン氏も環太平洋連携協定(TPP)には反対であるため、どちらが勝利しても当面大差はないだろう。
国内経済政策については税制や財政政策、社会保障など、トランプ氏とクリントン氏の「公約」にはむろん違いはある。だが、クリントン氏が勝利しても、トップ1%問題(超富裕層への富の集中)に代表されるような格差問題など、米国の社会問題を根本的に解決することは難しく、また国際経済・政治の面でも1990年代のような米国の圧倒的な優位を回復できる見込みは小さい。筆者はこの点が大統領選後の米国を考えるうえで重要だと考えている。
<オバマ氏の力量不足だけを責められない>
過去の大統領選において大差でキャンペーンを勝ち抜いた例では、2008年のバラク・オバマ氏1期目、1992年と1996年のビル・クリントン氏、1984年のロナルド・レーガン氏といった例がある。共通するのは経済の停滞や社会の閉塞感を打ち破ることを期待された候補者が広い層から支持を得て勝利したという点である。
そして結果も、ビル・クリントン大統領は経済政策を優先させることで実際に発展の90年代を築いた。俳優出身でアウトサイダーに近かったレーガン大統領も任期中は「レーガノミクス」と呼ばれる政策のもとで米国経済の再生に貢献した。
オバマ大統領は2008年に「Change」を合言葉に熱狂的な支持を得て当選したものの、結局、2期8年かけても経済の活性化はかなわず、対外的にも米国の絶対的優位を回復することはできなかった。国内経済・社会、そして国際経済・政治の中での米国の相対的な位置づけが80年代のレーガン大統領や90年代のビル・クリントン大統領の時代と比べ、変容し、劣化したことが大きな背景だろう。
「テロとの戦い」から米国は退くことができず、一方で中国その他の新興国の経済発展が米国の経済的・政治的な立ち位置を相対的に変えてきた。金融危機後は低成長が長期化して今日に至る。オバマ大統領がヒーローのごとく登場しながら、国民に失望感を与えて終わるとしても、本人の力量不足だけが原因ではなかろう。
<クリントン氏への期待値も高くない>
話を今回の選挙戦に戻せば、投票日を前に、「トランプ・リスク」ばかりが注目されている。だが、トランプ現象という言葉に示されるように、トランプ氏に根強い支持者が存在することも忘れてはならない。予備選で善戦しながら敗退した民主党のバーニー・サンダース上院議員も社会民主主義を掲げて若年層を中心に熱狂的な支持を得ていた。いずれの現象の背景にも、米国社会の変容がある。
ただ、トランプ氏が大統領となって最大限善戦したとしても、共和党内部の分裂のため議会の協力を得られず、4年間でポジティブな結果を残すことは難しいだろう。
一方、クリントン氏が優勢だった過去1カ月程度の期間でも、米国株式市場にはこれを歓迎して上昇する動きは出なかった。また、世論調査会社ギャロップが行った調査では、大統領としての資質の有無を問う質問に対して、クリントン氏に資質有りとの回答は51%、トランプ氏に資質有りとの回答は32%だった。
トランプ氏の32%は言うまでもなく低いが、クリントン氏の51%も過去の同様の世論調査で各候補者が獲得した52%から61%の範囲よりも低水準なのだ。クリントン氏が大統領に選出されても、大きな変革を期待する向きは少ないことが示唆される結果である。
クリントン氏は政治家としての経験やネットワークを生かした行動を取るだろうが、成功するか否かは同氏が米国の変容をどこまで甘受できるかによる。トランプ氏が「Make America great again(米国を再び偉大に)」と唱えたのに対して、クリントン氏は「America is still great(米国はいまだ偉大だ)」と反論した。この姿勢は国内の変容への対応の遅れと同時に、対外的な強硬路線の可能性を示唆するものだ。
金融市場のみならず、他国が「トランプ・リスク」を恐れるのも納得できる。だが、クリントン氏が選出されれば今後4年間で問題が解決され、発展の時代に入ると想定することには無理がある。新興国も含めて、低成長は長期化し、経済・政治の両面で反グローバリゼーションの強まりが見られる。世界共通の課題とも言えるが、そうした中で今回の大統領選において米国にヒーローが登場する兆しはない。
*山下えつ子氏は、三井住友銀行のチーフ・エコノミスト。東京大学経済学部卒。1990年から2000年はロンドン駐在エコノミスト。2003年より現職。現在は米ニューヨークに駐在。
*本稿は、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら)
(編集:麻生祐司)
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-etsuko-yamashita-idJPKBN12Z051?sp=true
トランプ氏の海外事業、前例なき利益相反の恐れ
政治に関与し続けるなら問題消えず
https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-QH506_TRUMPF_M_20161017115533.jpg
開業した「トランプタワー・イスタンブールモール」を訪れるトランプ氏と娘のイバンカ氏(2012年4月、トルコ・イスタンブール) PHOTO: EPA
By ALEXANDRA BERZON
2016 年 11 月 4 日 14:05 JST
実業家ドナルド・トランプ氏の成人した娘や息子たちは、政治的影響力をもつ海外企業とのビジネスをここ10年ほど手がけてきた。米大統領選で共和党候補として大接戦を演じる同氏が、来週8日に勝利するにせよ、敗退後も政治活動を続けるにせよ、これが利害の衝突を生む可能性がある。
海外事業を担当するイバンカ・トランプ、ドナルド・トランプ・ジュニア、エリック・トランプの3氏の取引相手の中には、インドの与党政治家である不動産経営者の一族や、アゼルバイジャン政府の閣僚の息子、トルコで7月に起きたクーデター未遂事件で国民の結束を呼びかけるエルドアン大統領のメッセージ発信に一役買ったメディア企業などがある。
近年の大統領経験者の中で、在職中にトランプ氏ほど大々的に海外ビジネスの利権を有していた者はおらず、子どもたちが事業経営に深く関与する一方で選挙キャンペーンにも協力するというのは前例がない。
「トランプタワー・ムンバイ」の起工式にインド高級不動産デベロッパーのロドハ・グループ幹部(中央)と登場したトランプ氏(左)とトランプ・ジュニア氏(2014年8月) ENLARGE
「トランプタワー・ムンバイ」の起工式にインド高級不動産デベロッパーのロドハ・グループ幹部(中央)と登場したトランプ氏(左)とトランプ・ジュニア氏(2014年8月) PHOTO: KUNAL PATIL/HINDUSTAN TIMES/GETTY IMAGES
米国の法律は、金銭上の利害を伴う決定に関与しないことを多くの政府職員に義務づけているが、大統領と副大統領はこうした利益相反ルールの適用を受けない。しかし、ブッシュ氏父子やビル・クリントン氏、ロナルド・レーガン氏は自発的に、公益を損なわないよう大半の資産を「ブラインド・トラスト」と呼ばれる受託機関に白紙委任していた。
トランプ家のファミリー企業である「トランプ・オーガニゼーション」の法律顧問、アラン・ガーテン氏は、トランプ氏が大統領になれば「ビジネスに関与しない」と断言。「彼の仕事は明らかに大統領の職務に専念すること。会社経営はドン(ジュニア)、イバンカ、エリックに任せる」と述べた。
トランプ・オーガニゼーションは不動産やホテル経営、高層マンションの管理などを手がける。その多くは国内にあるが、近年は海外事業の比重が格段に増しており、直近10件の不動産または不動産ブランド事業の新規計画はすべて海外だった。
ドナルド・トランプ氏は全米の世論調査でヒラリー・クリントン氏との差を縮めている。WSJワシントン支局のジェラルド・F・サイブ支局長が激戦州への影響について解説する(英語音声、英語字幕あり)
現地デベロッパーが建てた高層マンショやホテルのライセンス契約(場合によっては管理契約)がビジネスの大半を占め、顧客には「トランプ」の名を冠した高級マンションを購入する裕福な実業家や政治家が含まれる。近年は子どもたちが日々の業務の多くを引き継いでいた。
しかし、トランプ氏が大統領に就任すれば、特に海外事業に関して、政治的な利害対立をめぐる疑問が生じかねないと、ブッシュ前政権でチェイニー副大統領の国家安全保障担当副補佐官を務めたアーロン・フリードバーグ氏は指摘する。
同氏は「彼の一族がありとあらゆる場所で重要なプレーヤーと取引しているのは事実」だとし、「それらの国々では取引相手となる資産家が何らかの形で政治にも関与する。完全に切り離すことなどできるだろうか」と述べた。さらに同氏は、トランプ氏が政治に関与し続けるならば、この問題は消えないと指摘する。
フリードバーグ氏は、8月に安全保障の元当局者らが「外交政策の観点から適格性に欠ける」としてトランプ氏に投票しないよう呼びかけた公開書簡に名を連ねた1人。これに対し、トランプ氏は彼らを「ワシントンの挫折したエリート」と呼び、自分を支持する軍事関係者のリストを発表していた。
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クリントン氏が僅差でリード、投票日まであと5日−世論調査まとめ
Sahil Kapur
2016年11月4日 04:44 JST
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米大統領選の投票日を5日後に控えた3日、複数の世論調査の結果が公表され、民主党候補ヒラリー・クリントン氏が共和党候補ドナルド・トランプ氏をわずかながらリードしていることが明らかになった。
ニューヨーク・タイムズ紙とCBSがまとめた登録有権者を対象にした全米世論調査ではクリントン氏の支持率が45%、トランプ氏は42%で、クリントン氏のリードは10月半ば時点での9ポイントから縮小。誤差率はプラスマイナス3ポイント。
ワシントン・ポスト紙とABCニュースによる追跡調査では、クリントン氏が47%でトランプ氏の45%を上回っているが、この差は誤差率の範囲内。クリントン氏は先週以降、トランプ氏に押され気味となっている。
クリントン候補
クリントン候補 Photographer: Daniel Acker/Bloomberg
このほかインベスターズ・ビジネス・デーリーとTIPPによる世論調査では、トランプ氏とクリントン氏の支持率は44%で横並び。ラスムセンの調査ではトランプ氏が45%と、クリントン氏(42%)をリードしている。
州別の世論調査を見ると、WBURによるニューハンプシャー州の調査では、トランプ氏が40%で、クリントン氏(39%)を1ポイント上回る。グラナイト・ステートの調査ではクリントン氏がここ数カ月にわたり優位を維持している。
州ごとの世論調査の平均を見ると、最低270人を目指す選挙人獲得レースではクリントン氏が引き続き優勢となっている。同氏の課題となるのは、オバマ大統領に過去2回勝利をもたらした民主党支持のグループであるミレニアル世代や非白人、未婚女性の投票率を最大限に高めることだ。民主党支持者の投票が減り、大学の学位を持たない白人を中心としたトランプ氏の支持基盤で投票率が予想以上に高くなれば、トランプ氏が逆転勝利する可能性が出てくる。
モンマス大学の世論調査によると、ユタ州ではトランプ氏が37%で支持率トップ。クリントン氏は31%で、保守系の独立候補エバン・マクマリン氏が24%となっている。
原題:Clinton Has Narrow Edge With Five Days Until Election: Poll Wrap(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-11-03/OG2YZF6VDKHS01
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