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「欧州で高まる銀行不安」〜英国に続くイタリアのEU離脱観測も高まるだろう/nhk・百瀬好道
http://www.asyura2.com/16/kokusai15/msg/881.html
投稿者 仁王像 日時 2016 年 11 月 01 日 20:05:22: jdZgmZ21Prm8E kG2JpJGc
 

「欧州で高まる銀行不安」(キャッチ!ワールドアイ)
2016年10月27日 (木)
百瀬 好道 解説委員
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/900/255668.html

(山澤)
ヨーロッパでは、大手銀行の経営に対する不安がくすぶっています。ドイツの金融最大手ドイツ銀行は、金融商品の不正販売をめぐってアメリカ政府から1兆4000億円のいわゆる「罰金」の支払いを求められています。
またイタリアの大手銀行では3兆2000億円が不良債権化しています。これがヨーロッパの金融危機の火種になるのではとの警戒感が高まっています。
ヨーロッパの銀行で何が起きているのか、百瀬解説委員とともにお伝えします。まずは、ドイツ銀行の現状について丹野さんからです。

(丹野)
ドイツ銀行は、アメリカで、金融商品のリスクを詳しく説明せずに販売したとしてアメリカの司法省から1兆4000億円の和解金を支払うよう求められています。
ドイツ銀行は、減額を求めてアメリカ政府と交渉中ですが、資本不足に陥るとの見方が広がり、株価は急落。
公的支援の可能性も取りざたされるなど、経営不安が広がっています。
ドイツの金融最大手をめぐる巨額の和解金の支払い、そして経営不安の広がりなど、問題はかなり深刻ですね。

(百瀬)
問題は2つあって、アメリカへの和解金の支払いが銀行経営を揺るがすおそれがあるのがひとつ。もう一つは収益力が落ちていることだ。

和解金は1兆4000億円だが、こうした場合に備えて予め準備しているお金は5400億円と4割にすぎない。
最終的に決まる金額によっては、準備金との差額を手当てする必要があり、経営を圧迫する恐れがあるわけだ。
ドイツ銀行はアメリカでの業務の縮小や1万人近い人員削減を計画し、経営のスリム化をめざしているが、富裕層の資産管理による手数料や株や債券の売買など肝心の本業が振るわず利益が思うように伸びていない。

(山澤)
そしてもう一つの問題は、巨額の不良債権を抱えるイタリアの大手銀行です。
再び、丹野さんです。

(丹野)
イタリア3位のモンテ・ディ・パスキ・ディ・シエナ銀行。通称はモンテパスキで、ユーロ危機で融資先の企業が倒産するなどして、貸し出しの3分の1にあたるおよそ3兆2000億円が不良債権化しています。
また、7月のヨーロッパの銀行検査で経営基盤が最も弱いことがわかり、今不況がおきると3年後には最低限必要とされる自己資本が足りなくなると指摘されています。

(山澤)
モンテパスキの状況もかなり深刻ですが、この危機を乗り越える方策はあるんでしょうか。

(百瀬)
不良債権を急いで処理して、健全性の目安とされる自己資本の水準を維持しないと破綻してしまう。
そこで、再建策として、▼18年までに不良債権を40%減らす、▼50億ユーロ、5650億円の増資によって自己資本の上積みを図る方針だ。しかし実現は疑問視されている。イタリアの景気が悪すぎるからだ。
この5年間をみると、イタリア経済は、マイナスかゼロ成長で、他のEU諸国に比べて景気回復が出遅れている。
不況が続くと不動産が値下がりして不良債権の額がさらに膨らむ、あるいは、増資をしようにもなかなか引き受け手がない、先行きは相当厳しいだろう。

(山澤)
どちらの銀行もヨーロッパを代表する銀行とも言えると思いますが、こうした問題が国際的な危機につながる可能性はあるんでしょうか。

(百瀬)
今すぐ2つの銀行が経営破綻に瀕する心配はないが、マーケットが神経質になっているのは確かだ。
その理由は、過去の経験、例えばリーマンショックのように金融危機は、小さな信用不安でも疑心暗鬼から銀行同士の貸し借りが滞ってマネーの流れがストップし、金融システム全体が機能しなくなってしまう。

まして、ドイツ銀行は世界第4位の規模なので影響力は大きい。イタリアの場合は政治不安という要因が加わる。
反EU勢力が勢いを増していて、政治の展開によっては、EU離脱、第2のイギリスになる可能性も取りざたされている。そうなれば深刻な経済危機は避けなれないだろう。

(山澤)
二つの銀行は厳しい状況ですが、一度金融危機を経験しているヨーロッパ特有の事情もあるんでしょうか。

(百瀬)
経済面でいうと金融緩和政策、特にマイナス金利政策の影響が大きいと思う。日本でも問題になったが、金利が下がり過ぎると銀行にとっては利ザヤが縮小し収益が圧迫されてしまう。2つ目はヨーロッパの銀行救済ルールの特殊性だ。

アメリカや日本では、金融危機の場合、国家や中央銀行が税金を早めに投入して早く危機の芽を摘むのが常識。
しかし、ヨーロッパではユーロ危機を経験し、銀行への税金投入に対する市民の反発が強く、簡単にEUや国家が危機に介入できない仕組みになっている。
つまりEUや国家による救済という切り札が使えず、迅速に危機に対応できないのでないかという見方が市場に広がっているのだ。

(山澤)
EU域内では他国の経済動向の影響を受けやすいので、政治にも影響がありそうですね。

(百瀬)
イタリアでは12月初めに議会制度の改革の是非をめぐる国民投票が予定されている。野党はこぞって反対していて予断を許さない。もし否決となればレンツィ政権は求心力を失い、EU離脱の国民投票を要求している野党の五つ星運動が政権に近づく可能性も高まってイギリスに続くイタリアのEU離脱観測も高まるだろう。
政治の混迷は、マーケットの混乱につながり、イタリアの銀行再建計画が破綻するだけでなく、ヨーロッパ発の金融危機の火種になりかねない。

(山澤)
そうしますと、両銀行をめぐる今後の動向に目が離せませんね。

(百瀬)
実は27日にドイツ銀行、28日にモンテパスキの7・9月期の決算が発表される予定。
ヨーロッパではイタリアの国民投票、アメリカでも大統領選挙やFRB=連邦準備制度理事会の金利の引き上げなど、これから国際政治や国際経済にとってのイベントが目白押しで、マーケットの動向にも注意が必要だ。

(山澤)
ここまで、ヨーロッパで高まる銀行不安について、百瀬解説委員とお伝え致しました。  

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