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ドゥテルテ氏 放言外交
米、決別発言で国務次官補急派 同盟国の混乱深まる
【マニラ=遠藤淳】フィリピンのドゥテルテ大統領の外交政策が混乱を呼び込んでいる。訪中して習近平国家主席と会談し、南シナ海の領有権争いで冷え込んだ両国関係の改善に合意した20日に「米国と決別する」と発言。米国はラッセル国務次官補を急きょフィリピンに派遣する。反米発言を放置すれば外交への影響が避けられないと判断した。ドゥテルテ氏は25日から訪日予定で、対中けん制で米比と足並みをそろえてきた日本は難しい対応を迫られる。(1面参照)
問題の発言は北京で開かれた経済セミナーで飛び出した。ドゥテルテ氏が米国を念頭に「ロシアに行きプーチン大統領と話をする。『世界に対抗するのは中国、フィリピン、ロシアの3カ国だ』と言うかもしれない」と述べ「軍事でも経済でも米国との決別をここに宣言する」と言い放った。
反米的な発言が目立つドゥテルテ氏だが、ここまで強い言い回しは異例だ。同行のドミンゲス財務相とペルニア国家経済開発庁長官は連名で「我々は西側諸国との関係を維持する」との声明を発表。21日にはロペス貿易産業相が「(米国との)貿易や投資を止めることはない」と述べるなど閣僚が火消しに追われた。
懸念の声は比国内からも上がる。複数の国会議員が「経済面で米中のどちらかを選ぶ必要はない」などと声明を出した。親米路線を推進したデルロサリオ前外相は「国家の悲劇だ」と嘆いた。
米国は不快感を隠さない。カービー国務省報道官は20日の記者会見で「発言の真意の説明を受ける」とし、ラッセル氏を22日に急派すると表明した。
ドゥテルテ氏はこれまでも米軍の事実上の再駐留を認める防衛協力強化協定を「見直したい」、合同軍事演習は「次が最後だろう」と言及。9月にはオバマ大統領を「ろくでなし」と侮辱し、米側に首脳会談をキャンセルされた。米は止まらない暴言にしびれを切らし、高官が直接会って事態の打開を図る。
米比関係は深い。米国にとりフィリピンは日韓やオーストラリア、タイと並ぶアジア太平洋地域の同盟5カ国の一角を担う。フィリピンにとっても米は2015年の対内直接投資で首位、輸出先では2位。1千万人を超す在外フィリピン人の3割以上が米国で暮らし、送金で比経済を支える。
それでもドゥテルテ氏は中国に急接近する。訪中前には南シナ海問題で中国の主張を退けた7月の仲裁裁判所判決について「首脳会談で取り上げる」と話したが、21日発表の共同声明では触れていない。経済協力を引き出すため、融和的な姿勢に徹した印象だ。
アキノ前政権は日米と連携し、中国の海洋進出に圧力をかけてきた。ドゥテルテ政権の外交政策の転換は、米中をてんびんにかけ、自国に有利な状況を作り出そうとする巧妙な戦略に見えるが、度が過ぎれば経済や安全保障をリスクにさらす。それでも麻薬犯罪などに対する強硬な姿勢が支持され、ドゥテルテ氏の国内での支持率は9割近くを誇り、放言に歯止めがかかりにくい状況だ。
〈中国・フィリピン共同声明のポイント〉
○南シナ海問題は直接の当事国が話し合いで平和的に解決と確認
○航行の自由など国際法の原則の重要性を確認。仲裁判決への言及はなし
○南シナ海での行動自制を約束
○人道支援や災害対策などの軍事交流を強化
○インフラ建設など経済協力の推進
○ダバオに中国領事館や中国路線を新設
[日経新聞10月22日朝刊P.3]
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