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討論会に臨んだ民主ヒラリー・クリントン氏(右)と共和ドナルド・トランプ氏
第2回討論会から見えた7つのポイント 米大統領選
http://www.cnn.co.jp/usa/35090275.html
2016.10.10 Mon posted at 21:52 JST
ミズーリ州セントルイス(CNN) 米大統領選に向けた9日の第2回討論会では、共和党候補のドナルド・トランプ氏が民主党候補のヒラリー・クリントン氏の刑務所送りも辞さない構えを見せる一方、自身が連邦所得税を払っていないことを認め、外交政策では副大統領候補のマイク・ペンス氏と意見を異にする場面も見られた。
トランプ氏は女性に対する自身の性的な攻撃的発言を「ロッカールーム・トーク」に過ぎないとやり過ごし、ビル・クリントン元大統領の性的に不適切な行為をめぐりヒラリー氏を攻撃した。虚偽の主張や事実誤認も繰り返した。
今回の討論会はトランプ氏にとっては改善と言える。トランプ氏がクリントン氏を選挙戦で抜き去るまでには至らなそうだが、討論会に先立つ48時間の苦しい状況から救われた可能性もある。
以下では第2回討論会のポイント7つを挙げる。
1.「焦土作戦」のような批判
トランプ氏はクリントン氏を「悪魔」と呼び、自分が大統領に選出されれば特別検察官を指名すると言明。クリントン氏を収監する可能性も示唆した。クリントン氏は心の中に「非常に大きな憎悪」を抱えているとも主張した。
だが、これ以上にショッキングな場面も見られた。
トランプ氏は討論会開始の90分前に急きょ記者会見を開催。性的に不適切な行為があったとしてビル氏を批判する女性3人に加え、12歳のときに男に強姦(ごうかん)されたとする女性と同席した。ヒラリー氏は裁判所の指名でこの男の弁護士を務めていた。
トランプ氏は討論会でビル氏に関し、米国の政治史上で同氏ほど女性に対して虐待的な態度を取った人物はいないと指摘。「ヒラリー氏は同じ女性たちを攻撃した。激しい攻撃だった」と述べた。ただ、この主張を裏付ける証拠は提示しなかった。
共和党全国委員会のプリーバス委員長は討論会後CNNに対して、4人の女性を招いたことについて「私は関与していない。陣営の判断だ」と語った。
トランプ氏は女性を見下す過去の発言を釈明
2.トランプ氏、下品な発言は「ロッカールーム・トーク」だとやり過ごす
トランプ氏は討論会の冒頭で、自身の地位があれば女性を性的に乱暴することも許されるとした2005年のコメントが映像に収録されていた件をめぐり、対応を余儀なくされた。
トランプ氏は「あれはロッカールーム・トークだった」と釈明。「発言を誇りには思っていない。家族と米国民に謝罪する。誇りに思っていないのは確かだが、あれはロッカールーム・トークだ」と述べた。
問題の動画でトランプ氏は「性器をつかむ」と述べているが、司会者から実際にこうした行動に及ぶため女性に近づいた経験があるかと問われると、それは否定した。
クリントン氏は、動画での発言はトランプ氏の女性に対する見方や言動を示すものだと述べ、「これがドナルド・トランプ氏の姿だ」と切り捨てた。この機会を利用し、イスラム教徒やメキシコ移民らへのトランプ氏の過去の攻撃も批判した。
3.追及をかわしたクリントン氏
共和党の政治活動家の多くにとって目を引いたのは、各種の争点でのクリントン氏の弱みであり、そこにトランプ氏がどうつけ込むかだ。
だがトランプ氏は、内部告発サイト「ウィキリークス」により7日に公開された非公開講演でのクリントン氏の発言を引用しなかった。ビル氏がオバマ大統領の医療保険制度改革について、「世界で最もクレージーなもの」と評したコメントを取り上げたのも、トランプ氏ではなく司会者だった。
トランプ氏がクリントン氏に明確に打撃を与えたのは、公的な立場と私的な立場で「2つの顔」を使い分けるのは適切かと問われたときだった。クリントン氏はエイブラハム・リンカーン元米大統領を引き合いに出し、リンカーンは奴隷制を廃止するため、各議員に対し異なる主張を展開していたと指摘した。
これに対しトランプ氏は「うそだ。クリントン氏は自分のうそを偉大なリンカーンのせいにしている」と切り返し、「正直者のエイブ(リンカーン)は決してうそをつかなかった。それがリンカーンとクリントン氏の大きな違いだ」と述べた。
だがクリントン氏は、大きな打撃となりかねなかった各種の論争をめぐり、おおむね無傷で切り抜けた。冒頭でビル氏の不倫問題などをめぐりトランプ氏の激しい批判を浴びても、感情をほとんど表に出さなかった。
クリントン氏は討論会後、「予測していたものが多く来た」「トランプ氏が大統領や軍最高司令官となる資質がないと最初に言うのはこれが理由だ」と語った。
トランプ氏はクリントン氏のメール問題を調査する特別検察官の任命を言明
4.トランプ氏は支持層にアピールもそれ以上届かず
トランプ氏にとって最大の問題は、既に同氏を支持していない有権者にまで自身の訴えが届かないことだ。
ヒラリー氏を収監するとの発言からビル氏を攻撃した記者会見に至るまで、既存の支持層にアピールする要素は数多くあった。ただ、トランプ氏のコメントの多くは、右派の活動家で構成される一部の有権者にしか響かないものだった。
トランプ氏はクリントン氏の私用メールサーバー問題を再三にわたり攻撃した。保守系のラジオ番組や「ブライトバート・ニュース」などのウェブサイトを視聴している忠実な支持者には格好の話題だが、フィラデルフィア州郊外に住む女性などトランプ氏が勝つために必要な有権者に与える影響は少ない。
アフリカ系米国人の感情を害するリスクも冒した。黒人男性の質問に対し、「インナーシティー」を援助する考えに言及したことで、アフリカ系米国人の住んでいる唯一の場所はインナーシティーだと示唆する形になった。
また、イスラム恐怖症について質問したイスラム教徒の女性に対しては、「イスラム教徒が入国し、何かが起ころうとしていることを知っている場合は確実に報告するようにしなければならない。憎悪行為が生じようとしていることを知っている場合は、それを報告する必要がある」と述べた。
5.クリントン氏を収監?
トランプ氏は今回、2つの秘策を用意して討論会に臨んだ。討論会前のビル氏に対する攻撃と、私用メールサーバー問題をめぐるヒラリー氏への一段と激しい攻撃だ。
トランプ氏は自身が勝利した場合、特別検察官を指名してヒラリー氏の状況を調査するよう命じる意向を明らかにした。今年の選挙戦の激しさを考慮に入れてもこれは特筆すべき場面で、米国の民主主義よりも独裁体制にふさわしい発言だった。
これに対しクリントン氏は、トランプ氏の最大の弱みである気性を攻撃しようと、「トランプ氏のような気性を持つ人物が我が国の法律の責任者でなくて良かった」と述べた。これにトランプ氏は「(責任者だったら)あなたが刑務所にいたからだろう」と切り返した。
握手なしでスタートした討論会だったが、終了後は両者が握手を交わした
6.トランプ氏の虚偽の主張
前回の討論会と同様、トランプ氏は再三にわたり虚偽の主張を展開した。一方クリントン氏は、自身のウェブサイトを訪れて事実確認するよう視聴者に呼びかけた。
トランプ氏は税金政策をめぐりクリントン氏を攻撃。全国民に対し増税することを提案しているとして批判した。ただクリントン氏は、増税の対象となるのは富裕層だけだとしている。
トランプ氏また、元ミス・ユニバースのアリカ・マチャドさんの実際には存在しないセックステープを探すよう呼びかけたことを否定したり、自分はイラク戦争に反対していたと述べるなど、事実と異なる主張を展開した。
オバマ大統領が米国で生まれたことを疑問視する「バーサー運動」を5年にわたり主導したのはトランプ氏であるにもかかわらず、この論争を始めたのはクリントン氏だとする批判も展開した。
トランプ氏の支持者は同氏の主張を言葉通りには受け止めていない。トランプ氏は手の内を明かさないことが賢い交渉者になるのに役立つと自認している。事実の確認は同氏には何の意味もない。
7.トランプ氏は「出血」を止められたか?
今回の討論会でトランプ氏に課されていた主な役目は、自身が大統領にふさわしい性格と気質の持ち主だと有権者に納得させることではなく、危機を食い止めることだった。
討論会に先立っては、副大統領候補選のマイク・ペンス氏が距離を取る姿勢をみせていたほか、大勢の連邦議会議員がトランプ氏を批判。共和党全国委員会も「トランプ氏切り」を検討していた。
CNNと調査会社OCRが討論会後に行った世論調査によると、クリントン氏が勝ったとしたのは57%、トランプ氏勝利としたのは34%と、クリントン氏に軍配が上がった。ただ、視聴者の63%はトランプ氏が予想以上の健闘を見せたと述べ、予想より悪かったと述べた人は21%にとどまった。トランプ氏の勝利とは言えないが、完全な「メルトダウン」は回避した格好だ。
トランプ氏はネバダ州ラスベガスで来週に行われる最後の討論会に望みをつなぐ必要があった。トランプ氏の今回のパフォーマンスにより支持者の勢いは高まるとみられる。これにより共和党員が離反するのは難しくなる見通しだ。トランプ氏が選挙戦を継続するための組織面での支援も引き続き保証されるだろう。
ただ、シリア情勢をめぐる見解がペンス氏と食い違っていることが露呈するなど、共和党内の分裂の兆しは依然として残っている。
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