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(回答先: 平和友好条約の勧め 日ロの領土交渉促すには:戦争後の講和をイメージする「平和条約」の呼称から脱却 投稿者 あっしら 日時 2016 年 10 月 07 日 03:51:10)
[風見鶏]「深夜の男」との交渉
強権でならすロシアのプーチン大統領は、「深夜の男」としても知られる。深夜に平気で会議を開いたり、外国要人との会談を入れたりするからだ。
交渉術のひとつという説もあるが、内情に通じた日本政府関係者は明かす。
「重要決定は彼しか下せないため、とても忙しい。日程上、本当に会談が夜遅くにずれ込んでしまうことも少なくない」
9月4日から、中国・杭州で開かれた20カ国・地域(G20)。合間に開かれたメルケル・ドイツ首相との会談が始まったのも、やはり深夜だった。
「あなたに、まだ体力が残っているといいんだが」。こう切り出したプーチン氏に、メルケル氏が「欧州時間ではまだ昼間。問題はない」と応じたという。
そんなプーチン氏を12月に日本に招き、安倍晋三首相は北方領土交渉の打開をめざす。強い権力をもつ彼と交渉しなければ、解決しない。これが持論だ。
この発想に異を唱える人は少数だろう。問題は、プーチン氏は「強い指導者」であるという前提が、どこまで正しいのかだ。
80%台の支持率を誇るプーチン氏だが、実は、政権運営は自転車操業に近いという見方も少なくない。プーチン政権を分析するロシア内外の識者に聞くと、こんな答えが返ってきた。
いまの支持率は、2014年3月のウクライナのクリミア編入のおかげだ。それまではメディアを動員しても60%台だった。15年秋からのシリア軍事介入で人気を保っているが、制裁で経済が悪化すれば支持率は急落しかねない。
強権体制を維持するのは、ただでさえ大変だ。首脳はすべて自分で決断し、リスクをとらなければならない。体力的にも心理的にも消耗する。
政権幹部も同様だ。たとえば、約12年間、外相を務めているラブロフ氏(66)。複数の外交筋によると、彼は過去に数回、プーチン氏に「退任したい」と伝えた。
「10年以上もやれば、さすがに疲れる。だが、プーチン氏から残留するよう言われ、やめられない」
だからといって、日ロ関係を打開しようという安倍氏の姿勢が、政治家として間違っているというわけではない。ただ、状況を冷徹に分析し、どこまで交渉に傾斜するのが最善か、精査し続けることも肝心だ。
日ロは1956年の日ソ共同宣言で、歯舞、色丹の2島を日本に引き渡し、平和条約を結ぶことでいったん合意した。プーチン氏はこれに基づき、北方領土の陸地面積の7%にすぎないこの2島を渡し、最終決着とするつもりだろう。
彼と14回会談した安倍氏も「先方の意図は分かっている」(周辺)。周辺によると、それでもあえて交渉に臨むのは、次のような信念からだという。
日本のいちばんの課題は、国力格差が広がる中国にどう向き合うかだ。日米同盟を強めるだけでは足りない。平和条約を結び、中国をにらみ、ロシアともある程度、協調できるようにする必要がある――。
この路線が正しいかどうかは、結果がすべてだ。うまくいけば、日本の外交基盤は安定する。失敗すれば、対中戦略でロシアからたいした協力を得られず、領土をただ取りされるという、最悪の結末になる。
その危険は小さくない。ロシアの外交戦略家はこう警告する。「ロシアは中国を警戒しているが、対立はしたくない。しかも日本は米国の同盟国。日本と対中戦略で協力できる余地はかなり限られる」
プーチン氏との交渉は、一筋縄ではいきそうにない予兆が漂っている。
(編集委員 秋田浩之)
[日経新聞10月2日朝刊P.2]
- 政治的妥協の技:安倍首相は米国の要望に反してロシアとの関係を発展させることができるか? あっしら 2016/10/07 03:55:23
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