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オバマはリーダーシップを発揮できていない AP/AFLO
混迷する米国政治を見て大統領制放棄もありうると落合信彦氏
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160926-00000001-pseven-int
SAPIO2016年10月号
中国の台頭と対照的に、アメリカのプレゼンスの低下が顕著になりつつある。かつての「超大国」の弱体化は、そのリーダーの劣化に象徴的にあらわれているとジャーナリストの落合信彦氏は指摘する。
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この9月上旬、書き下ろしの著書となる『そして、アメリカは消える』を上梓する。若き頃、ペンシルヴァニア州のレディング市にあるオルブライト大学に入学してから、私は半世紀以上にわたってアメリカを見つめ続けてきた。今回の本は、私のアメリカ研究の集大成となるものだ。
そのタイトルが「アメリカは消える」であることは、アメリカを愛する私にとってはいささか残念だが、それこそがあの国の置かれている現状なのだ。
「世界の警察官」としての役割をかなぐり捨て、世界に対するプレゼンスも低下してしまった。大統領のオバマは何のリーダーシップも発揮できていない。さらに次の大統領候補たちが繰り出す主張を聞いていると、そのレベルの低さに溜息さえ出てくる。
アメリカという国はあるにはあるが、「大国」としての存在感が消えつつあるのだ。それは、檻に入れられすっかりおとなしくなったアフリカ象のように見える。その隙をついて、中国とロシアという猛獣たちが暴れ回っているのだ。
私が初めてアメリカの大地を踏んだ時、あの国は、輝いていた。船でロス・アンジェルスに着いた私は、懐に20ドルしか持ち合わせがなかった。当時、ロスから大学のあるペンシルヴァニアまで行くには、バスで75ドルかかった。汽車はその倍以上だ。だから私は、ヒッチハイクで大学へ向かうしかなかった。
見ず知らずの日本人を、みな快く乗せてくれた。大学のある街に着くと、入学担当の責任者が、カネがなくみすぼらしい格好をしていた私のためにキャデラックで迎えに来てくれた。
さらにアメリカは、授業料だけでなく食費や教科書代、寮費、医療費、小遣いなどすべてを含む、3800ドルものスカラシップ(奨学金)を出してくれた。お金がない外国人にも教育の機会を平等に与えてくれたのだ。
自由、平等、それを支える「大国」のパワー。強く、美しい国だった。ところが、今のアメリカは、あの頃とはまったく違う。同じ国とは思えないほどに落ちぶれてしまった。
アメリカの劣化は、リーダーの劣化に象徴される。共和党候補ドナルド・トランプの暴言癖は今に始まったことではないが、8月には「バラク・オバマとヒラリー・クリントンがISを創設した」と発言して問題になった。批判の声が寄せられると、発言を撤回したものの「発言を曲解したメディアが悪い」と責任転嫁する始末だ。トランプは、イラクで戦死したイスラム教徒のアメリカ人戦没者遺族を中傷する発言をして、大きな批判を浴びたばかりだ。
共和党では、大統領選を前に「トランプ不支持」の声が広がっている。あまりの素養のなさに、ようやく「トランプが大統領になってしまうのは危険だ」との認識を持つ者が増えてきたようだ。
副大統領候補とも言われた共和党の重鎮・ギングリッチ元下院議長は、「トランプ氏が今のやり方を続けていたら、大統領にはなれない」と言及。トランプと候補者指名を争った元フロリダ州知事のジェブ・ブッシュも、ツイッターでトランプ批判を展開し始めた。
一方、民主党候補のヒラリーも、大統領になる資格はない。メール問題では、FBIがヒラリー本人を事情聴取して、結局訴追は見送ったものの、現在は国務省が水面下で必死に捜査を続けている。
もしヒラリーが大統領になったら、日本にも大きな影響がある。クリントン夫妻は、中国側から長年、多額の献金を受け取っていたことが明らかになっている。尖閣諸島を争って中国が戦争を仕掛けてきたときに、中国とベッタリの「ヒラリー大統領」はどう出るだろうか。それを考えると恐ろしい。
候補があまりに低レベルになったことで、アメリカ大統領選は混迷の一途を辿っている。ここまで来ると、場合によっては将来、アメリカの政治制度が激変し、大統領制を放棄する可能性さえあるだろう。議会から「首相」を選んだほうがマシ、という議論が出てきてもおかしくないのだ。
私の人生は、アメリカに与えられたと言ってもいい。だから、「強く、美しいアメリカ」に復活して欲しいと考えている。しかし、今のままでは無理だ。
外交的リーダーシップの欠如に加え、経済面でも世界を牽引するだけの力はなくなっている。現状のアメリカ経済は好調だという者もいるが、オバマが18兆ドルまで膨らませた借金は、アメリカ国民に今後のしかかってくる。
そんなアメリカのことを、日本は笑っていられない。たとえば北朝鮮が秋田沖にミサイルを撃ち込んだことに対しても、日本はバカの一つ覚えのように「厳重に抗議する」「許しがたい暴挙」と繰り返すばかりだ。北朝鮮に対して、実効性のある対抗策を考えることもしない。日本も、引きこもりになっているのだ。
このままでは、国が危機に陥る。私は、そうした強い懸念を持って、『そして、アメリカは消える』を書き上げた。私は、若い人にも今回の本を読んで欲しいと思う。
第一部には、かつての強く、美しいアメリカの姿を記した。そうした時代があったことを知らなければ、「強い国」とはどういうものなのか、わからないからだ。教養と素養がある国民、リーダーシップを持つ指導者とはどのような存在なのか、本書から読み取って欲しい。
歴史を知ることこそ、教養につながり、次の時代を作っていくことにつながる。心ある人々が、強い日本を築いていくことを切に願う。
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