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トランプ有利? クリントンに不足するカネとスタミナ
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160923-00010003-wedge-int
Wedge 9月23日(金)12時11分配信
今回のテーマは「大統領候補テレビ討論会の見所(1)」です。2回にわたってテレビ討論会の見所を探っていきます。米政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティックス」によりますと、各種世論調査が行った支持率の平均値(2016年9月5−17日)で民主党のヒラリー・クリントン候補のリードはわずか0.9ポイントです。中西部オハイオ州、南部フロリダ州及び中西部アイオワ州といった激戦州では共和党のドナルド・トランプ候補がリードを奪っています。その原因は、クリントン財団への巨額献金者に対する便宜供与疑惑、クリントン候補が「トランプ支持者の半分は嘆かわしい人々」と発言した問題及び有権者の間に広まった健康不安にあると見られています。
選挙戦が接戦になった中で、第1回目のテレビ討論会が開催されます。今回のテレビ討論会は、記録的な視聴者数をとるのではないかと言われています。本稿では、まずテレビ討論会における大学の役割について紹介します。次に、2016年米大統領選挙におけるテレビ討論会の見所をクリントン候補の健康問題と絡めて述べます。そのうえで、討論会においてどのようにして健康不安を払拭できるのかについて説明します。
■テレビ討論会と大学の役割
大統領候補テレビ討論会は3回行われます。1回目のテレビ討論会は、9月26日(以下現地時間)にホフストラ大学(東部ニューヨーク州ヘンプステッド)、2回目は10月9日にワシントン大学(中西部ミズーリ州セントルイス)、3回目は10月19日にネバダ大学(西部ネバダ州ラスベガス)で開催されます。以下で、どのような形式で討論会が実施されるのかについてみていきましょう。
1回目のテーマは「米国の方向性」「繁栄」「安全保障」の3つです。それぞれに30分が割り当てられ合計90分で行われます。今回は、ニューヨークにおける爆発事件の影響を受けてか、安全保障が含まれています。2012年米大統領選挙の1回目のテーマは、経済、財政赤字、社会保障、医療保険、政府の役割及び統治で、すべて内政でした。12年と比較して、今回のテーマは、曖昧で具体性に欠けるという批判が一部から出ています。
2回目のテレビ討論会は、市民集会の形式をとります。米ギャラップ社が選んだ「決めかねている」有権者が討論会の会場でトランプ・クリントン両候補に直接質問をします。その質問に対して、両候補が2分間で回答をします。司会者も質問を行います。1回目と同様、合計90分で対話が行われます。12年米大統領選挙における2回目の討論会では、会場の有権者から11問、司会者から10問の質問が出ました。3回目のテーマは未定です。
一方、副大統領候補のテレビ討論会は1回です。10月4日にロングウッド大学(南部バージニア州ファームビル)で開催されます。こちらもテーマは未定です。
さて、テレビ討論会では大学が大きな役割を果たします。ホフストラ大学は、4年前もテレビ討論会の会場を提供しました。米国では各大学がテレビ討論会の会場になって知名度を高めようと大学関係者が大統領候補討論会委員会に働きかけをします。名乗りを上げた大学には、予算と安全性の確保が求められます。実績を作ると複数回指名されます。12年副大統領候補のテレビ討論会の会場となったセンター・カレッジ(南部ケンタッキー州ダンビル)も2回開催しています。テレビ討論会が開催される大学の学生は、テレビ討論会に関わる業務に当たります。
12年米大統領選挙において筆者はすべてのテレビ討論会の会場に足を運びましたが、学生がメディア関係者に大学名が入ったショルダーバッグ、Tシャツ及びコップなどの商品を無料配布していました。討論会当日は、キャンパスで共和・民主両党の候補者を支持する学生がプラカードを掲げて支持を訴えます。討論会の会場に入るチケットは、一般の有権者ではなく会場提供をした大学の教職員並びに学生が優先されます。米大統領選挙の特徴は戸別訪問もそうですが、討論会においても学生が政治参加できるシステムが形成されていることです。
■健康問題とテレビ討論会
テレビ討論会を前に、トランプ・クリントン両候補の健康問題が主要な争点に浮上してきました。特に、クリントン候補の健康状態に注目が集まっています。
9月5日の労働者の日にクリントン候補は専用機の中で記者の質問に答えていたのですが、せきが止まらず一時中断する場面がありました。同日、オハイオ州クリーブランドで開催された集会においても、せきが収まらないため水を飲み演説が途絶えてしまったのです。翌日6日、バージニア州フェアファックス市にある支持者の自宅にクリントン陣営の有給のスタッフとボランティアの運動員が集まり、電話による支持要請を行いました。筆者はそこで、クリントン支持者の一人である白人の女性弁護士に次のように問いかけたのです。
「ヒラリーはせきが収まらなくて演説ができなかったけれど、風邪を引いたのかな」
この白人の女性弁護士は、即座にこう答えたのです。
「むせただけ。あなたもむせれば水を飲むでしょ。私も水を飲むわ。共和党は、ヒラリーには健康問題があると主張して陰謀説を広めているの」
過小評価しているのではないかと思いましたが、議論をしませんでした。というのは、クリントン候補の健康問題について語ると有給のスタッフやボランティアの運動員に同候補を非難していると誤って解釈される可能性があるからです。これまで10州のクリントン選対に研究の一環として入り活動を行ってきましたが、同候補の健康不安説が話題に上ったことは一度もありませんでした。選対では共和党の陰謀説という共通認識があったからでしょう。
■カネ集めに奔走するクリントン
ただ、現地で調査を行っていた筆者には8月のトランプ・クリントン両候補の行動があまりにも対照的に見えました。トランプ候補は、洪水で被害を受けた南部ルイジアナ州を訪問したのです。メキシコでペニャニエト大統領と共同記者会見を行い、帰国すると西部アリゾナ州フェニックスで集会を開催しました。中西部ミシガン州デトロイトにあるアフリカ系が集う教会にも出向いたのです。その間、同候補は積極的にテレビ出演をして持論を展開していたのです。
一方、クリントン候補は選挙資金集めに走り、トランプ候補ほど表には出てきませんでした。10月に入ると、テレビ広告を大量に打つので当然選挙資金が必要になります。民主党の選挙資金集めにも協力しなければなりません。そのように考えれば、資金集めに時間をかけるクリントン候補の行動は理解できないわけではありませんが、精力的に選挙運動を行っているトランプ候補を見ると筆者には納得がいきませんでした。
集会を開いても負担を減らしていたのか、クリントン候補の演説時間は30分前後でトランプ候補の約半分でした。因みに、2012年米大統領選挙で共和党候補であったミット・ロムニーマサチューセッツ州元知事が体調不良を起こしたとき、同陣営は演説時間を短縮し、アン夫人のそれを長くしたのです。復帰後のクリントン候補の南部ノースカロライナ州での演説時間は23分弱で、さらに短くなりました。同候補は、8月の段階で健康状態がすぐれていなかったのかもしれません。
9月11日の米同時多発テロの追悼式典に参加したクリントン候補は体調を崩して途中退席しました。その際、警備担当者に抱えられ平衡感覚を失いながら車に乗り込む姿の映像が一斉に流れ、その後も繰り返し放映されたことで共和党の陰謀説は消え、同候補の健康問題は現実になったのです。その結果、同候補は健康不安の払拭という課題を抱えました。同候補の健康問題が争点になると、70歳のトランプ候補に対しても、メディア関係者から健康に関する質問が相次いで出たのです。テレビ討論会で司会者ないし会場の有権者から健康について質問が出る可能性が高くなったのです。
■非言語コミュニケーションの重要性
2012年米大統領選挙における第1回目のテレビ討論会において、ロムニー元知事から厳しい批判を受けたオバマ大統領は、どもったりうつむいたりして効果的に対応できませんでした。しかも、ロムニー元知事の意見に対して頷いている同大統領の動作が、同意と視聴者に解釈されてしまったのです。実際は、同大統領は傾聴をしていたのです。非言語コミュニケーションは、候補者のパフォーマンスに多大な影響を及ぼします。
西部コロラド州デンバー大学に設置されたメディア会場で第1回目のテレビ討論会を観察した筆者は、翌日激戦州バージニア州に戻り、ただちに戸別訪問を再開して有権者にフィードバックを求めたのです。有権者はオバマ大統領のパフォーマンスに関して以下のように語っていました。
「疲れている様子に見えました」
「エネルギーがありませんでした」
「熱意がありませんでした」
ある有権者は、オバマ大統領は単に調子が悪かっただけだと述べ、他の有権者は準備不足が原因だと主張していました。では、今回のテレビ討論会でクリントン候補が疲労している様子を見せ、エネルギーと熱意に欠けていたら有権者はどのように解釈するでしょうか。間違いなく、同候補の健康が原因であると捉えるでしょう。仮に90分の間にせき込む場面があれば、有権者の間に健康を巡る不安が増すことは言うまでもありません。
第1回目のテレビ討論会におけるクリントン候補の最優先課題は、健康不安の払拭になるでしょう。では討論会でどのようにしてその課題を達成できるのでしょうか。
非言語コミュニケーションが鍵を握ります。有権者に健康面において安心感を与えるためには、表情と動作がポイントになります。生き生きとした表情をみせ、両腕を広げてダイナミックな動作をとることは極めて重要です。声の強さもタフでエネルギーのあるクリントン候補を演出するうえで不可欠になるでしょう。
一方、クリントン候補は強さもスタミナもないと健康問題を取りあげて繰り返し批判してきたトランプ候補は、表情と動作を用いて強いリーダーを演出するでしょう。第1回目のテレビ討論会で、筆者はトランプ・クリントン両候補の非言語コミュニケーションに注目しています。
海野素央 (明治大学教授、心理学博士)
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