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アメリカのガンショップ (c)朝日新聞社
少数派に冷たい国? アメリカ史上最悪の銃乱射事件の背景〈dot.〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160830-00000181-sasahi-n_ame
dot. 9月1日(木)7時0分配信
49人もの命が奪われる、アメリカ(米)史上最悪の銃乱射事件が起きた。そこには、テロ事件を防ぐ難しさのほか、この国の抱えたさまざまな問題が映し出されている。11月のアメリカ大統領選挙でも大事な論点となっている銃規制問題。毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された解説を紹介しよう。
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アメリカ・フロリダ州のナイトクラブで6月12日、29歳の男が銃を乱射し100人以上が死傷する事件があった。警察との銃撃戦の末に死亡した容疑者は、世界各地でテロに関わる「イスラム国」(IS)に共感していた。
男が持っていたのは、殺傷する力がとても強い銃だ。たった一人で、49人もの命を奪った。容疑者は3年前、「自分はテロ組織と関係がある」と職場で話していたため、一時期は捜査の対象になっていた。しかし、事件で使った危険な銃は合法的に購入でき、警察も、買ったことを把握できていなかった。
アメリカでは過去にたくさんの銃乱射事件が起きている。2012年には、小学校で男がライフル銃を乱射し、子どもたちなど26人が殺害された。アメリカでは、銃で亡くなる人が年間約3万3千人もいる。一日に100人近くが射殺されている計算だ。
こうした事件が起こる度に、「銃を簡単に買えないようにしよう」という声があがるが、なかなか実現しない。民主党のオバマ大統領は銃規制にとても積極的で、12年の事件後には銃規制強化案が議会に提出されたが、否決された。
アメリカでは、銃を持つ権利が憲法で保障されていることが大きな理由だ。「自分の身は自分で守る」という考え方が昔からとても強い。さらに、「銃を持つべきだ」との考えを広める「全米ライフル協会」(NRA)という巨大で強力な団体もある。会員が500万人以上いて、銃を作る会社もお金をたくさん援助しているという。共和党議員の大半は協会から献金を受けているから、政治への影響力がとても強い。いまやアメリカ国民が持っている銃は3億丁ともいわれる。ほぼ全国民が銃を一つ持っている計算だ。
11月の大統領選挙でも、銃規制は大事な論点になりそうだ。民主党候補のクリントン氏は、「銃が犯罪者の手に渡らないようにしないといけない」と、規制の強化に前向きだ。だが、共和党候補のトランプ氏は銃を持つ権利を大切にする考えで、NRAもトランプ氏を応援している。
今回の事件は、アメリカは「少数者」に冷たいのか、という問題も浮き彫りにした。事件は、LGBT(性的少数者)という、自分で思っている「心の性」と実際の「体の性」が異なる人たちが集まる店で起きた。容疑者がなぜこの店を襲ったか、詳しくはわかっていない。
アメリカでは、LGBTの権利をめぐり、国を二分する争いが続いている。オバマ大統領は、同性でも結婚できるようにすべきだと考えている。15年には連邦最高裁判所の判決も、同性の結婚をすべての州で認めた。だが、共和党支持者にはこうしたLGBTの権利拡大に否定的な人が多い。
LGBTについては、トイレなども議論になっている。政府は、すべての州に「公立学校では、心の性にあったトイレと更衣室が使えるようにすべき」との方針を伝えた。だが、共和党の州知事を中心に反発が広がり、11州が、方針の取り消しを求めて裁判所に訴えた。
移民の受け入れをめぐっても、世論が割れている。今回の事件の容疑者はアメリカ育ちだが、両親はイスラム教徒の多いアフガニスタンからの移民だ。トランプ氏は、「だから私は(イスラム教徒の)入国禁止を要求したのだ」と語った。イスラム教徒をアメリカから締め出せば安全になる、という極端な考え方だが、世界各地でテロが相次ぎ、こうした言動に共感するアメリカ国民が多いのも事実だ。
移民など、「自分たちと違う人たち」を拒むことで、多くの国民の支持を得ようとする動きは、6月に国民投票でヨーロッパ連合(EU)離脱を決めたイギリスでも見られた。世界各地で起こるISなど過激派組織によるテロもまた、「自分たちの仲間以外」を排除する動きだ。アメリカも、こうした「自国中心主義」の道を歩むのか。11月の大統領選挙はその答えが出る場でもある。(解説・疋田多揚/朝日新聞国際報道部)
■米史上最悪の銃乱射事件の背景に何がある?
<なかなか進まない… 銃規制>
ライフルや銃弾が並ぶガンショップ。アメリカでは武器を持つことが憲法で保障され、「自分の身は自分で守る」と考える人が多く、銃規制がなかなか進まない
<容疑者の両親は… 移民>
6月に、移民に有利な制度の改革を進めないことが連邦最高裁判所で決まり、涙を見せる移民の女性。アメリカでは、移民の受け入れを好ましく思わない人も多い
<犠牲者の多くは…LGBT>
銃反対のデモに参加するLGBT(性的少数者)の人たち。アメリカでは、LGBTの権利を拡大すべきかどうか、世論が分れている
【キーワード:銃規制強化案】
2013年、銃を買う人が過去に罪を犯していないかどうか、徹底的に調べられるようにする法案が民主党のオバマ政権の後押しで議会に提出されたが、共和党に反対され、実現しなかった。今年1月にはオバマ大統領が、法律は変えずに規制を厳しくすることを表明したが、効果はないと見る声が多い。
【キーワード:LGBT(性的少数者)】
女性を好む女性の「レズビアン(lesbian)」、男性を好む男性の「ゲイ(gay)」、同性も異性も好きな「バイセクシュアル(bisexual)」、心と体の性別が一致しない「トランスジェンダー(transgender)」の頭文字を組み合わせたもので、数が比較的少ないことから「性的少数者」と呼ばれる。
※月刊ジュニアエラ 2016年9月号より
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