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南沙諸島で訓練する人民解放軍の海軍兵士 (新華社=共同)
【真・人民日報】中国、南シナ海で「100対ゼロ完敗」のウラ 裁定はフィリピンの勝利でもない
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20160810/frn1608101550001-n1.htm
2016.08.10 夕刊フジ
「100対ゼロで中国の負け」−。
7月12日、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所(PCA)は、南シナ海問題をめぐりフィリピン政府が国連海洋法条約(以下、条約)に基づき行った提訴に対して裁定を下した。
フィリピンの提訴は、人工島の埋め立ての合法性や中国が自国領土と主張する根拠となる「九段線」の合法性など15項目にわたったが、そのほぼ全てで中国側の主張が退けられたことで、国際社会から大きな注目を集めることとなった。
冒頭の言葉は、PCAの裁定を受けて報じられた日本の新聞記事に多出した表現である。
はたしてこの「100対ゼロ」という表現は、今度の南シナ海問題をめぐる裁定を正しく評価しているといえるのだろうか。
この原稿では、その疑問から問題へとアプローチしてみたいと思う。
まずPCA裁定が中国にとってダメージになったか否かといえば、これは間違いなく大きな痛手となった。
なかでも南シナ海のほぼ全域を「自国の支配」とする根拠であった「九段線」について、その歴史的な根拠から全否定されてしまったことだ。
人工島の埋め立てが合法か違法かという争点も、「九段線」が真っ向から否定されていなければ、自分の海で何をしようが関係ないとつっぱねることができたからだ。
その意味でも、中国はPCAが「九段線」に関する判断に言及することを当初から強く警戒してきた。
2013年にフィリピンが仲裁を提訴した直後から、中国がPCAには管轄権がないと強く主張したのは、このためでもあった。
中国のこの主張の根拠については別の機会に触れたいと思うが、簡単に言えば「条約には領有権や海の境界画定に絡む問題は判断できない」という理屈で、決して特異な主張ではない。
いずれにせよ裁定が出されたことで中国のダメージは避けられなくなったのだが、これを単純な「中国の敗北」としてとらえるのは決して正確とはいえない。「100対ゼロ」で中国の主張が退けられたとしても、それがフィリピンの勝利を意味しているわけではないという視点が日本の報道には欠けているからだ。
その視点に立てば、今回のPCA裁定の最大の衝撃は「南沙諸島にはEEZが設定できる『島』はない」としたことである。これは中国にも権利はないが、同時にフィリピンの権利をも否定していて、現実に南沙諸島北部の太平島を支配している台湾の行為をも否定したことになるからだ。
これは言い換えれば南シナ海に突如“巨大な空き地”が出現したことになり、第三者、いわゆる米国が最大の受益者となったことを意味している。
これは「フィリピンの裏にいる域外国の意図」という表現で中国が最も警戒してきた結果だったということだ。
■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。1964年生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持つ。『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)など著書多数。近著に『中国は腹の底で日本をどう思っているのか』(PHP新書)。
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