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西洋民主主義が衰退すると中国も傷つく 中国メディアは西洋民主主義の「衰退」をあげつらうが・・・(JBpress)
http://www.asyura2.com/16/kokusai14/msg/821.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 8 月 09 日 00:45:10: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

中国メディアは、イギリスのEU離脱は西洋の民主主義の根本的欠陥が反映されたものだとしている。英ロンドンでEU離脱に抗議し国会議事堂前広場に集まった残留派の人たち(2016年7月2日撮影、資料写真)。(c)AFP/Niklas HALLE'N〔AFPBB News〕


西洋民主主義が衰退すると中国も傷つく 中国メディアは西洋民主主義の「衰退」をあげつらうが・・・
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47542
2016.8.9 裴敏欣 JBpress


(香港より)

 中国の公営メディアは最近、西洋諸国の民主主義が機能していないことを、喜々として大げさに宣伝している。

 頻発し始めたテロ攻撃は言わずもがな、イギリスのEU離脱投票や、アメリカ大統領選におけるドナルド・トランプの共和党大統領候補への指名など、たしかに西洋民主主義の衰退を示すたくさんの証拠がある。しかし中国のメディアは本心としては、西洋諸国の損失は中国の利益になると言いたいのだ。

 もちろん、昨今の民主主義の苦闘が中国共産党の信用性を高めてくれればいいと望んでのことだろう。そして実際、中国共産党の機関紙「人民日報」の解説を読むと、イギリスのEU離脱は西洋の民主主義の根本的欠陥が反映されたものとして描かれている。

「人民日報」は同時にトランプ人気を取り上げて、アメリカのシステムにおいて、政治リーダーは、人種間の緊張関係のような「複雑な社会的確執」その他の民衆の不満の源に取り組むにあたって、無力であるということを示している。

「人民日報」の傘下にある極ナショナリズムのタブロイド紙「環球時報」は、西洋における昨今のテロ攻撃は、民主主義世界の終末の前触れだと記しているようだ。同紙は「西洋は、不可思議で想像を絶する『変化』に直面しているかもしれない」と唱える。

*  *  *

 西洋に対する中国共産党のイデオロギー上の敵意や、彼らのゼロ・サム的な地政学上の見方を考えると、中国が西洋に対してこういった「ざまあみろ」と言わんばかりの反応をすることは少しも驚きではない。実際に、中国共産党は、民主主義国家に生じる困難を利用して、自らの制度の正当性を強める終わりなき努力を続けてきた。共産党は、民主主義は西洋でほとんど機能していないと主張することで、中国が民主主義国家になっても破滅的だと説明してきた。さらに、ここ数十年の上り調子の生活水準を中国政府が保障している限り、他の政治体制をとる可能性を考える必要はない、というのが当局の語ることだった。

 しかし、民主主義の混乱によって体制が独裁体制へと変遷していくという証拠は乏しい。反対に、歴史的にみると、西洋の民主主義の運命にかかわらず、独裁者は没落してきた。

 いわゆる民主主義の第三の波が1970年代半ばに始まったとき、西洋民主主義諸国は景気沈滞化のインフレと、ベトナム戦争の政治的トラウマの中から抜け出せずにいた。旧ソ連での共産主義の崩壊と、1980年代の西洋民主主義の再活性化は同時に起こった。2011年にアラブの春が勃発した頃には、西洋 民主主義は2008年以来の世界経済危機の後遺症で苦しんでいた。

 こういった歴史を見ても、中国の独裁体制は、イギリスのEU離脱に誘発されて世界のうねりが中国の体制を支持するようになるのを期待して待つべきではないということが分かる。

 独裁体制のもとに暮らす人々は、民主主義が機能しなくなった経緯を見て、民主主義に対して悪い印象を持つかもしれない。しかし、こういった効果はたいて いの場合、長続きしない。独裁者が人民に不当な扱いをする限り、また彼らが人民の生活を良くすることができない限り、独裁者たちの正当性は常に問われるだろう。

 もちろん、中国は普通の独裁体制とは違う。中国の体制を独自のものたらしめているのは、中国共産党当局と、彼らが経済成長を維持させる能力があることである。しかし、そういった特殊性があるからといって、中国の西洋に対する「ざまあみろ」が合理的だとされるわけではない。結局、中国の経済的成功のカギは、西洋民主主義の支配する世界経済に中国が入ることができるかにかかっている。中国の輸出の6割を占めるのは西洋諸国だからだ。

*  *  *

 言葉を変えれば、中国共産党は、西洋民主主義に失敗してもらうよりも、成功してもらうことで多くの正当性を引き出すことができるのだ。最良顧客が倒産することを望むビジネスマンはいないだろう。中国共産党が、中国にとって最も有益な貿易相手の苦難をここまで喜んでいるというのは道理にかなっていない。

 今日、西洋民主主義の直面する困難は、むしろ中国にとって良くない示唆だ。有権者がイギリスのEU離脱やトランプを支持しているという事実は、彼らがグローバル化を拒絶しているということに根差している。EU離脱やアメリカ大統領選がどう展開しようと、西洋民主主義政府が有権者の懸念に応える形で、ある程度、保護貿易主義へと戻る方策をとっていく可能性は非常に高い。

 中国は世界一の輸出国であるが、輸出努力の経済的結果は今後、否応なく損なわれるであろう。中国共産党の正当性がさらに問われる可能性もある(すでに中国経済が減速したことで問われているが)。

 中国の指導者は、西洋民主主義の展開を心配してよく見つめるとともに、これからの彼ら自身を待つ困難な時代に対して、将来的な計画を立て始めなければならない。


 

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