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フランス北部ルーアン近郊にある教会に7月26日、ナイフを持った2人組が押し入り、人質となった司祭1人が殺害された。事件の現場となった教会に駆け付けた警察官ら(2016年7月26日撮影)。(c)AFP/CHARLY TRIBALLEAU〔AFPBB News〕
「国家警備隊」創設でテロとの戦いに挑むフランス 「国のために命を捧げる」志願者たち
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47547
2016.8.8 山口 昌子 JBpress
ニースでの「トラック突入テロ」(85人死亡、約200人が重軽傷)の衝撃も冷めやらぬ7月26日、フランス北部ルーアン近くの小村で、ミサ中の84歳の神父が惨殺される事件が発生した。昨年に続き2016年もフランスはテロに明け暮れそうだ。
両事件とも「イスラム国(IS)」が犯行声明を出している。フランス人の間では対IS戦の機運が一気に高まった。
■「国家警備隊」参加の呼びかけに国民が殺到
2015年1月7日に「シャルリ・エブド襲撃事件」が発生してからルーアン近郊の神父惨殺まで、フランスにおけるテロの犠牲者は死亡者230人、重軽傷者は数百人に達した。
オランド大統領は昨年11月13日のパリ同時テロ(死者130人、重軽負傷者数約300人)の直後に、国軍、国家憲兵隊、警察の予備員を結集する「国家警備隊」の創設を発表している。今回のニースとルーアン近郊での2つのテロ事件を受けて、オランド大統領は改めて2016年末までに同隊を発足させることと、その具体的な内容を発表した。
国家警備隊創設の目的は、「短期養成によって緊急時に役立つ要員の確保と短期間の動員」である。政府はすでに1憶6500万ユーロ(約198億円)の特別補正予算も組んでいる。
まず、国軍の予備隊増員についてだが、現在、フランスには退役兵士など2万8000人で構成された予備軍がある。この人員を2018年までに4万人に増員する。
対象となるのは、旧兵士のほかに(1)17歳から35歳までの若年層、(2)学力、体力テストなどの選抜試験の合格者、(3)1カ月に2週間、軍事や救援訓練、あるいは情報操作の習得に従事できる全国民、である。
フランスでは、会社に務めながら予備軍に参加する者が少なくない。社員が予備軍に参加する際、企業は10日の有給休暇を認めることになっている。
国家憲兵隊の予備員も、同様の条件で2万5000人の増員を図る。警察の予備員は18歳から65歳が対象で、3000人の増加を目指す。
国軍、国家憲兵隊、警察の予備隊に入隊して「国家警備隊」の一員になった者は、実務訓練(銃器の扱いや救護方法、情報収集用のIT機器の習得など)を受けた後、1年に20〜30日間、必要に応じて召集されてパトロールや治安重点地区の警備などに当たる。
フランス政府が「あらゆる愛国的フランス人で入隊を希望する者」(ベルナール・カズヌーブ内相)に国家警備隊への参加を呼びかけたところ、政治家、ジャーナリスト、教育関係者、一般市民など様々な立場の人々が関係各庁に殺到した。フェイスブックに自分の参加申し込み用の写真を添付して、友人や知人に参加を呼びかける者も続出している。
■「国のために命を捧げる」と答える者が多数
フランスでは、18世紀のフランス革命以来の「国民皆兵によって国家を防御する」との精神に基づき、徴兵制度を1996年まで続けてきた。だが、ハイテク戦争だった湾岸戦争(1991年)で「徴兵で1、2年訓練しても役に立たない。プロ兵士を本格的に養成する必要がある」との教訓を得て、徴兵制度を廃止した。
ちなみにアメリカはベトナム戦争後に徴兵制度を廃止している。ベトナム戦争の対ゲリラ戦の教訓から、「ランボー」(米国の大ヒット映画)の主人公のような特殊部隊員でないと役に立たないと悟ったからだ。
日本は徴兵制度に強いアレルギーがあり議論すら許されない雰囲気だが、フランスでは「ISとの戦いは戦争だ」(オランド大統領)との認識から、徴兵制度の復活を望む声も出てきている。
昨年1月の「シャルリ・エブド襲撃事件」の直後には、1日に入隊希望者が約3000人に達したこともある。世論調査によるとフランスでは「国のために命を捧げる」と答える者が常時60%以上に達するともいう。
■悲壮な覚悟でバカンスに
「IS」は「シャルリ・エブド襲撃事件」直後に広報誌「ダル・エル・イスラム」(2015年2月12日号)で、「アラーはフランスを呪う!」と宣言し、西欧諸国の中でもフランスが「一番の標的」であることを強調した。
フランスの国是である「自由、平等、博愛」と「非宗教」の原則がイスラム教の価値観と真っ向から敵対すると指摘し、フランスに粉砕作戦を仕掛けると宣言。リオデジャネイロ五輪でもフランス代表団をテロの標的にすると不気味な予告をしている。
一方、フランスでは最新の世論調査によると「テロの脅威に屈することなくバカンスに出発する」というフランス人が89%に達した。フランス人は「バカンスを楽しむために働く」とも言われるほど、バカンスに情熱を傾ける。「どこにいても、いつでも、テロの犠牲になりうる。危険ゼロはありえない」と悲壮な覚悟を決めているようだ。
バカンス地としては、不況のせいもありフランス国内で過ごす者が圧倒的に多い。だが、夏のバカンス時期に実施される各地の名物フェステイバルや、8月15日(聖母被昇天の大祝日)に各地で開催される慣例の花火大会は、テロを受けて中止が発表されている。パリ・セーヌ河畔に毎夏、設置される「パリ・プラージ(パリの浜辺)」(道路に大量の砂を敷き詰めて浜辺に見立てた区画)も、武装警官や憲兵隊が多数パトロール中だ。
外国からの観光客は、昨年7月比で10%減(日本人観光客は56%減)となった。経済的打撃も多く、フランスの今年の夏は湿りがちだ。
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