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米、TPP承認厳しく
通商代表は年内決着を強調 「再交渉は困難」と指摘
【ワシントン=河浪武史】米大統領選で環太平洋経済連携協定(TPP)への逆風が強まり、米国議会での年内承認が険しくなっている。交渉をまとめた米通商代表部(USTR)のフロマン代表は日本経済新聞などのインタビューで、「(参加12カ国の)再交渉は困難」と指摘。年内決着をめざす考えを強調したが、来年発足する次期政権での一定の仕切り直しは避けられないとの見方が強まっている。
フロマン氏はワシントン市内で、一部メディアのインタビューに答えた。TPPを巡っては、大統領候補への指名が確定した民主党のヒラリー・クリントン氏が再交渉を明言し、共和党のドナルド・トランプ氏は撤退を表明した。フロマン氏は「TPPを批准できなければ米国の損失は大きい」と強調。オバマ政権下で大統領選後の「レームダック国会」に関連法案を提出するのが望ましいとの見方を示した。
TPP法案は提出後90日以内に採決する必要があるが、与野党の賛否は拮抗している。フロマン氏は「反対派議員の支持母体を一つ一つ説得している」と述べた。日本などの市場開放が小幅だと反発していた畜産業界や、データセンターの現地化規制に異論を唱えていた金融界は「米政権が対策を講じることで賛成に転じた」と明かした。
ただ、バイオ新薬のデータ保護期間を巡る医薬品業界との調整は「協議を重ねている」と述べるにとどめた。共和党重鎮のハッチ上院財政委員長は、データ保護期間を12年に延ばすよう協定の修正を求めており、一定の打開策の合意ができなければ審議入りは難しい。
フロマン氏は議会承認が年内に得られなければ「実現時期は極めて不透明になる」と懸念。クリントン氏が主張する再交渉は「12カ国が参加するTPPは極めて複雑だ」と非現実的との見方を改めて表明した。批准が遅れれば「牛肉であればオーストラリアは2国間協定で日本の関税引き下げを実現しており、米国勢は不利な立場におかれる」とした。
国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を決めた英国とは、2国間の貿易協定も視野に予備協議を始めたと明かしたうえで「TPPに英国が加わるのも一案だと思う」と述べた。
世界的に強まる保護貿易主義については「景気回復の恩恵が平等に行き渡らず、自由貿易協定がスケープゴートになっている」と懸念した。戦後の自由貿易体制で各国の輸入関税は下がったが「知的財産権の侵害など関税以外の貿易障壁が大きくなっている」と指摘。「知財や環境対策、デジタル経済にも対応したTPPの実現が重要だ」と強調した。
フロマン氏がTPPの議会承認を目指す「レームダック国会」は、大統領選がある11月8日からオバマ氏が退任する来年1月20日までの間に開く。実質的な審議時間が極めて短く、連邦政府予算などの審議が優先される可能性も高い。年内の批准は、今後の議会指導部との水面下の調整にかかっている。
[日経新聞7月21日朝刊P.5]
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