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またしても、オリンピックを政治問題化するアメリカ
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2016年7月19日 マスコミに載らない海外記事
Paul Craig Roberts
2016年7月17日
アメリカと、その傀儡カナダは、欧米マスコミが作り出した、ロシア選手のドーピング・スキャンダルを利用して、ブラジル・オリンピック大会へのロシア出場を禁止しようとしている。アメリカとカナダは、ロシアに対するアメリカ政府の復讐に足並みをそろえるよう、他の国々に圧力をうけている。復讐は“スポーツをドラッグに汚染されないよう守る”という名目のもとで行われている。
スポーツにおける公正さの尊重が、アメリカ政府の動機では絶対にないのは確かだ。国内では、アメリカ政府は、貧しい人々に対する公正さを破壊するのに忙しく、アメリカ政府は、国外では、国々の主権や、むき出しの侵略に反対する国際法を無視して、覇権獲得の目的で、何百万人もの人々の生活を破壊するのに忙しいのだ。
アメリカ政府は、外交問題で、そうであるのと同様、スポーツでも覇権を求めていて、ロシア運動選手を排除して、アメリカ人がより多くのメダルを獲得できるようにしたがっているのだと結論することも可能だ。だが、それでは、アメリカ政府による対ロシア作戦の真の狙いを見失ってしまう。“ドーピング・スキャンダル”は、ロシア孤立化と、ロシア国内での、反プーチン派構築という、アメリカ政府が継続している取り組みの一環だ。
ロシア政府内と実業界には、ロシアにとっては、欧米に組み込まれる方が、主権国家であるより大切だと考える“大西洋主義統合論者”として知られている少数派が存在している。この少数派ロシア人は、欧米に受け入れられるため、ロシアの独立を進んで犠牲にしたがっている。本質的に、連中は、プーチンが黙認している売国奴だ。
ロシアのオリンピック参加を禁止して、アメリカ政府は、プーチン反対派を強化しようとしているのだ。今やプーチン反対派はこう言える。“プーチンの非妥協的態度のおかげで、ロシアはオリンピックから締め出された。プーチンはロシアを孤立化させた。我々は欧米に協力(「降参」の婉曲表現)しなければならない。さもないと除け者になる。”
これはアメリカ政府のゲームなのだ。オリンピック参加禁止は、ロシア人の中で、プーチン支持を弱体化させるのが狙いなのだ。“彼が、我々をオリンピックから締め出した!”
大西洋主義統合論者は、アメリカ政府に認めてもらうためなら、アサドも、クリミアも進んで裏切る。こうして、アメリカ政府は、ロシア内の同盟者強化につとめている。
ヨーロッパ人は、アメリカ政府によるオリンピックの政治問題化に困惑している。ヨーロッパ・オリンピック委員会委員長パトリック・ヒッキーは、アメリカ政府に反対してのべた。“いかなる証拠が提示される前に懲罰を科そうとすること。マクラレン報告の刊行前の、そのような干渉や呼びかけは、国際的に認められた公正な法的手続きに全く沿っておらず、整合性と、それゆえ、この重要な報告書の信憑性を完全に損ないかねない。”
ヒッキーは、アメリカ/カナダ政府の取り組みのおかげで“報告書の独立性も秘密性も損なわれた”のは明らかだと述べた。
ヒッキーは更にこうまで言っている。
“ロシア・オリンピック・チーム出場禁止を支持している運動選手と組織としか、連絡をとっていないことは明白だ。
“アメリカとカナダの反ドーピング機関は、一体どういう権限に基づいてが書簡を作成したのか、他の国のオリンピック出場禁止で、国際的な呼びかけを率いる一体どのような負託を得ているのかを、私は問わざるを得ない。
“最近のドーピング疑惑を巡る国際的な懸念を、私も十分理解し、同じ思いでいるが、いかなる個人や団体にも、公正で、法的に適性な手続きの整合性に干渉したり、損なったりするのを、我々は許すわけにはいかない。”
http://www.firstpost.com/sports/usa-canada-campaigning-to-get-russia-banned-from-rio-olympics-eoc-president-2898182.html
もちろん、アメリカ合州国国内でも、アフガニスタン、イラク、リビア、ソマリア、イエメン、パキスタン、シリア、ウクライナ、ホンジュラス、ベネズエラ、アルゼンチン、ブラジル、ボリビア、エクアドルや、オバマから、EU離脱は許さないと言われた属国イギリスでも、法の適正手続きなど、アメリカ政府はなんとも思っていない。ロシアが適性手続きを認められるようになどと、アメリカ政府が懸念するはずがあろうか?
アメリカ・マスコミ売春宿のおかみたるニューヨーク・タイムズは、その記事の中で、ヒッキーの懸念には触れていない。
マクラレン報告は、ロシア運動選手による成績を良くするためのドラッグ使用が蔓延しており、ロシア政府が支援しているという非難の調査だということになっている。ロシアの評判を落とすのに利用することが可能ないかなる報告書に対しても、アメリカ政府は、有り余る資金と、ありとあらゆる脅しが使える。今日のMH-17に関する私の報告をお読み願いたい。あるいは、有権者たちが、ほぼ全員一致で、この地域が元々、1700年代以来所属していたロシアへの再加入を選んだクリミアでの自立した選挙を、アメリカ政府が“ロシア侵略と併合”と言っているのを想起願いたい。
バトリック・ヒッキーのように、極めて勇敢な人物でないと、アメリカ政府に立ち向かうことはできないし、ヒッキーが、まず確実に、彼に加えられているであろうアメリカ政府の圧力に屈するかどうか、我々にはわからない。
こうした挑発で戦争が起きるか、あるいは、ロシア政府が降伏し、アサドかクリミアを裏切って、部分的な隷属状態を受け入れるまでは、アメリカ政府は、ロシアの悪魔化を続けるはずだ。
おそらく、ロシアと中国は、ユーラシア・オリンピックを組織して、欧米オリンピックを離脱すべきなのだ。アメリカ政府が冷戦を再開し、そして、熱い戦争へと駆り立てようとしている以上、競争は、中南米や、アフリカ諸国がどちらにつくかを巡るものとなろう。もし彼らが自由に選ぶことを許されれば、アフリカや中南米の人々が、人種差別する欧米白人のゲームに参加する可能性はないだろう。
ロシアと中国が、平和のために、果てしない侮辱や挑発に耐えて座視しているのをやめる時が、一体いつ来るのかと我々は考えるべきなのだ。万一その時が到来すれば、欧米は人々の問題の仲裁人役であることを停止することになる。
記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2016/07/17/washington-is-politicizing-the-olympics-again-paul-craig-roberts/
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