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反移民感情を動かす本当の原因を探る
ワシントンの米ホロコースト記念館で6月初め、市民権取得式典に出席した市民権取得候補者たち
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By GREG IP
2016 年 6 月 30 日 15:13 JST
移民はどのようにしてポピュリズム(大衆迎合主義)の急激な広がりにつながったのだろう。多くの人々にとって、その答えは明白だ。過去10年間は多くの労働者にとって過酷なものだった。人々はその原因は移民にあるとしている。
だが経済の環境と移民の受け入れの相関性は驚くほど弱い。実際、現在の移民に対する反感は、雇用や賃金とはあまり関係がなく、むしろ国家の独自性や国境の管理に対する懸念に関係が深いことを調査は示している。
この違いは重要だ。移民はグローバル化の別の面とは異なる。外国生まれの人々は社会構造に影響するが、外国製の自動車や外資の工場のようなかたちでの影響とは違う。
これらをひとまとめにして、ポピュリストは移民に対する懸念をグローバル化や上流階層に対する幅広い攻撃に拡大させた。英国の欧州連合(EU)からの離脱を支持する人々は、先週の国民投票で見事にこれを成し遂げた。英国人は、単一労働市場の外側にいることを選択できたならば、EUのモノやサービス、資本の単一市場に間違いなくとどまっただろう。ところがこの選択肢は手に入らず、その結果としてEUは最大級の加盟国を失おうとしている。
移民とグローバル化への反発に対抗するには、反対派がまきちらした間違った情報を正すだけでなく、一般市民が移民政策は移民のためではなく、その国の最善の利益のためだと信じるように、流入する移民の数と構成を制御する必要があるだろう。カナダやオーストラリアではこのようにして、高水準の移民が強い一般の支持を保っている。
経済情勢が移民に対する姿勢を左右すると広く考えられているが、実際にはそのような関係を示す具体的な証拠はほとんどない。スタンフォード大学のジェンス・ハインミュラー准教授とペンシルベニア大学のダニエル・ホプキンス准教授は、 これを「ゾンビ理論」と呼んでいる。2人は数多くの研究を分析し、移民に対する姿勢は、個人にとってどのような意味があるかよりも、自国にとっての意味合いをどう考えるかに動機づけられるとの結論に達した。
例えば、2000年代の欧州22カ国を対象にしたある研究では、賃金と税金を巡る懸念が移民に対する姿勢に影響するものの、特に学識の低い人々の間では、「社会や文化、言語のまとまり」に対する懸念の方がはるかに大きな問題とされている。
確かに先週は、低所得で低学歴の英国民が離脱に投票した可能性はより高かっただろう。それでも、他の成人よりも失業率がはるかに高い18歳から24歳の年齢層は、圧倒的に残留を支持した。一方、65歳以上の年齢層は離脱に賛成した公算が大きい。
ハインミュラー准教授とホプキンス准教授は、移民に対する抵抗感は、移民数の規模と相関していないが、規模拡大の速度に関係していることも明らかにした。英国の反移民感情は、欧州大陸よりもはるかに健全な英国の雇用市場に引き寄せられて外国人の流入が増え始めた2012年から強まった。英政府が年間の移民を10万人以内に抑えようとする中、5月には正味の移民が通年で過去最多の33万3000人に達したと報じられ、残留派に痛手を負わせた。
米国でも同様に、不法移民が増えた10年前から移民は政治的に非難されるようになった。だが07年以降、移民は減っており、世論調査では移民に対する反感が実際に軟化している。
時代や国を超えて一貫したいくつかの姿勢がある。ハインミュラー准教授とホプキンス准教授によると、技術のない移民よりも技術を備えた移民の方が支持され、不法移民よりも合法移民が支持される。人種は一つの要素だが主要な要因ではなく、むしろ文化や融合性の方が重視される。両准教授の分析によると、人々は肌の色や国籍よりも話す言語を問題にしている。
両准教授が行った全国調査によると、理想的な移民政策に関する公式見解は見事に一致をみた。理想的な移民政策は、より高い教育があり、英語を話し、米国をかつて訪れたことがあり働く予定でいる、看護や科学など求められる職業の移民に焦点を合わせたものだ。
カナダとオーストラリアでは外国人比率が高く移民に対する一般の支持もある(左:人口に占める外国人比率、右:移民支持率) ENLARGE
カナダとオーストラリアでは外国人比率が高く移民に対する一般の支持もある(左:人口に占める外国人比率、右:移民支持率)
これはオーストラリアとカナダで行っていることだ。両国では英語力(カナダではフランス語も対象になる)と教育、職能、家族の支援に基づきポイントをつけている。カナダの移民の半数以上が経済的理由で選ばれ、家族の理由はわずか4分の1にすぎない一因はここにある。米国ではこの比率はほぼ逆だ。オーストラリアとカナダはいずれも外国生まれの人口比率が極めて高く、移民に対する公的支援も高い水準にある。
その支援は無制限ではない。オーストラリアの人々は米国民と同様に不法移民に反対しており、島国であるおかげで、米国よりもうまく阻止している。近年、オーストラリアではボート難民が本土に永住することを禁じている。
カナダでは09年に4人のアフガニスタン系女性が家族の手で「名誉殺害」されたことを受け、政府は一夫多妻や強制結婚などの「野蛮な文化慣習」のある移民を禁じている(訳注:名誉殺害とは、婚前・婚外交渉を行った女性を家族全員の名誉を汚したとして家族が殺害する行為)。
英国と米国はこうした政策からどのように学ぶだろう。ブレグジット後の英国は、何らかの方法でEUからの移民の数を制限する可能性がある。米国では、現在の不法移民を合法化して吸収し、不法移民阻止を強化する一連の手続きとして、入国を求める人々をふるいにかけるポイント制度を導入するだろう。いまのところ、共和党の「草の根保守派」はこうした妥協策にほぼ反対している。
これは、グローバル化を支持する人々やEUが長年夢見てきた、理想的な開かれた国境からの一歩後退だ。だが、ポピュリストにあおられた怒りの波を反転させることで、こうした措置は長期的には開かれた国境に対する支持を実際に固める可能性がある。
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