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コラム:EU離脱へ、英国が切った「空手形」
John Foley
[ロンドン 24日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 英国民は欧州連合(EU)離脱を望んでいる。その判断が合理的なのかどうかは、もはや重要ではない。今速やかに取りかからなければならない課題は以下の3つになる。
(1)政治的な不透明感を払しょくし、(2)真っ二つに割れた国民を再び結束させ、(3)英国が経済的に弱いのでなく強いという意識をもって、EUとの新たな関係を巡る交渉に臨めるようにすることだ。
英国が実際にEUとの交渉を開始するまでには、なお数カ月の時間がかかる可能性がある。それまでに多くの事態が起こり得る。まず最初は指導者の交代だ。EU残留を働きかけてきたキャメロン首相は、そう簡単に今の地位にとどまることはできない。論理的に考えれば、キャメロン氏の代わりにボリス・ジョンソン前ロンドン市長が登場するはずだ。だがEU離脱を推進してきた新しいリーダーが、残留を支持した48%の国民とうまくやれるはずもない。新政権の基盤は不安定なことが証明されかねない。
次に、英国経済への短期的な影響が挙げられる。離脱派は「ブレグジット」が決まっても経済に打撃を与えないと主張してきただけに、この問題が持つ意味は大きい。短期的な影響がいずれはく落していくとしても、国民投票後の経済状況がどうなるかによって、英国民が指導者に対してEUに強気な態度で「離婚」を要求してほしいと考えるか、それともEUと何らかの政治的合意を結べるよう低姿勢を取ってもらいたいと思うかが決まる。もしもこの先しばらくの経済が極めて深刻に悪化した場合、離脱派の「辛勝」という事態を踏まえると、新首相には最終的にEUを去ることを手控える余地も出てくる。
全体の半分が欧州大陸からという英国への投資は、今後どうなるか分からなくなりそうだ。最大の輸出先へアクセスできる権利を放棄し、国論が分裂した国に、いったい誰が投資するだろうか。となれば今度は雇用に響いてくる。アーンスト・アンド・ヤングによると、外国からの投資プロジェクトによって昨年英国では4万2336人の雇用が生まれた。一方、調査会社GfKの消費者信頼感が低下気味とはいえ、なおも過去10年の大半の期間よりもずっと高いという点は、いささかの慰めにはなる。
イングランド銀行(英中央銀行、BOE)はこれから生じる痛手を抑える作業に貢献できる。利下げすれば消費者信頼感を押し上げ、投資は促進されるかもしれない。もっともポンド安を助長しかねない面もある。BOEはポンド下支えのために介入を迫られる可能性もあるが、困ったことにカーニー総裁はEU残留支持だった。過半数の国民は公然とカーニー氏への不同意を表明した格好だ。
最も大きな危険は、EU離脱派が、尊敬できないような有権者と政治契約を結ぶ段階に入ったことにある。離脱派はブレグジットを受けて移民規制を強化し、経済的にはより繁栄すると約束してきた。前者は達成可能だが、後者は英国が他のEU諸国を説得し、これまでと同等の貿易協定を提示してもらわない限り、実現できないだろう。ところがEUがそんな提案をすれば、離脱したいと手を上げる国はもっと増える恐れがある。
離脱派は、EUから取り戻した主権を国民に返す手はずにもなっている。ただ次の政権が引き継ぐのは、地域や階層間で大きく亀裂が入り、政治的に長い不確実の時代に入ろうとしている国だ。そうであるなら、主権のようなものを手にする行為に大きな価値があるようには思われない。
●背景となるニュース
*英国は23日の国民投票でEUを離脱する見通しになった。
*離脱と残留の支持分布は地域によって大きな違いが生じた。ロンドンとスコットランドは残留、ウェールズとイングランド北部は離脱が優勢だった。
*24日の外国為替市場でポンドの対ドル相場は急落した。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
http://jp.reuters.com/article/britain-eu-leave-breakingviews-idJPKCN0ZA0R4?sp=true
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