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フロリダ銃撃事件 大統領選への影響は? 米国のリーダーどう決まる?その17
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160615-00010001-jindepth-int
Japan In-depth 6月15日(水)11時2分配信
6月12日未明、フロリダ州オーランドのナイトクラブで起きた乱射事件(テロと呼んで差し支えないだろう)は、死者49名に達し、アメリカ史上最悪の銃撃殺人事件となった。
既に日本のマスコミでもその凄然さは伝えられているが、この事件とその後の各候補の反応は大統領選挙にどのような影響を与えるのだろうか。
週末の土曜日を踊り明かそうと集まった20代〜30代の若者に、AR-15というプロの兵士が使う武器が向けられた。
脊髄反射のようにまずツイッターで口火を切ったのは、もちろん暴言王ドナルド・トランプだ。犯人の動機や思想が何も明らかにならないうちから「イスラム過激派のテロに対する私の厳しい政策を褒め称えてもらってありがたい。おめでとうはまず置いておいて、厳しくタフに対処しなければ」と、何百人もの犠牲者や遺族に対する言葉もなしに、まずは自分の手柄と主張の正しさを訴えた。
これには大勢のセレブや共和党の党員でさえ、あまりにも非道で自分勝手な発言だ、国中が心を傷める悲劇が起きた時にこんなリーダーでいいのか、とツイッターで応酬した。が、もちろん本人は動じない。翌日にヒラリー・クリントンを攻撃するスピーチを用意していたが、急遽差し替え、またしてもテレプロンプター(スピーチを映し出すモニター)を使った、精彩を欠く内容だった。
犯人のオマール・マティーンがアフガン生まれ(アフガニスタンという国名さえわからないらしい)であると決めつけ(マティーンの両親はアフガニスタンからの移民だが、マティーン自身は皮肉にもトランプと同じNY市クイーンズ地区の生まれ育ちだという)、イスラム圏だけでなく、テロリストを生んだ歴史のある国からの入国全面禁止を実施するとのことなので、日本赤軍やオウム真理教という過去を持つ日本もその対象に入るらしい。
その後のマスコミインタビューでも放言し放題で、さらには(どういう因果関係か具体的には一切論拠はないものの)オバマ大統領は今回の事件と関わりがあると主張し続け、オバマは即刻辞任すべきだと言っている。
一方のヒラリー・クリントンはどう対応したか。まずツイッターで「続報を待つが、今はただこの残酷な悲劇に見舞われた人たちのことで胸を痛めている」とツイート。追って発表した声明文では、この事件をテロ行為と呼び、対応に追われる地元警察や関係者を労った。さらに、LGBT月間でもある6月のこの時期に起きた「ヘイトクライム」であると認め、自分はLGBTの人たちの味方であると伝え、さらには大統領になった暁には銃規制法に着手すると発言した。
今回の銃撃事件は、大統領選挙の枠を超えた国家問題であるとはしながらも、クリントンが訴えたのは、ISISやアル・カーイダなどのテロ組織と直接関わりを持たない「ローン・ウルフ」型のテロリストを抑止するためにもFBIの調査能力を高め、予防に努めるべきで、外交面ではサウジアラビア、カタール、クウェートなどの国からテロ組織に資金が流れるのを食い止める時期が来たとし、国外での兵力導入も続け、オバマ政権の外交を踏襲する方向性を打ち出している。
この事件は、犯人がイスラム教過激派のシンパだったかどうかよりも、LGBTという性的マイノリティーに対する国産の暴力事件であることも指摘されている。トランプが打ち出したのは「我々(要するにトップ白人層)」と「彼ら(イスラム教徒圏からの移民)」の戦いという側面であり、クリントンは銃規制も含めた「我々の問題であり、我々が一つになること」が重要だとしている。
キーワードはpluralism。多元主義、と訳すよりも、人種や宗教や性的嗜好がバラバラでもお互いが平和に共存していくことを理想とする言葉だが、赤(共和党)と青(民主党)に真っ二つに割れつつあるアメリカに、どう響いていくだろうか? 11月の大統領選挙ではその答えが出る。
大原ケイ(米国在住リテラリー・エージェント)
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