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「ハグ」は英国のEU離脱を阻止できるか?
英国のEU残留を訴えるため、道行く英国人に「ハグ」をする運動が、欧州からの一部駐在員によって行われている (英語音声のみ)Photo/Video: Parminder Bahra/The Wall Street Journal
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GEORGI KANTCHEV
2016 年 5 月 16 日 16:15 JST
【ロンドン】市内で最も犯罪の多い地下鉄駅キングスクロス。その外ではパウル・バルガさんが次のターゲットに目をつけ、そちらに向かって歩いていた。
「ハグ(抱擁)をしてもいいですか?」。バルガさんは中年の英国人男性に声をかけた。
バルガさんはオーストリアの首都ウィーンとロンドンの双方に本社を構えるテクノロジー新興企業を経営するオーストリア人で、英国に影響を与えようと取り組む欧州からの駐在員グループの一人。メンバーは2月以降、「ハグ」という奇抜な方法で英国の欧州連合(EU)残留を訴えている。
この「ハグ・ア・ブリッツ(英国人をハグしよう)」運動には、英国人を欧州人の近くにとどめておくという意味合いがある。ただし、そうした公の愛情表現は英国人の精神に反するものであり、この運動が裏目に出る確率は小さくない。
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キングスクロス駅近くでバルガさんに話しかけられたイングランド北部キングストン・アポン・ハルに住むリー・リックルズさんは、EUに悪感情は一切持っていないとしつつも、バルガさんの申し出を断った。「欧州は大好きだが、ハグには興味はない。申し訳ない」とリックルズさんは言い、「ハグはあまり英国人らしいことではないので」と説明した。
ハグ運動に参加するパウル・バルガさん(右)
英国ではEU残留の是非を問う国民投票が6月23日に実施される予定だが、世論調査の結果は割れている。残留を支持する人は世界最大の貿易圏にとどまることで得られる経済的メリットを理由に挙げている。一方、離脱を望む人たちはEUが英国の主権を損い、官僚主義で企業を抑圧するものだと指摘している。
そこで、バルガさんをはじめとするハグ運動参加者は、時に気まずさを伴うものの、英国が欧州で今も歓迎されていることをハグで示そうとしている。ハグ運動は現在のところロンドンで行われているが、パリやローマ、ウィーンなど他国の都市でも現地在住の英国人を対象に実施することが計画されている。
このアイデアはロンドン北部で開かれたあるディナーパーティーで欧州からの駐在員が提案したもので、以来、交流サイトのインスタグラムやツイッターには「#hugabrit」のハッシュタグ付きで1000件を超える投稿が寄せられている。
ハグ・ア・ブリッツ運動のウェブサイトには200を超える写真が掲載され、中には英作家バージニア・ウルフの胸像をハグするフランス人女性の写真もある。訪問者が殺到し、サイトが停止したことも何度かあった。
グループの創設者によると、この運動はいずれの政治政党とも関係がなく、外部からの資金支援も受けていない。
ハグ運動参加者は、嫌がられたときはすぐに引き下がるようにしている。リックルズさんに断られたあと、バルガさんはサンドイッチを食べている女性を指さした。「あの人はいい雰囲気がしない」。キングスクロス駅近くでバルガさんとハグ運動を行うイタリア人のマリアンナ・ローゼンフェルドさんはこう述べた。
代わりに二人はスマートフォンで文字を打っている女性に近づいた。「頑張れ欧州!」。生物学を専攻する学生のアナ・ウールマンさんはハグに同意してこう言った。
グループの創設者の1人でドイツ人ジャーナリストのビルギット・マースさんは、ハグは必ず同意を得てからするようにしていると話す。マースさんは先月テレビの生番組で、EU離脱を掲げる英国独立党(UKIP)のナイジェル・ファラージ党首にもハグをした。
最初は握手だけだったが、司会者に促されてファラージ党首の背中に手を回した。
マースさんは「ドイツ人も普通は肉体的な接触をしない」とした上で「この運動のために、堅苦しい性質を克服しなければならなかった」と述べた。
感情をあまり表に出さないという英国人のステレオタイプは何世代も前から続いており、その一因は英文学によく登場する頭の固い保守的な人物にある。
米国の旧陸軍省は1942年、米軍兵士向けに第二次大戦で英国人とどう付き合うかを指南した31ページに及ぶマニュアルを発行した。
そこには次のように書かれていた。「英国人は往々にして行動がわれわれよりも控え目だ。従って、列車やバスで英国人が話しかけてこなかったとしても、横柄または無愛想というわけではない」
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http://jp.wsj.com/articles/SB12363839694362934444104582069630423696526?mod=wsj_nview_latest
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