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[一目均衡]「トランプ大統領」という未来
編集委員 小平龍四郎
米国の大統領選まで半年を切った。共和党の候補指名が確実となったドナルド・トランプ氏と、あるヘッジファンドの関係が注目されている。
ニューヨーク本拠のデューン・キャピタル・マネジメント。会長兼最高経営責任者のスティーブン・ムニューチン氏がトランプ陣営の全国資金調達責任者に招かれたのだ。
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この人選に注目すべき理由はいくつかある。
一つは、自由な立場で発言するため自己資金で戦ってきたトランプ氏が、外部から資金を募り始めたということだ。
予備選は放言三昧で関心を引けばよかった。本選で勝つための組織を整備するには自己資金では足りない。そう考えての柔軟な方針変更なら、現実主義者としてのしたたかな横顔を示す傍証となりうる。
もう一つの理由は、ムニューチン氏が米ウォール街最高の栄誉とも言われた、ゴールドマン・サックスのパートナーだったということだ。しかも親子2代にわたって、だ。
民主党のヒラリー・クリントン氏とウォール街の親密さを批判してきたのは、トランプ氏だ。自陣営にウォール街セレブを迎えるのは矛盾するようだが、金融界との意外なパイプをうかがわせる効果もある。
勢いで勝ってきた異端の候補は、多様な面を持つ戦術家なのかもしれない。戸惑いつつも察知した市場は、米国第一を掲げる保護貿易主義者が大統領になるリスクを、いつ本格的に織り込みにかかるのか。
UBSは5月4日付のメモで、市場から見た米大統領選の見解を発表。「歴史的に見て株式相場が選挙特有の不確実性で大きな悪影響を受けたことはない」として、顧客に冷静な対応を呼びかけた。
しかし、日本の核武装容認さえ口にする人物が共和党大統領候補になる現実への対処を、経験則だけから導き出すのは難しい。特に情報に制約がある日本の個人投資家などはどうしたらよいのか。
「トランプ大統領誕生に備える投資アイデア」。eワラント証券のチーフ・オペレーティング・オフィサー、土居雅紹氏が個人の意見として自社サイトに書き込んだのは、4月初めだ。
トランプ氏が予備選で過半数を獲得しそうになったら現物株ポジションを手じまい、日米株価指数のプット(売る権利)を買うべき――。個人の顧客に不確実性への備えをゆめゆめ怠らぬよう、警鐘を鳴らす内容だった。
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大統領選の結果がどうであれ、米国は世界の様々な問題を身を低くしてやり過ごす国になる恐れがある。日興アセットマネジメントの神山直樹チーフ・ストラテジストは、こんな分析を示したことがある。
「トランプ大統領」が誕生すれば、市場が対峙するのはなおさら不確実で内向きの米国。もはやそれを、影響は大きいが発生確率は小さい「テール・リスク」とは片づけられない。
[日経新聞5月10日朝刊P.15]
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