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シリア侵略に執着するトルコ政府から首相が離脱を表明、不安定化は進み、崩壊も時間の問題か
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201605050000/
2016.05.06 06:10:55 櫻井ジャーナル
トルコのアフメト・ダブトオール首相が5月5日に辞意を表明した。すでに本ブログでも紹介したように、トルコ国内は不安定化している。サウジアラビアから支援を受け、情報機関MITと手を組んでいるレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は軍を粛清し、言論を弾圧して乗り切ろうとしているが、体制は大きく揺れているのだ。
体制を不安定化させた最大の理由はエルドアン大統領の常軌を逸した好戦的な政策にあるが、その背景にあるのはネオコン/シオニストの世界制覇ドクトリンだ。1992年初頭に国防総省のDPG草案という形で作成され、「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。
ネオコンはアメリカを「唯一の超大国」になったと認識、ソ連のようなライバルが2度と現れないようにするため、潜在的なライバルである旧ソ連圏、西ヨーロッパ、東アジアなどを潰す一方、膨大な資源を抱える西南アジアで自立した政権を倒し、支配しようと考えたのである。このドクトリンに基づき、ネオコン系シンクタンクのPNACは2000年に「米国防の再構築」を発表、その中で大きな変革を実現するためには「新しい真珠湾」が必要だと主張している。
勿論、「真珠湾」とは1941年12月7日に日本軍がハワイの真珠湾にある米海軍基地を奇襲攻撃したことを指している。この攻撃は実際に日本軍が攻撃したのであり、同じようなことを期待するのは他人任せ。そのようなことは、そうそう都合良く起こるものではない。本音は1932年2月にドイツ議会が放火された事件が想定されていただろう。
そして報告書が出された翌年の9月11日、ニューヨークの世界貿易センターとワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されてアメリカは劇的に変化、国内では憲法が機能停止、国外では軍事侵略を公然と始めたわけである。
攻撃直後、ジョージ・W・ブッシュ政権はきちんとした調査をせずにアル・カイダが実行したと断定、アフガニスタンを先制攻撃した。2003年3月には統合参謀本部の反対を押し切ってイラクを侵略して殺戮と破壊を中東へ広めていく。
ドナルド・ラムズフェルド国防長官は部下に対してイラク攻撃のプランを考えろと命令したのは攻撃から5時間もしないうちで、その10日後にペンタゴンを訪れたウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官によると、国防長官の周辺ではイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そしてイランを先制攻撃する計画ができあがっていたという。このうちイラク、シリア、イランの3カ国は1991年にポール・ウィルフォウィッツ国防次官(当時)が5年以内に殲滅するとしていた。
イラクのサダム・フセイン体制を破壊した後、アメリカはサウジアラビアやイスラエルと共同でシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラに対する秘密工作を開始したと調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュは2007年3月5日付けのニューヨーカー誌に書いている。
クラーク元最高司令官によると、アメリカの友好国と同盟国はヒズボラと戦わせるためにダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)を作り上げたのだという。ダーイッシュはアル・カイダ系武装集団から派生した戦闘集団。実際は創設にアメリカも参加している。なお、このアル・カイダとはCIAから訓練を受けた「ムジャヒディン」のコンピュータ・ファイル、つまり傭兵の登録リストだとロビン・クック元英外相は明らかにしている。
リビアのムアンマル・アル・カダフィ体制を倒した際、NATO軍とアル・カイダ系の戦闘集団LIFGが連携していることが広く知られるようになった。その構図はシリアも同じだが、ただ、「ダーイッシュ」という新たなタグが現れる。アメリカ軍がこうした戦闘集団を攻撃せず、実際は支援してきたことを本ブログでは繰り返し、指摘してきた。そこでダーイッシュなどは勢力を拡大できたのだ。
そうした状況を大きく変化させたのが昨年9月30日に始まったロシア軍の空爆。アル・カイダ系武装集団やダーイッシュの司令部や武器庫が破壊されただけでなく、トルコからシリアへ延びている兵站線が攻撃され、シリアやイラクで盗掘された石油をトルコへ運ぶ輸送車両も破壊され、シリア政府軍は要衝を奪還しはじめたのだ。
そうした中、侵略勢力内で戦略を軌道修正する動きが出て来たのだが、トルコ、サウジアラビア、そして恐らくネオコンやイスラエルは軍事力によるバシャール・アル・アサド体制の破壊に執着している。
資金を調達する必要もあり、トルコのエルドアン政権はEUへ難民を送り込んで脅し、カネを巻き上げることに成功しているのだが、国内は不安定化の度合いを強め、議会でも乱闘があった。
言論を封殺することにも熱心で、昨年11月26日にはジュムフリイェト紙の編集長を含むふたりのジャーナリストが逮捕されて裁判がはじまり、ザマン紙の経営権を政府が握って編集幹部を一新させたが、ダブトオール首相の辞任表明のタイミングで同紙の発行を止めさせている。今後、多くの新聞が発行停止になると見られている。これが安倍晋三政権と友好的な関係にあるというエルドアン政権の実態だ。
しかし、トルコは日本と違って気骨ある記者や編集者が存在しているようで、抵抗は続いている。エルドアン政権は軍幹部、弁護士、学者、ジャーナリストなどを大量摘発し、275名を有罪にしているが、この判決を最高裁が4月21日に無効にしたことも興味深い動きである。ネオコン、軍需産業、金融資本といった好戦派に支えられているヒラリー・クリントンがアメリカの次期大統領に就任する可能性が強まっているが、アメリカも危ない橋を渡っていると言える。
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