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「混乱の帝国」が反撃
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2016年5月 5日 マスコミに載らない海外記事
Pepe ESCOBAR
2016年4月26日
Strategic Culture Foundation
ブラジル議会で、ジルマ・ルセフ大統領に対する弾劾動議が、ハイブリッド戦争ハイエナと私が呼ぶ連中によって採択されて間もなく、クーデター唱導者の一人、次期大統領ミシェル“ブルータス”テメルが、進行中のクーデターのニュースを伝える特別新聞配達少年として、上院議員をワシントンに派遣した。やり玉にあげられている上院議員は、上院外交委員会の公式メンバーではない。
ブルータス・ツーで、腐敗で悪名高い下院議長エドゥアルド・クーニャと組んで、彼がやらかしいていることを、額面通り、クーデターと、益々解釈するようになっている世界中のマスコミの反応に、ブルータス・テメルは危機感を募らせたのだ。
上院議員の任務は、ブルータス・ワンによれば、“ブラジル各機関の士気をくじいている”クーデター反対の言辞に対抗するPR攻勢を開始することだとされている。
たわごとをいうな。新聞配達少年上院議員は、アメリカ国務省に、万事計画通りに進んでいますと言うために派遣されたのだ。
ワシントンで、新聞配達少年上院議員はもごもごと言った。“我々は、ブラジルがバナナ共和国ではないことを説明する。”そう、これまでは、そうではなかったが、ハイブリッド戦争ハイエナのおかげで、今やバナナ共和国だ。
スイスに11の違法銀行口座を持ち、パナマ文書に掲載され、既に最高裁によって、捜査中の人物が一国の政治的運命を握っていれば、既にして、バナナ共和国だ。
独善的な州裁判官に、そこそこのアパートと、彼が所有もしていない牧場を理由に、元大統領ルーラを投獄すると脅させながら、同時に大いに尊大な最高裁裁判官と並んで、ブルータス・ツーには、指一本も触れられないような国は、バナナ共和国だ。
アメリカ政府の無反応と、ロシア政府の反応とを比較してみよう。ロシア外務省の快活なマリア・ザハロワが、BRICS提携の重要さと、G20における、ブラジル-ロシア共通の立場を強調した。ロシア政府は、ブラジルの問題は“憲法的な法的枠組みで、いかなる外部からの干渉無しに”解決されるべきであると明言した。
“外部からの干渉”が一体何を意味しているのかは、誰もが知っている。
全領域優位攻撃、再装填
“少なくとも国内市場開発に投資している現地エリートの一部も団結して、労働者階級とも協力した中南米新開発主義プロジェクト”の破壊に夢中になっているアメリカが支援し/推進しているハイブリッド戦争という観点から、私は進行中のブラジル・クーデターに注目してきた。ここで、ハイブリッド戦争の主目的はネオリベラル支配の復活だ。
明らかな主標的は、BRICSメンバーで、世界で7番目に大きな経済のブラジルでなければならなかった。
2002年の昔、ペンタゴンが全領域優位と規定したハイブリッド戦争の手段と狙いという点で、帝国は直接要点を攻撃する。“アメリカの権力は、匹敵するものがない軍事力に由来する。例えば貿易上の環太平洋連携協定TPPなど、アメリカ市場の勢力範囲を拡大するものは何であれ、アメリカ権力の備蓄を押し上げる。しかし、より深い意味では、アメリカ経済優位の産物だ”。
そう、アメリカ経済は、支配的というには程遠い。今、問題となるのは“アメリカから事業を移転させようとするものと、経済制裁のバイキング料理による影響を受けにくい、対抗する金融制度を、他の国々が構築するのを許してしまうことだ”。
“対抗する金融制度”を、BRICSは作り出してしまった。“経済制裁のバイキング料理”も、イランを降参させるのに十分ではなかった。テヘランは“レジスタンス経済”を推進し続けるだろう。核武装した北朝鮮や、優先度の一番低い“テロ”と並んで、BRICSの二国 - ロシアと中国 - そして、イランが、ペンタゴンにとって、五大実存的脅威として扱われているのは決して偶然ではない。
冷戦2.0というのは、本質的に、ロシアと中国が相手だが、ブラジルも、主要な相手だ。エドワード・スノーデンは、NSAのスパイ活動が、その専有技術が、21世紀初頭の最大の石油発見を可能にした、ペトロブラスに重点をおいていたことを暴露した。プレソルト石油埋蔵だ。アメリカの巨大石油企業は、その採掘から排除されている。これは到底受け入れ難い。それには、全領域優位に組み込まれたハイブリッド戦争技術の配備が必要だ。
ブラジルの買弁エリートは、上機嫌で、ゲームをしているのだ。既に二年以上昔、JPモルガンの専門家が、ネオリベラルのマクロ経済実行者連中に、ルセフ政権をいかにして不安定化させるかを説くセミナーを行っていた。
産業、商業、金融や、アグリビジネス・ロビーは、表面上、ルーラ-ディルマ社会民主主義実験の終焉となる弾劾を支持している。だから次期大統領ブルータス・テメルが、巨大資本と、公債の(国際基準を遥かに超える)利子制限廃止を含む、包括的合意をしたのは何の不思議もない。 債務とGDPの関係は確実に深まる。より高価な借金だ。結果としておきるのは、医療や教育の削減だ。
無類の経済的富に恵まれた(アマゾンの熱帯多雨林と、あの水と、グアラニー帯水層をお考え願いたい) しかも、主要BRICSメンバーで、戦略的提携もしているロシア-中国と密接につながっている南大西洋の自立した地域大国を許すなど、アメリカ政府としては、これは超党派で、絶対に問題外なのだ。
プレソルトという要素は、熱帯ケーキの目玉なのだ。ペトロブラスに、採掘を独占させるなど、アメリカの巨大石油企業にとって問題外だ。しかも、万が一に備えて、必要とあらば、アメリカ第4艦隊が、南大西洋で、既に待機している。
BRICSの一つは潰した、次は二国だ
チェイニー政権が宣言した“世界戦争”は、余りにも長期間、「混乱の帝国」をそらせてきた。今やとうとう組織的な世界規模の混乱攻勢が始まったのだ。東南アジアから、南アジアまでに到るハイブリッド戦争の夢は、アサド王朝が、長年アメリカの“秘密”同盟国だったにもかかわらず、背後で糸をひく混乱の帝国が、シリアで懸命に試みる中、サウジアラビア、イラン、パキスタンやエジプトの政権を置き換えるための、ある種のイラク風混乱だ。
新聞配達少年の上にまします宇宙の主、オバマは、イランを巡って、サウド家を裏切ることに決めた。必ずしも、悪いことではない。支配的な希望的観測は、ヨーロッパ向けに、イラン天然ガスを、ロシア天然ガスに置き換え、ロシア経済を崩壊させることだった。これは大失敗した。
だがまだ別の選択肢がある。サウジアラビア とシリア経由のカタール天然ガス・パイプラインで、ヨーロッパ向けのロシア天然ガスも置き換えるのだ。それが、たとえ何があろうとも、シリアにおけるCIAの主な狙いなのだ。まやかしのカリフ制、ダーイシュなど、単なるプロパガンダに過ぎない。
CIAは、サウジアラビアに、石油価格戦争で、ロシア経済を破壊させるのにも熱心で -連中はこれを止めたくはないのだ。そこで、サウジアラビアを、あの有名な9/11に関する28ページで支配して、石油価格戦争を継続させている。
1980年代に、アフガニスタンでしたように、最近ではキエフ・クーデターでもしたように、連中の手先であるトルコ軍に、ロシアSu-24撃墜まで命じて、ロシアを、シリアのわなに引きずりこもうと、CIAは死に物狂いだ。“問題”は、クレムリンが毒リンゴに食いついてこないことだ。
1980年代の昔、 サウド家が、GCCオイルダラー仲間とともに連中の蓄えを解き放ち、1985年、石油価格を、一バレル7ドルに押し下げ 、アフガニスタン戦争とベトナム戦争も利用して、ソ連を破綻に追いやった。おそらく、あらゆる作戦が構想も実行も、素晴らしいものだった。経済・プラス・ベトナム式のハイブリッド戦争だ。“背後で操る”、オバマ外交政策の恩師、ズピグニュー“グランド・チェスボード”ブレジンスキー博士は、現在、よく似た計略をやり通そうとしている。
ところが、しまった。問題がおきたのだ。既におかしくなった中国発展モデルで頭が一杯の中国指導部が、世界中を分割して、支配し(そして征服する)混乱の帝国の取り組みをはっきり見てとったのだ。もしロシアがやられれば、次は中国だ。
アメリカ諜報機関が、中国を主要な軍事的脅威と見なし、“アジア基軸”によって、対中国で動き始めたところだったのは事実上、つい先頃、2010年頃だ。ところが突如、CIAは、ロシアが一兆ドルを費やして、第三次世界大戦に最適な兵器の、潜水艦は言うまでもなく、防御と攻撃ミサイルで二世代先んじていることに気がついた。
そこで、ロシアが、主な脅威にたてまつられることとなった。チェス盤を入念に調べた北京指導部が、代替の権力として、ロシアとBRICSとの同盟を加速させ、アメリカ政府内に、全く壊滅的な規模の地震をひき起こした。
現在、北京は、BRICSに、彼ら自身のIMF、SWIFT決済システムと、世界銀行を導入し、強力な代替権力構造として機能するよう、手際良く仕組んでいる。
軽んじられた「混乱の帝国」の怒りにはご用心だ。それが今、BRICSに対して起きている。ブラジルは包囲されており、南アフリカは衰退し、インドは弱く、中国とロシアは次第に包囲されている。ハイブリッド戦争の変種、ウクライナからブラジルに到るまで、中央アジアでの圧力強化、“シラク”火薬樽など全てが、BRICSや、ロシア-中国の戦略的提携、そして究極的には、ユーラシアを結ぶ新シルク・ロードを崩壊させるための組織的な全領域優位攻勢を暗示している。石油価格戦争、ルーブル崩壊、EUの難民洪水(“常軌を逸した”エルドアン皇帝がひき起こした)、到るところでの21世紀のグラディア作戦再演では、想像上の敵で、大衆の目をそらしてはいるが、まやかしのダーイシュ変種によるテロは、高度な破壊活動戦術として、画策されているのだ。
構想も実行も素晴らしく、あざやかでさえあり、見かけも映画のように実に立派だ。だが確実に、ブローバックがおきるだろう。
記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2016/04/26/the-empire-of-chaos-strikes-back.html
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