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米国からシェールガスでつくる液化天然ガス(LNG)の輸出が始まった。米エネルギー省のアーネスト・モニツ長官が3日、日本経済新聞とのインタビューで明らかにした。少なくとも6隻の輸送船が南米、欧州、アジアの3大陸に向かった。新たな輸出国の登場はアジアや欧州の消費国の調達先を広げ、LNG市場の活性化を後押しすることになりそうだ。
■市場の主要プレーヤーに
モニツ長官は自由貿易協定(FTA)を締結していない国向けに、日本の年間消費量に相当する年8千万トン超の輸出を認可したと説明した。2月に試験出荷を開始したルイジアナ州の基地に続き、2017〜18年にほかの4基地が生産を始める計画で「米国はLNG市場における主要なプレーヤーになる」と述べた。
大消費国である日本や韓国は、東南アジアや中東からLNGを輸入しているが、20年間を超える長期契約が中心だ。荷揚げする港が決まっていたり、余ったLNGを転売できなかったりといった制約が多い。米国産LNGは天然ガスの需給に応じて価格が決まり、転売禁止などの制限もない。
2日まで北九州市で開いた主要7カ国(G7)のエネルギー相会合は、透明性の高いLNG市場の育成に関する連携を確認した。米国産LNGの輸出開始は硬直的な取引慣行を変えるきっかけになると期待されている。
■日欧はインフラ整備必要
モニツ長官は日本がG7会合で表明したLNGの取引ハブ(拠点)の設置構想について「実現は可能だ」と述べる一方、「米国では長年、天然ガスを使い、そのためのインフラがある」と説明。日欧がLNG市場を育てるには「受け入れ基地や貯蔵施設、配送網などのインフラを整える必要がある」と指摘した。
原油市場の先行きについては、16年の米国の原油生産量がピークだった15年から日量50万〜60万バレル減るとしたうえで、供給過剰な世界の原油需給は「1年のうちに均衡する」との見通しを示した。
米国内ではシェールオイルやシェールガスの掘削装置(リグ)の稼働数が大幅に減っているものの、同国内の在庫水準は依然高いという。このため最近の原油価格の持ち直しにもかかわらず、石油関連企業の投資の絞り込み傾向は当面変わらないとの見解を述べた。
また原子力分野では、「核なき世界」を掲げるオバマ政権が、兵器転用につながりかねない余剰プルトニウムや高濃縮ウランの保有に厳しい目を向けている。日本政府が茨城県東海村の研究施設から米国に搬送中のプルトニウムについて「重要な前進」と評価。「日米は核不拡散や原子力安全など、核のあらゆる分野で強力なパートナーであり続ける」と述べた。
原子力発電所からの使用済み核燃料の再処理はその過程でプルトニウムが生じる。青森県で再処理工場を建設中の日本に続き、中国が仏企業の技術を導入して再処理プラントの建設を計画し、韓国も導入に意欲を示している。長官は「重要なのは使用済み燃料からの抽出と再利用のバランスをとること」と語り、間接的な表現ながら東アジアにおける再処理拡大の動きに懸念を示した。
(編集委員 松尾博文)
アーネスト・モニツ氏 スタンフォード大で理論物理学の博士号を取得。マサチューセッツ工科大学(MIT)の物理学部長やエネルギー・環境研究所長などを経て1997年から2001年までエネルギー副長官。13年から現職。
日経新聞 5月4日
- 米エネルギー省長官:「日本は米国産LNGの主な買い手となるだろう」:シェールガス産出の持続性は疑問だが輸入先多角化は良 あっしら 2016/5/04 22:48:29
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