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オーストリア極右政党の行方[FT]
ヨーロッパ・エディター トニー・バーバー
ナチスを毛嫌いしたオーストリアの著名作家ヨーゼフ・ロートなら、4月24日の大統領選挙で極右の自由党のホーファー氏が36%を超す得票率で首位になったのをどう見るだろう。大衆迎合的な極右政党が第2次大戦以降、国政選挙でこれだけの得票率を取ったことはなかった。
躍進の理由は主に3つある。1つは同党がイスラム教徒の大量流入で、文化や雇用、福祉制度が脅かされていると訴えたことだ。昨年半ば以来、多くの移民や難民がオーストリアに押し寄せており、危機感を抱いた有権者の共感を誘った。
2つ目は実体経済への懸念だ。低成長が続き、失業率も上昇しているが、教育制度などの改革は先送りされたままだ。
3つ目は「プロポルツ」と呼ぶ政治・社会制度の弊害だ。雇用とポストを社会民主党と国民党の二大政党間で分配する仕組みで、何十年も続く間に腐敗と縁故主義が生まれた。
両党の人気はかなり前から陰りがみえていた。2002年の議会選挙の得票率は両党合わせて79%だったが、13年ごろには50%強にまで落ち込んでいた。
5月22日の決選投票では、ホーファー氏は大統領に選ばれないかもしれない。反自由党の有権者が結集し、ホーファー氏の対抗馬でリベラル政党「緑の党」の支援を受けるファン・デア・ベレン氏に一票を投じる可能性があるからだ。
だが、これで終わりではない。自由党は世論調査で一貫して30%以上の支持を得てトップに立つ。国民党など既成政党の衰退は、18年9月までに実施される次の国政選挙の後、これらの政党が大連立を組んでも、自由党が権力の座につくのを防げないということを示す。むしろ自由党が連立政権に加わり、法と秩序や移民などに関する政策に関与することが十分考えられる。
1980年代前半、穏健な主張を掲げていた自由党は2000年から06年にかけ、極右政党として政権の一端を担ったことがある。これは不幸な経験だった。党は二分し支持率は低下した。今回、自由党とその指導部は同じ過ちを繰り返すつもりはないだろう。
(4月27日付)
[日経新聞5月1日朝刊P.13]
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