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米とサウジ 膨らむ不信感
インターナショナル・アフェアーズ・エディター デビッド・ガードナー
1945年2月、米国のルーズベルト大統領はヤルタ会談からの帰途、サウジアラビアのアブドゥルアジズ・イブン・サウード国王と会った。米国がアラブ王国の安全と領土の保全を、サウジが妥当な価格での石油の供給をそれぞれ保証することを確認し、それが戦後の中東の礎石になった。
先週のオバマ米大統領のサウジ訪問では、70年続いたこの合意に綻びが生じたように見えた。シェールガスによるエネルギー革命により、米国はサウジなど湾岸諸国に頼らなくてもすむようになるだろう。オバマ氏が主導した昨年の主要国とイランの核合意も、サウジには許せない。イスラム教スンニ派のサウジは、イランや周辺のシーア派イスラム教徒を忌み嫌っている。2013年、イランとの核協議がまだ暫定的だったときでさえ、サウジは憤慨し、自らロビー活動をしてきた国連安全保障理事会の非常任理事国のポストを蹴ったほどだ。
両国の意見の相違は、01年の米同時テロに端を発する。実行犯の中心が、サウジ出身のウサマ・ビンラディンの指示を受けた同国人テロリストだったからだ。
オバマ氏はサウジの保守的なイスラム教思想がイスラム過激主義をあおり、アラブの近代化を阻んでいると見る。オバマ氏は長らく地域の緊張緩和と、サウジとイラン両国の自律的な力の均衡を訴えてきた。だが、そのような地域の緊張緩和はサウジには受け入れがたい。
サウジでは高齢のサルマン国王の息子で、30歳のムハンマド副皇太子が実権を握る。今月中旬、カタールの産油国会合で、サウジがムハンマド副皇太子の指示で増産凍結合意を破棄した一件は、サウジが抱くイランへの敵意が自国の経済利益に勝ることをはっきり示した。
サウジはオバマ氏の後継を選ぶ大統領選の行方を心配しながらにせよ、とにかくオバマ氏の退任を待っている。湾岸地域問題の米大統領顧問ロブ・マリー氏は「どこが我々の同盟国でどこがそうでないかは明白だ」と言う。否、サウジにとっては明らかではない。恐らく米国にとってもそうだろう。
(20日付、電子版)
[日経新聞4月24日朝刊P.11]
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