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シンガポールが突き進む異次元のスマート化
シンガポールの「スマート・ネーション」プログラムは国民1人1人の生活に及ぶ公算が大きい
https://si.wsj.net/public/resources/images/FT-AA098_SINGAP_M_20160411151812.jpg
By JAKE MAXWELL WATTS AND NEWLEY PURNELL
2016 年 4 月 26 日 14:41 JST
【シンガポール】この裕福な金融センターは、街中がきれいであることと、個人の行動を厳しく取り締まっていることで、世界に知られている。例えば、街をきれいに保つためにチューインガムの販売が禁じられているのは有名だ。
シンガポールはじきに、別のことでも有名になる可能性がある。それは日常生活に関するデータを大々的に収集する取り組みだ。
シンガポールは、リー・シェンロン首相が2014年の終盤に着手した「スマート・ネーション」プログラムの一環として、国中に多数のセンサーとカメラを配備し、政府があらゆることを監視できるようにする計画だ。公共スペースの清潔度、混雑の度合いのほか、登録された全ての車両の正確な動きなどを監視する。
これは包括的な取り組みであり、シンガポール国民1人1人の生活に及ぶ公算が大きい。だが、全容はまだ明らかになっていない。システムが全面的に導入されるまで、どう応用させるのかはっきりしそうにないからだ。例えば、当局は既に、禁煙場所で喫煙する人や高層マンションからゴミを投げ捨てる人を検知できるシステムを開発して運用している。しかし、次の段階で収集されるデータとその活用法は、こういったものをはるかに超えるものになりそうだ。
データの大半は「バーチャル・シンガポール」と呼ばれるオンライン・プラットフォームに蓄積される。これを受けて政府は、同国がどう機能しているかをリアルタイムで分かるようになるほか、感染症がどのように広がるか、ショッピングモールで爆発が起きたときに人々がどう反応する可能性があるかといったことを予測できるようにもなる。場合によっては政府は民間セクターともデータを共有する見通しだ。
当局は、このプログラムの目的がテクノロジーを通じた政府サービスの改善や市民との関係向上、民間セクターのイノベーション促進にあると述べている。例えば、民間企業が一部の高齢者向け公営住宅に配備したセンサーは、居住者が動かなくなると家族に通報したり、健康状態をチェックするためトイレを使った時間を記録したりする。
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http://graphics.wsj.com/singapore-smart-city/
だが、政府はシステムが導入されてみない限り、どんな応用が可能になるか分からないとも述べている。また、センサーの設置場所も決めていないとしているため、プライバシーへの懸念が生じている。
政府の報道官は、市民に明確な利益がもたらされる場所にのみセンサーを配置するとし、それで何をするかを決める前にシステムを設置してデータを収集することはしないと述べている。
シンガポールの法律では、法執行および監視の目的の場合、「スマート・ネーション」センサーで収集したデータを利用する判断には裁判所からの承認は必要ない。また、ネットワークがハッキングされれば、市民の生活に関する大量のデータが盗まれる恐れがある。
バラクリシュナン外相兼スマート・ネーション担当相は、「プライバシー保護とセキュリティーの確保は、無視できない非常に大きな問題だ」と述べる。同相は政府がこの問題について検討し、市民のプライバシー維持を重視しているものの、「答えは出ていない」と説明する。
政府はこの問題に関し公の場で議論を行っていないが、データは可能な限り匿名化されるとし、収集するデータを保護するための措置が既に取られているとしている。
この計画はシンガポール国民には人気のようだ。国民は政府への信頼が厚く、より効率的な国家にするためであれば、演説や報道にかかる制限など、行動の制限を受け入れる姿勢を見せている。
地元のオンライン学習サービス企業で働くジェレリン・ヒューさん(30)は、スマート・ネーションについて「この国のシステムを信頼している」としたうえで、駐車が簡単になるといった便利さが享受できることを楽しみにしていると話した。
スマート・ネーションはいわば、グーグル・マップの超強大なX線版だ。政府当局者によれば、センサーで集めたデータ満載のこの地図により、乗客の待ち具合に応じてバスの路線をうまく変更できるようになるとみられる。また、高層ビルが風の流れにどう影響するか、さらには感染症がビルの中でどう広がりそうかを予測できるようになる可能性がある。シンガポール政府はまた、市民のスマホを使ってバスが揺れるのを測定しており、将来道路の補修の必要度を把握できるかもしれない。
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