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※ 関連参照投稿
「プーチン大統領「今後も最新兵器使用」:プーチン氏、サウジのサルマン国防相(副皇太子)と会談、IS撲滅を共通の目標に」
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/173.html
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[FT]暗転した石油協議 サウジ翻意の裏に副皇太子[日経新聞]
2016/4/20 6:30
カタールの首都ドーハで石油協議決裂の余波が広がっている。そんな中、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン王子が王国のエネルギー政策を代表する予測不能な新たな立役者として浮上した。
ムハンマド王子は30歳の副皇太子でサルマン国王のお気に入りの息子だ。主要産油国の多くが、長引く原油安を食い止めるために15年ぶりの世界的な生産協定をまとめようと期待して集まったドーハに王子は参加してもいなかった。それでも王子のメッセージは、会場だったシェラトンホテルの大理石の大広間に鳴り響いた。「イランが参加しない増産凍結はない」
協議に臨むサウジのヌアイミ石油相(中央右)と代表団。イランが欠席したため、合意形成に至らなかった(17日、ドーハ)=AP
事情説明を受けた複数の関係者によると、17日日曜日の午前3時ごろ――会議が始まる予定のわずか数時間前――にムハンマド王子がサウジの代表団に電話をし、帰国を命じたという。代表団は残ったが、会議は頓挫したも同然だった。
このエピソードから、過去21年間サウジの石油相を務めてきた実務家のアリ・アル・ヌアイミ氏が脇に追いやられた印象が強まった。サウジ王家は常に石油政策について最終決定権を持っていたが、王族がこれほど公然と、それも自由に政策の方向性について語ることはめったになかった。他国の代表団は、ヌアイミ氏は合意を成立させるためにドーハに来ると聞かされていた。
「サウジの石油政策は今、ムハンマド・ビン・サルマン副皇太子が完全に掌握している」。コンサルティング会社ガルフ・インテリジェンスのマネージングパートナー、ショーン・エバース氏(ドーハ在勤)はこう言う。
■合意するとみられていた朝
父親が昨年即位した後、ムハンマド王子は莫大な影響力を手に入れ、権力基盤を固めるために素早く行動した。王子は国防省と経済評議会を率いており、その地位から隣国イエメンでの戦争を指揮するとともに、サウジがポスト石油経済に移行する計画を策定した。
王子の指揮下で、サウジの石油政策は原油価格よりも国際政治に突き動かされているように見える。特に大きいのが、制裁が解かれたイランとサウジとの激しい対立関係だ。アナリストらは、サウジにとって、石油はイランとの代理戦争で使う武器になったと話す。
つい日曜の朝まで、世界の原油生産全体のおよそ半分を代表する18カ国の代表団は、サウジには取引する用意があると思うと話していた。サウジの実務家たちは、会議の出席者の間に出回っていた合意文書の原案にかかわったといわれていた。
石油輸出国機構(OPEC)の首席代表らは記者団に、サウジの参加はイラン政府の決断に左右されないと説明していた。イランは西側諸国による制裁が長年続いた後、石油産業を再建しているところで、一貫して生産の制限を拒んできた。
「ほぼすべての人が1時間以内に合意が締結されると思い込んでいた」と、ある代表者は言う。クウェートのようなサウジの盟友でさえ、日曜朝、合意の成立に「楽観的」だと話していた。
だが万事が順調ではないという噂がまもなく広まった。サウジの代表団が突如、原案に追加条項を要求したのは、ロシア陣営がサウジ、カタール、ベネズエラの代表団――今年2月、最初に増産凍結を支持した中核グループ――との交渉に没頭しているさなかのことだった。
■同盟国もサウジに立腹
その日の午後には、会議は茶番と化す恐れがあった。代表団は、なお合意を確保できる言葉遣いを見つけるのに悪戦苦闘していた。会議にはイランの代表者が一人もいなかったため、これは不毛な任務だった。「会議が終わる前に去ったメンバーもいた」と、ある代表者は言う。「議論が堂々巡りだということが分かったからだ」
日曜の午後8時すぎに会議がついに打ち切られたとき、合意はずたずたになっていた。サウジの同盟国である湾岸アラブ諸国でさえ、腹を立てていた。サウジの立場がそれほど強固で、イランの姿勢が周知の事実だったのなら、なぜOPEC加盟国と非OPEC加盟国が集まるのを容認したのかと問う人もいた。
「これ(サウジの動き)は純粋に政治的だったと理解している」。ある代表者はこう話す。「土曜にすべてに同意しておきながら、日曜にすべてをひっくり返すなんてことが、どうしてできるのか」
会議に向けた準備期間に、ヌアイミ氏は、イランへの譲歩を認めるかもしれない合意にサウジ政府内に反対論があるというそぶりを見せなかった。2月に公の場に姿を現したときには、減産は検討対象にならないが、増産を凍結する合意は「一つのプロセスの始まり」になりうると語っていた。
多くの人はヌアイミ氏の発言を、サウジが2014年末以来初めて石油市場の主導権を取り返す準備をしている兆候として受け止めた。当時、ロシアが減産への参加を拒んだ後、ヌアイミ氏は石油価格が1バレル20ドルまで落ち込もうともサウジは気にしないと警告していた。
ほぼ2年にわたる原油安でサウジ政府の手元資金は1000億ドル以上吹き飛んだ。以降、多くはサウジの姿勢が和らいだとみていた。サウジにとってさらなる懸念材料は、石油業界が「lower for longer(長期化する価格下落)」を受け入れ、いずれサウジの責任にされかねない供給不足を生み出すと一部の人が危惧するペースで投資を削減していることだ。
一方、ロシアの責任を問う向きもある。イランとの関係を利用し損ね、生産量が一定のレベルに達した後になって初めてイランに生産制限を義務付ける、寛大な提案でもって同国を交渉に引き出せなかったからだ。
ロシアのアレクサンドル・ノワク石油相は、イランがドーハに代表者を派遣していなかったことを考えると、サウジの立場は「理不尽」だったと評した。会議はすでに合意されていた――つまり、交渉しないと確定することが目的だったと語った。
「OPEC非加盟のプレーヤーがOPECの内情を知った今、もう二度と参加したくないと思うなら最悪だ」と、ある代表者は言う。
ムハンマド王子は先週、もし需要があれば、サウジは即座に生産量を日量1150万バレルに引き上げられると述べた。その時点では、イランから譲歩を引き出すための見え透いた脅しと見なされた。石油産業の多くの人は今、折しも需給がようやく均衡に向かい始めたように見える中で、王子がサウジの市場シェア政策を次のレベルに進めようとするのではないかと恐れている。
ペトロマトリックスのアナリスト、オリビエ・ヤコブ氏は「ドーハ会議の主な結論の一つは、サウジの体制が非常に予測不能になったことだ」と述べた。
By Anjli Raval in Doha, David Sheppard and Neil Hume in London
(2016年4月19日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
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