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イス・ニヨンにある欧州サッカー連盟本部。パナマ文書にはUEFA前会長のミシェル・プラティニの名前が。(c)AFP/FABRICE COFFRINI〔AFPBB News〕
パナマ文書に1000人の名が挙がってフランス騒然 サッカー界の大物も大手銀行ソシエテ・ジェネラルも
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46600
2016.4.18 2016.4.18 JBpress
パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出した「パナマ文書」がフランスを揺るがしている。
パナマ文書には、有名無名のフランス人1000名(組織も含む)の名前が記載されていた。彼らがダミー会社やオフショア(非移住者向け)口座を所持しているのではないかとの疑惑が生じ、フランスとパナマの政治問題にまで発展している。
フランソワ・オランド大統領は4月7日、パナマ文書に名前が記載されたフランス人に関して「正式な捜査」に着手するよう司法当局に命じた。同時に、パナマのファン・カルロス・バレール大統領に対し、パナマ文書に関する正確な情報を発表するように要請した。
この1000人という数字は「以外に少ない」との指摘もある。これからまだ続報があるのではないかと、フランスの富裕層の中には戦々恐々とする者もいるようだ。
■名前が挙がった欧州サッカー界のドン
著名な人物、組織としてフランスで名前が挙がっているのは、サッカーの元仏代表で国際サッカー連盟(FIFA)前副会長/欧州サッカー連盟(UEFA)前会長のミシェル・プラティニ、極右政党・国民戦線(FN)の前党首ジャン=マリ・ルペン、その娘で現党首のマリーヌ・ルペン、ジェローム・カユザック元予算相、大手銀行ソシエテ・ジェネラルなどである。
ミシェル・プラティニは、昨年、FIFAのブラッター会長が一連の金銭スキャンダルの責任を取って辞任した後、一時はFIFAの有力会長候補に名前が挙がり、「フランス人から会長を」というマニュエル・ヴァルス首相の後押しもあった。ところがFIFA副会長に就任する前にブラッターから個人的顧問料として200万スイス・フラン(約2億2600万円)を受け取っていたことが発覚。FIFA倫理委員会から「地位乱用」などで6年間の停職処分を受け、会長候補の座も断念。UEFA会長の座も降りることになった。
プラティニは、フランスのサッカーが華麗な動きで「シャンパンサッカー」と呼ばれていた時代を代表するサッカー界の伝説的人物である。MFを務めた現役時代(1976〜87年、うち仏代表主将は79〜87年)の総得点数は356点、3回のバロン・ドール(最優秀選手)にも輝いた。それだけにFIFAでのスキャンダルはフランス人にとって大きなショックだった。さらに今回、パナマ文書によって隠し口座の存在が取り沙汰され、サッカーファンのみならず多くのフランス人を憂鬱な気分にさせている。
FNの前党首ジャン=マリ・ルペンは、党首時代から、ナチスのアウシュビッツ収容所のガス室について「歴史の些細な事件」と言い放つなど人種差別発言を繰り返していた。この「歴史の些細な事件」発言では、4月6日に3万ユーロの罰金刑を科せられている。三女のマリーヌ・ペンは2011年にFN党首に就任した。パナマ文書には側近の名前が挙がっており、2017年の大統領選への影響が注目されている(マリーヌは大統領選に立候補している)。
現政権のオランド陣営では、外科医で元予算担当相であるジェローム・カユザックの名が挙がっている。2013年に予算担当相だったカユザックは60万ユーロの秘密外国口座を所持していることが判明して辞任。当初、カユザックが強く否定し、オランド大統領もいったん不問にしようとしたこともあり、政権は大きな批判を浴びた。今回、「パナマ文書」にカユザックの名前が登場していることが判明し、再選を狙うオランド大統領に冷水を浴びせかけた格好だ。
■「非協力国」扱いされることにパナマが抵抗
大手銀行ソシエテ・ジェネラルのフレデリック・オーデア頭取は、かつて2012年4月に上院の脱税調査委員会で、「OECD(経済協力開発機構、本部パリ)が『グレーゾーン』に指定している国の支店は閉鎖した」と証言した。だが「パナマ文書」によると、同行が979のオフショアをパナマに開いていることが判明。同委員会では頭取を「偽証罪」で訴えるとしている。
「グレーゾーン」とは、タックスヘイブン(租税回避地)の中で「協力はするが積極的ではない国」を指す(「他国との情報交換に非協力国」はブラックゾーン、「問題なしの国」はホワイトゾーン)。
フランスはこうしたOECDの分類とは別に、タックスヘイブンの「非協力国」リストも作成している。パナマは非協力国だったが、2012年の経済省による見直しでリストから外れた。しかし「パナマ文書」の流出を受けて、オランド大統領は4月8日、「非協力国リストから削除したラテンアメリカの小国を2017年に再記載することにした。OECDにも同様の措置を要請する」と述べ、パナマを「非協力国」として再記載すると警告した。
パナマのような小国はたいした産業もないので、「オフショア」などで経済が成り立っていることが多い。だが、「非協力国」のレッテルを張られると、外国企業などが「脱税」を疑われて捜査の対象になったり面倒なことになったりすることを恐れて引き揚げてしまう。
パナマのバレール大統領は4月13日、フランス政府に対し「決定の再考慮」を要請した。もし「再考慮」しない場合、中米諸国は「外交的報復」に出るという。その内容に関しては言及していないが、フランスはパナマをはじめ中米、南米小国との関係悪化を避けられそうもない。
欧州連合(EU)の欧州委員会も、税の透明化を求める新計画を発表している。OECDも5月末の閣僚会議でタックスヘイブン問題が主要議題として浮上することになったという。パナマなどのタックスヘイブンは国際的に包囲されつつある。
■世界の国家元首が私財隠し?
パナマ文書はドイツの「南ドイツ新聞」が匿名の情報筋から入手したものだ。独仏米英らの107の新聞・テレビなどのジャーナリスト370人が協力して、約9カ月かけて1977年の同事務所創立以来の約1150万通に上る膨大な文書の解明に当たった。フランスからは「ルモンド」紙の記者が参加した。
同紙は4月5日付け(夕刊紙などで4月4日発行)の1面トップで「国家元首の隠遁金」という見出しを掲げ、世界各国の国家元首や首脳らトップ140人が隠し口座を所持していると大々的に報道した。「プーチン・ロシア大統領、アサド・シリア大統領、モハメド6世・モロッコ国王、ブーテフリカ・アルジェリア大統領といった国家元首や、アイスランドのグンロイグソン首相らがオフショアを利用して私財隠しをしている疑惑が指摘されている」と記事は報じる。
アイスランドのグンロイグソン首相はこの情報を受けて4月6日に辞任。スペインのソリア産業相も不正蓄財疑惑により15日に辞任。ベルギーの運輸相も辞任した。
英国のキャメロン首相も、父親の財産を相続した時にパナマの口座があったことを認めたが、首相就任前に閉じたと弁明した。英国は6月末にEUからの脱退の是非を問う国民投票を控えている。首相は「脱退反対」を主張していたため、「脱退賛成派」側が有利になるとの見方も出ている。
今回、文書を流出させた「モサック・フォンセカ」は、ジュルゲン・モサックとラモン・フォンセカ・モラの2人の弁護士が共同で創設した事務所だ。ルモンドによると、モサックは「元ナチ将校の息子でパナマ大学教授。パナマの独裁政治家ノリエガ将軍(在職1983〜89年)の側近だったとも言われている」。経済専門の弁護士フォンセカ・モラと知り合った経緯など、不明な点が多々ある謎の人物である。
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