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ロシアのウラジーミル・プーチン大統領。露モスクワ郊外のノボ・オガリョボの私邸にて(2016年3月31日撮影)。(c)AFP/MAXIM SHEMETOV〔AFPBB News〕
プーチン大統領の金脈の中心にいるチェロ奏者 オフショア口座に20億ドル、「パナマ文書」で怪しい取引が露呈
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46536
2016.4.7 Financial Times
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2016年4月5日付)
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の親しい友人たちが同氏の統治下で財産と政治力を蓄える中、大統領に最初の妻を紹介し、2人の長女の名付け親でもあるチェロ奏者、セルゲイ・ロルドゥギン氏は、ロシアの新たな寡頭制の中で地位を築こうとはせず、音楽に人生を捧げることを選んだ。「私は数百万の金など持っていない」。同氏は2014年に、ニューヨーク・タイムズ紙にこう語った。
実際にはロルドゥギン氏の資産は数百万ではなく、数十億ドルにのぼる。パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から漏洩し、「国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)」が4月3日に公開した文書は、ロルドゥギン氏が密かにオフショア(租税回避地)の口座網に少なくとも20億ドルの資金を隠していたことを示している。これが事実なら、ロルドゥギン氏は断トツで世界一裕福な音楽家になるかもしれない。
ICIJが暴いた1100万件の文書はどれもプーチン氏を名指ししてはいない。しかし一連の文書は、莫大とされる同氏の個人資産に関するこれまでの噂を裏付ける強力な証拠になる。
米財務省は、2014年にロシアのクリミア併合に対する制裁を決定した際、プーチン氏の取り巻き集団のメンバーが、同氏の資金や投資を運用することで「出納係」の役を果たしていると述べていた。
「ロルドゥギンがこれを自分で稼げたはずがないのは明らかだ――彼は音楽家なんだから」。反汚職活動家でプーチン氏の政敵であるアレクセイ・ナワリニー氏はこう言う。「プーチンが腐敗していることはニュースでも何でもないが、あの有名な『財布』に加えて、これも持っていることが分かった」
ロシア政府高官らは疑惑を否定した。大統領府報道官のドミトリー・ペスコフ氏――ロシアの法律では政府関係者の配偶者は企業を所有することを禁じられているものの、ペスコフ氏の妻はリークされた文書でオフショア企業の取締役として名前が挙げられている――は3日、米中央情報局(CIA)と米国務省がロシア大統領の信用を傷つける「情報作戦」としてリークを企てたと述べた。
リークされた文書は、ロルドゥギン氏が、ロシア銀行が運営する複雑な金融ネットワークを利用できることを示している。ロシア銀行のオーナー、ユーリ・コワルチュク氏は1990年代にプーチン氏やその後大富豪になった友人数人とともにサンクトペテルブルク郊外にダーチャ協同組合を立ち上げた人物で、ロシア銀行もコワルチュク氏も米国と欧州連合(EU)の制裁対象になっている。
ロルドゥギン氏はニューヨーク・タイムズ紙に対し、何年も前に自分がお金に困っていたときに、好意としてロシア銀行の株式を贈られたと語った。現在、ロシア銀行は同氏を、3.2%の株式を所有する株主として記載している。
2008年から2013年にかけて、ロシア銀行の資産は2倍以上に膨らんで80億ドルに達しており、同行はロルドゥギン氏と結びついた20億ドル規模の企業ネットワークを運営している。
リークされた文書によると、このネットワークの主要仲介会社は、ほとんど無名の実業家オレグ・ゴルディン氏が経営権を持つ英領バージン諸島の会社サンダルウッドだ。
文書は、サンダルウッドがロシア国営銀行VTBの子会社RCBキプロスから8億ドル相当の無担保融資を受けたことを示している。RCBキプロスはサンダルウッドの返済能力についてほとんど何も予防策を講じなかった。
一連の文書によると、サンダルウッドは、多くの場合、有利な条件で利払いを受けられるローン交換合意にも関与していた。ある事例では、ロルドゥギン氏は1ドル払って800万ドルの金利を受け取っている。
パナマ文書は、サンダルウッドの口座の資金の一部が、破格の低金利でプーチン氏と関係のあるロシア国内のプロジェクトの財源として使われたことを示している。ある例では、サンダルウッドはコワルチュク氏が共同所有するオゾンという会社に1130万ドル融資した。同氏のダーチャ協同組合の近くにスキーリゾート「イゴラ」を建設するためだ。
ロイター通信によると、このリゾートは、プーチン氏の次女エカテリーナが2013年に、やはりプーチン氏の友人の息子にあたるキリル・シャマロフ氏と秘密裏に結婚した場所だ。
リークによると、サンダルウッドが2012年に閉鎖された後、その業務はオーブ・フィナンシャル・コープという英領バージン諸島の会社に移管された。プーチン氏のメディアアドバイザー、ミハイル・レーシン氏と関係のある会社だ。
文書によれば、ロルドゥギン氏は、レーシン氏が創業し、ロシア銀行が共同所有するテレビ広告会社ビデオ・インターナショナルの少数株式を保有している。レーシン氏は昨年ワシントンで不審死を遂げるまで、多くの場合はコワルチュク氏の助けを得て、ロシアメディアに対するクレムリンの支配力を振るった。
リークされた文書は、ロルドゥギン氏が自動車メーカーのカマズとアフトワズの株式も保有していることを示している。また、ロルドゥギン氏と結びついた複数の企業が、ロシアのオリガルヒ(新興財閥)から極めて有利な条件で何百万ドルもの支払いを受けたことも明らかにしている。
パナマ文書はさらに、鉄鋼大手セベルスターリと関係のある会社レーベンス・トレーディングが2007年に、ロルドゥギン氏と関係のある別の会社に金利2%で600万ドル貸し付け、わずか2カ月後に1ドルで債務免除したことを示している。オリガルヒのスレイマン・ケリモフ氏の支配下にある企業数社も、2010年に40億ルーブルの融資と2億ドルの融資を同額でロルドゥギン氏と関係のある企業に移管した。
プーチン氏の柔道仲間のアルカディ・ローテンブルク氏は2013年に、ガスパイプライン建設計画の政府契約を勝ち取った後、ロルドゥギン氏と関係のある企業に対し、返済計画なしで2億3100万ドルの融資を実行した。
リークされた文書によると、ロルドゥギン氏と関係のある企業は、ロシアの石油・ガス独占企業のロスネフチとガスプロムの株式の売買でも莫大な利益を上げた。2010年には、別のオフショア企業がロルドゥギン氏にロスネフチ株を売却した後、即座に売却契約を取り消し、ロルドゥギン氏の会社は賠償金として75万ドル受け取った。ロシア最大手銀行ズベルバンクが手がけた別のケースでは、ロルドゥギン氏が株式を購入し、翌日に買値より何十万ドルも高い値段で売り戻している。
ロシアのメディアはロシアと関係のあるリークを無視し、ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領が持つオフショア企業に関するニュースばかり取り上げた。
「ロシアでの反応は、『はっはっ、連中は20億見つけただけか?』というものだ。そんなのは個人的な出費の小口現金だ」。ナワリニー氏はこう話す。「パナマはロシア政府関係者にとって一番人気のあるオフショアではない。もし英領バージン諸島についてこのような情報を見つけたら、金額は何倍も大きくなるだろう」
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