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オバマ大統領が任期最後の年にやるべきこととは? 写真は核セキュリティサミットにおけるオバマ大統領(2016年 ロイター/Kevin Lamarque)
オバマ大統領が核軍縮のため今やるべきこと レーガン政権の国防次官補がズバリ提言
http://toyokeizai.net/articles/-/112186
2016年04月03日 Reuters 東洋経済
[3月31日 (ロイター)]- 米国大統領は任期が終わりに近づくと、しばしば核兵器について何か行動を起こそうとするものである。ビル・クリントン大統領は包括的核実験禁止条約を批准しようとしたが、共和党に阻止された。ロナルド・レーガン大統領は中距離核兵器を禁じる条約についてソビエト連邦と交渉し、全ての核兵器を一掃する夢を描いた。
そもそもバラク・オバマ大統領は、核兵器が引き起こす危険性について問題意識を持って公職に就いた人物である。2009年4月のプラハ演説において、オバマ大統領は「平和で安全な核兵器なき世界を追求する」ことを宣言した。大統領は最初の取り組みでロシアと安定的軍縮条約と一連の国際的なサミットを成立させ、核物質の安全な管理について小さな前進も見せた。
しかしそれ以来、この世界で最も危険な兵器を管理する取り組みは滞っている。
■アメリカが進める核兵器の近代化
ここからさらなる進展がなければ、オバマ大統領は次の大統領に不明瞭で不安定な核政策を残したことになってしまう。核について進展がなければ、アメリカ政府は核についてリーダーシップを示せなくなってしまう。その点、2016年3月31日と4月1日にワシントンで開かれる第4回核セキュリティ・サミットは重要なものだ。
一方、この数年で、米国は核兵器を近代化するために巨額の取り組みを開始している。潜水艦、空母、陸上からの3つの核ミサイルの戦力のほぼ全ては、耐用年数が終わりに近づいており、廃棄、交換または一新する必要がある。米軍は、この3つの核ミサイルを再編する計画を立てているが、その計画を進めると核抑止力費用は向こう30年で1兆ドルに上昇する可能性がある。多くの人はその額を受け入れることができないと考えている。
この問題に取り組むよりむしろ、2月に発表された大統領の最終予算は、大規模な核配備プログラムの新たな資金として15億ドル以上を追加する方針を示した。米国国防総省は「これではどうやって再編プログラムの予算を組んだらいいのか、わからない。しかし、むしろその問題について我々は今答える必要が無いということなので、合衆国に感謝している」とブライアン・マッキーオン政策担当国防次官代理は記者に述べた。
議会が国防予算を制限しているにもかかわらず、国防総省は軍が必要としている従来兵器獲得のために大規模な計画を開始している。核兵器に費やされる費用は膨大なため、より有益な軍の能力向上や必要とする優先事項への国内支出に回される投資予算に悪影響を与える。議会が予算を満額認めることは恐らくないだろうが、米国の次の核兵器保有予算は思慮深い戦略というよりも、党派的争いによって削減されるのであろう。
■財政的な問題は大きい
いずれにせよ、現在の規模を維持・拡大することを前提とした核最新化計画を後押しすることは不必要であり、とても維持できるものではない。未来の核兵器保有計画を合理的な戦略とし、財政的にも慎重なものにできるのは、大統領しかいない。
今でもオバマ大統領は、彼のプラハ方針を持続し、次期大統領が柔軟で必要なデータを持って、核近代化計画を削減する難しい判断を実行することができるよう方策を講じることができる。
まず第一に、オバマ大統領は、次の大統領の就任初日に準備ができるように、予想される核の最新化費用について包括的研究を国防総省に行わせるべきだ。第二に、大統領は軍に対し、現在保有している核一つ一つを複製して更新していく指針を変更するよう命じるべきである。
第3に、任期終了前に、すでに膨大な予算が費やされ非常に多くの契約が結ばれているので白紙撤回が困難なところにまで進んでいる計画を取り消すこと、いや少なくとも一時停止すべきだ。例えば新型の空中発射巡航ミサイルは速度も遅く、弾道ミサイルが攻撃することができる目標を脅威に晒すリスクの高い方法である。ミニットマン大陸間弾道弾については新たに同等のミサイルに置き換える必要はない。
さらに、欧州にある戦術的核爆弾180発を一新する計画を中止することで、予算を288億ドル削減することができるだろう。これは全く抑止力になっていないのに膨大な費用がかかっている。
弾道ミサイル搭載潜水艦の数を14隻から10隻としたが、いったん12隻へ戻し、次期政権は潜水艦隊をすぐさま10隻に減らしそれを維持するよう指示すべきだ。またロシアとその最も危険な兵器の近代化計画を制限する新たな軍縮合意を積極的に追求すべきだ。
■大幅な予算削減はできる
それぞれの政策でこの先25年で200億ドルから300億ドル削減できるはずだ。この予算削減によってより有効な軍の機能強化に予算を使うことができる。例えば核に関するシステム1つ削減するだけで、この10年の大部分の期間において侵略的だったロシアに対抗するEUにおいて、最近4倍に膨れ上がった抑止力の強化プログラムを賄うことができるはずだ。代わりに、国内の教育や貧困対策、科学研究費に大きな予算を使うこともできる。
オバマ大統領の核兵器の役割を低減する、そして世界中に核安全保障を進める上で必要なリーダーシップを示すための最後のチャンスが、また彼にとって最高の業績になるであろう。オバマ大統領なら、この国が新たな軍拡競争に急転直下するのではなく、核なき世界への長い道のりに留まることができるはずだ。
文:ローレンス・コーブ/レーガン政権の国防次官補。現在はセンター・フォー・アメリカン・プログレスの上級研究員。この意見は彼自身によるものである
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