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連邦準備銀行(FRB)は一般には誤解が多い。アメリカの中央銀行は制度的には「連邦準備制度」と呼ぶ。中央銀行といえば独立権を持つにしても公的な機関のイメージだが、FRBは完全に私的な機関であり、その証拠には電話帳の官公庁のページに記載はない。
しかし日本銀行同様に中央銀行機能の最たる紙幣発行業務を司る。FRBの株式は民間金融機関が所有していて、連邦議会には監査権はない。FRBの長は議長で現在は15代目にあたるジャネットイエレンである。
ジキル島の秘密会議
1776年の建国以来アメリカには中央銀行はなかったが1910年にジョー=ジア州沿岸のジキル島(注)でJ.P.モルガン、ジョンロックフェラー、ポー ルウオルバーグ等の金融有力者が秘密会議を開き、金融業界保護のためにアメリカを12地区に分けてFRBを置く、連邦準備制度が1913年に施行されるこ ととなった。
(注)ジキル島の会議は上の写真のような邸宅で行なわれた。ジキル島の秘密会議メンバーは次の通り。
ネルソンオルドリッチ(共和党上院議員)
エイブラハムアンドリュー(通貨委員会特別補佐官)
フランクヴァンダーリップ(ロックフェラー財閥代表)
ヘンリーデイヴィソン他2名(J.P.モルガン財閥代表)
ポールウオルバーグ(ロスチャイルド代理)
ジキル島の秘密会議後の議会承認は簡単には行かなかったが、ウッドローウイルソンを操って連邦準備制度設立となったが、金融が支配力を高めるきっかけとなった。
公的業務を行なう私的機関
業務としては銀行の中の銀行と呼ばれるように、(1) 全米の銀行の監督、(2) 金融政策、(3) 支払制度の運営、(4) 財務省証券の売買、である。FRBは紙幣発行業務を行なうが、デフレ脱却を目指して2008年のQE1から続く量的緩和(QE)政策には過剰なドル紙幣乱発でマネーサプライによるインフレ懸念を引き起こしている。
12地区の中で中心的な役割を果たすのはニューヨーク連邦準備銀行である。その住所33 Liberty Street, Manhattan, NYC, NYの33という数字はたびたびFRBの代名詞として使われるほど、有名な存在である。
1979年からの歴代議長、ポールヴォルカー、アラングリーンスパン、ベンバーナンキはいずれも大統領執務期間にまたがり、金融政策によって世界に影響力 を及ぼしてきた。世界の経済に影響を与える存在でありながら議会が監査権を持たないため公開された情報は極めて少ない。
連邦準備銀行 (Federal Reserve Banks, FRB) trends watcher
米国の金融政策の策定と実施, そうして世界各国の金融政策に大きく影響を及ぼす米国連邦準備制度理事会(FRB)は、設立以降一度も外部監査を受けたことがない民間金融機関である。今、そのFRBに対する監査を求める動きが再び強まっている。
ロ ン・ポール下院議員(共和党、テキサス州)は、2013年に引退するまでの16年間、FRBに対する監査を求め、「FRB透明化法案」の成立とFRBの解 体」を追求してきた。今回は、息子であるランド・ポール上院議員(共和党、ケンターキ州)と30人の上院議員らと共に、「S.264、 2015年連邦準備制度透明性法案」を議会に提出した。この法案が、下上両院で可決されれば、会計監査院はFRBに対して全面監査を行うことができるよう になる。
連邦準備制度の設立
1910年にJ.P.モルガンが所有するジョージア州のジキル島で、当時の2大銀行のモルガン銀行とロスチャイルド銀行のメンバーによる秘密会議で連邦準 備制度の設立が合意され、1913年に設立された。設立の目的は、米国ドルと銀行の健全性と安定、そうしてビジネスサイクル(好況と不況の景気循環)の減 少と安定を図ることであった。
米国に12の主要都市に散在する連邦準備銀行を統括するのが、中央銀行としての役割を持つ連邦準備制度理事会である。株主はシティバンクやJPモルガン・チェース銀行といった3,000以上の銀行で、日本と違い政府は株主参加していない。
米国会計監査院(Government Accountability Office GAO)による監査
会計 監査院は議会の付属機関であり、連邦政府の予算がどのように使われているかの会計監査を行う。今回の法案が可決すれば、監査院はFRBに対して、あらゆる 情報の提出を義務付けられる。つまり、これまでFRBがひた隠しにしてきた市場操作、好況と不況の景気循環を生み出す金融政策、資金貸出業務、各国中央銀 行との密約、不良債権処理、などの詳細が公開されることになる。
去年に行われた中間選挙で、上下両院ともに共和党が過半数を占めたことから、今回に法案が可決する可能性はこれまでと違って、非常に高い。 アメリカ国民の間でもFRBに対する監査の支持は 74%と高いが、法案を支持しない抵抗勢力は、アメリカ政治に多大な影響力を持つため、法案の可決が確実とは言いきれない。
中央 銀行の透明性また廃止の動きはヨーロッパ、特にドイツでも支持を集めている。法案が可決すれば、世界中で中央銀行制度を見直す大きな流れとなるのは間違い ない。だれもが、外部監査を受けない民間銀行が一国の経済、そうして世界の金融システムを動かしていることに疑問を持つようになってきている。
アメ リカ憲法の第1条第8節第5項には、議会は貨幣を鋳造、貨幣の価値を統制、貨幣の重量と基準を決める義務があると記されている。1792年の貨幣鋳造法で は、造幣局の職員は詐欺、使い込み、そうして貨幣価値の低下を禁じている。これらの行為は深刻な犯罪とみなし、有罪となれば刑罰は死刑であった。したがっ て、FRBがこれまで行ってきた金融政策は、アメリカ憲法によれば、重大な犯罪行為と考えてもおかしくない。
FRBの監査を求める動きが再び強まる trends watcher
米連銀の外部監査を公約としたトランプ trends watcher
Photo: france24
米連銀ほど一国だけでなく世界の経済に影響を及ぼすものはない。市場はイエレンFRB総裁のコメントに注目を置き、政策は世界各国の経済政策に多大な影響を及ぼす。政府機関でもない民間金融機関でありながら、金融政策を決める権限を持ち、民間金融機関を管理管轄においている。
その連銀は過去103年間のアメリカ史においても, 全ての好不景気サイクルを引き起こしている。そうして、1913年の設立以降一度も外部監査を受けていない民間金融機関である。その連銀の監査を実施することを公約としたのがトランプ氏である。
これまで共和党のロン・ポール下院議員と息子のランド・ポール上院議員は合わせて19年間、連銀の会計監査と組織の解体を追求してきた。国民の間では連銀の外部監査による透明化を求める支持は高いが、2015年に提出された法案は議会では可決されなかった。
トランプ氏は経済バブルの発生と崩壊は連銀によるものであり、国家安全保障に関わる防衛省でさえ外部監査が行われていると指摘。全ての民間企業でさえ外部監査が行われるのに対して、連銀だけが例外であることを問題としている。連銀の存在と必要性に関しても否定的である。
監査を実施すれば、あらゆる情報の提出が義務付けられる。つまり、これまで連銀がひた隠しにしてきた市場操作、為替操作、不正の融資、各国中央銀行との密約、不良債権処理、など公表されては困る情報が公開されることになる。
例えば、2011年にドッド・フランク法で政府機関の監査を行う会計監査院は、限定的な監査を行った際、2008〜2010年の間に連銀は機密で限定された金融機関に16.1兆ドルの救済資金を提供していたことが判明された。これは米国経済の GNP15兆ドルを上回る額である。それに加えて、約3兆ドルは海外、主に欧州とアジアの金融機関に救済資金として提供されたことも明らかとなった。サブプライム・バブルを引き起こした銀行は全て裏で救済を受けたのである。限定的な監査調査とは言え、監査がなければ 判明しなかった事実である。
トランプ氏を恐れる連銀
イエレンFRB議長は、3月の追加利上げの見送りは海外リスクによる経済見通しの悪化と説明、それがなければ利上げは可能であったことを指摘した。しかし、国民の根強いトランプ支持で利上げが出来なかった、又選挙後まではできないのが大きな理由と考えられる。
トランプ氏が大統領となれば、公約である連銀の外部監査を実施することになる。経済が低迷している状況下で利上げを実施して、経済が悪化すれば、トランプ氏への支持は上がり、大統領となる確率は高まる。これを恐れて連銀は行動を取れない状況にある。
トランプ氏は、『イエレン氏が利上げに踏み切らなかったのは、オバマ大統領が任期中に不況を引き起こされると困るからである』と述べたが、不況を実感している国民こそがトランプ氏の支持者層である。
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