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(回答先: 言論の自由の復活か?中国で約2時間グーグルへのアクセスが可能となる 投稿者 あっしら 日時 2016 年 3 月 30 日 05:07:48)
19日、北京を訪れ中国共産党指導者の劉雲山氏(右)と握手するフェイスブック創業者のザッカーバーグ氏=新華社・AP
[FINANCIAL TIMES]フェイスブック創業者の過信
アジア・エディター ジャミール・アンデリーニ
映画「ソーシャル・ネットワーク」の冒頭、マーク・ザッカーバーグ役を演じる俳優がデート相手に向かって、天才級IQを持つ中国の人の数は米国の人口よりも多いと言う。米フェイスブック創業者のザッカーバーグ氏はこの伝記映画は不正確で自分は傷ついたと述べた。だが、脚本家のアーロン・ソーキン氏は明らかに1つ、的を射ていた。ザッカーバーグ氏の中国への執着ぶりだ。
ザッカーバーグ氏が3月第3週に中国を訪問したことは大変な注目を集めた。同氏はひどいスモッグの中、天安門広場でジョギングをし、インターネットなどコンピューターネットワーク上の社会に属していると自負している中国人や欧米人の一部の「ネチズン(netizens)」から「ごますり」と嘲笑された。何千人もの人が彼のフェイスブックページを訪れ、紫禁城を笑顔で走り抜ける彼の写真を痛烈に批判したのだ。
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海外に暮らす多くの中国人ネチズンは、1989年の天安門事件の痛ましい歴史を無視したザッカーバーグ氏を攻撃した。北京の住民が耐えているひどい大気汚染がないかのように振る舞った彼を愚弄する人もいた。通常、広場を監視し、イベントや集会を開く人を誰でも逮捕する多くの治安警官がなぜ写真に写っていないのか不思議に思った人もいた。
ザッカーバーグ氏がどうやって中国国内からフェイスブックに写真をアップロードできたのか問う人もいた。ツイッターやグーグル、ユーチューブと同様、フェイスブックも政府の検閲体制によってブロックされているからだ。
米大手ハイテク企業は、中国の検閲は反対意見を遮断するだけでなく、百度(バイドゥ)、騰訊控股(テンセント)、アリババといった国内トップ企業を保護する狙いのいわば非関税貿易障壁だと主張している。だが、ザッカーバーグ氏はそうした仲間で唯一、中国にへつらうことで、この魅惑的な市場への再参入を執拗に追求してきた。
今回、スーツ姿でプロパガンダと思想統制の責任を負う共産党指導者、劉雲山氏に会い、彼の話に熱心に耳を傾ける様子は国営テレビに大きく取り上げられた。その報道によると、ザッカーバーグ氏は「ネット分野で中国が遂げた前進を称賛し、サイバースペースでより良い世界を築くべく中国の仲間たちと協力すると語った」という。
中国系米国人と結婚したザッカーバーグ氏は、初歩的な標準中国語を話す。2014年には、中国に取り入ろうとする大きな取り組みの中で、中国のネット統括責任者に自分の持っている習近平国家主席の演説集を見せた。同氏は「中国の特色ある社会主義を理解してもらうべく」スタッフにも同じ本を数冊買ったと語ったという。
だが、こうした努力は、彼が利用者として取り込みたい人たちには受けが良くなかった。今回、訪問した直後に、中国人ネチズンだけでなく厳しく統制されているメディアの一部からも同氏には多くの冷笑が浴びせられたため、国家プロパガンダ当局が検閲指令を出したほどだった。
「ザッカーバーグ氏の中国訪問について悪意のある報道は統制するように。大げさな報道をしないこと」。リークされた通達には、こう書かれていた。
この反応は、ザッカーバーグ氏のアプローチが抱えるリスクを浮き彫りにする。まず倫理的な問題がある。弁護士やフェミニスト、人権活動家、書店関係者が逮捕されたり「姿を消したり」している時に、この市場にこれほど熱心に参入しようとするのは、道義的に問題があるように見える。
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純粋に金もうけの観点からでさえ、同氏のアプローチがどれほど効果的かは定かでない。グーグルやツイッターなどと異なり、フェイスブックに代わる企業で大成功した中国企業は存在しない。従って同社の参入を阻む強力なロビー団体は存在せず、同社の中国参入禁止が解除される可能性は十分ある。
しかし、ブロック解除は最も厄介な条件の下でのみ実現する。フェイスブックのサーバーを中国に置き、ユーザーの個人的な情報とやり取りを公安機構に渡し、「デリケート」なコンテンツを削除するために大勢の検閲官を雇うと約束することなどが条件となる。
ザッカーバーグ氏は中国に参入する代償の一部として、こうした条件の多くを受け入れるかもしれない。だが共産党が締め付けを強めるにつれ、いずれ同氏がどうしてもできないことを要求してくるだろう。その時点で当局に、忠実な小さな愛犬だった同社が裏切ったと見なされ、同社は厳しく罰せられることになる。
ザッカーバーグ氏も知っているかもしれないが、中国語でゴマすりは「拍馬屁(パイマーピー)」と言う。「馬の尻をたたく」という意味だ。だが、これと関係した言い回しがあり、それは馬の尻を強くたたきすぎ、馬の足に手をすべらせたら多分に頭を蹴られると警告している。
(24日付)
[日経新聞3月27日朝刊P.15]
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