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[政策ズームイン]我慢の日韓外交 慰安婦合意から3カ月
互いに批判抑える 「ぶれない首脳」が支え
旧日本軍の従軍慰安婦問題に関する昨年末の日韓合意から28日で3カ月。両政府は関係修復に動き、互いに問題がおきても批判を抑えるなど我慢の外交を続けている。韓国の合意反対派が活動の場を広げ、国連の女子差別撤廃委員会は合意に注文をつけた。両国関係は本格的な改善に向かうか逆戻りかの正念場を迎える。(ソウル=峯岸博、島田学、坂口幸裕)
「相当な覚悟だ」。日本政府高官が目を見張った。2日、ジュネーブの国連人権理事会で演説した韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外相が、日本の慰安婦問題に言及しなかったためだ。
半月前の2月16日、国連女子差別撤廃委員会の対日審査会合で、杉山晋輔外務審議官が委員の質問に答える形で「政府が発見した資料には、軍や官憲による強制連行を確認するものはなかった」と説明した。
尹氏は例年と同様、韓国側の立場を主張するとみられていたが、演説は北朝鮮の人権問題が中心。国際社会で互いに非難を自制するとした昨年末の日韓合意を踏まえたとみられる。
朴氏演説に変化
朴槿恵(パク・クネ)大統領は今月1日、日本統治下で起きた「三・一独立運動」の記念式典の演説で、合意の意義を強調した。日本政府に合意履行への努力を迫りつつ、批判は封印し「韓日関係の新時代を切り開くことを望む」と訴えた。「心の距離は縮まっていない」と指摘した昨年の演説からの変化は明らかだ。
両国が領有権を主張する島根県・竹島(韓国名・独島)の問題も当面のハードルを越えた。2月22日の島根県の「竹島の日」に日本政府が4年連続で内閣府政務官を派遣。韓国政府は「強く抗議し再発防止を要求する」との声明を出したが、従来の過激な表現を使わず批判のトーンを抑えた。
今月18日に公表された日本の高校教科書の検定結果で、多くの教科書が竹島を日本固有の領土と明記したのには、韓国外務省が抗議相手を駐韓日本大使ではなく総括公使にした。非難の表現も和らげるなど反応をいくぶん抑えた。
日韓合意を含め慰安婦問題への日本の対応が不十分と指摘した国連委員会の最終見解を巡っては、韓国政府は「日本に対する勧告だ」とコメントを避けた。合意は「被害者と支援団体が要求してきた核心事項が最大限反映された」とし、日本と足並みをそろえた。
今年改訂された韓国の小学6年生用の国定社会科教科書から「慰安婦」「性奴隷」の表現や、「戦場の日本軍慰安婦」と題した写真を使う当初の方針を撤回した。韓国政府内の変化の広がりを象徴する一例だ。
日本政府も関係改善に腐心している。1月29日。中曽根弘文元外相ら自民党議員が首相官邸を訪れ、韓国側にソウルの日本大使館前に設置した少女像の早期撤去を促すよう安倍晋三首相に求めた。首相は「韓国にも日本と同様に誠意をもってやってもらうので大丈夫だ」と諭すように伝えた。
官邸内は関係を逆戻りさせないという空気が広がる。1月14日に自民党の桜田義孝氏が党会合で慰安婦を「職業としての売春婦」と発言後、官邸側は桜田氏に撤回するよう指示した。
「質問された以上のことは言う必要はない。淡々と対応してきてほしい」。国連委員会の会合前、官邸側が杉山外務審議官に「主張することと問題をこじらせるのは別だ」と伝え、関係に配慮した発言をするよう念を押していた。
北朝鮮巡り連携
2月7日の北朝鮮による事実上の長距離弾道ミサイル発射を受け、日本が独自制裁を発表するのとほぼ同時刻、韓国も開城工業団地の操業中断を発表した。慰安婦合意やその後の日韓両政権の落ち着いた対応が、北朝鮮問題で緊密に連携できる効果を生んでいる。
互いに関係悪化を避ける配慮だけでは「日韓新時代」に押し上げられない。
日韓合意に盛り込まれた元慰安婦支援のため韓国が設立する財団はまだ輪郭が見えていない。日本が10億円を拠出することになっているが、与党内にもソウルの日本大使館前に設置された少女像の「撤去が前提」(自民党の稲田朋美政調会長)などとする強硬論がある。
韓国政府は市民団体が設置した少女像の移転には元慰安婦らの理解を得る必要があるとみる。財団運営や日本からの資金の使途などに元慰安婦や支援団体の意向を反映させる考えだ。そのうえで関係改善を進めながら少女像問題を解決する段取りを描くが、日本の世論の反応は不透明だ。
韓国政府は4月13日投開票の総選挙が終わるまでは表だって動きにくいのが実情。日本との安全保障協力にはもともと国内に抵抗感が根強く、北朝鮮をにらんだ軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の締結などの課題も依然としてメドが立っていない。
「朴槿恵を信じている」。安倍首相は親しい議員との間で日韓関係が話題に上るとよくこう話す。朴大統領も慰安婦合意は「最善を尽くした」とぶれていない。韓国政府は野党や市民団体からの突き上げの中で「大統領の決断を盾に何とか持ちこたえている」(外交筋)。政府間の関係修復ムードをいかに諸懸案の解決や多方面にわたる協力強化につなげるかが課題だ。
[日経新聞3月20日朝刊P.12]
- 竹島 池内敏著 政治的問題を歴史学から検証:領土問題は歴史学どころか政治さえ超越し情念の問題にはまり込みやすい あっしら 2016/3/24 03:54:07
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