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風邪で「抗生物質」を飲む人が危ない理由
http://diamond.jp/articles/-/159766
2018.2.25 裴英洙:医師・医学博士・MBA/ハイズ株式会社代表取締役社長 ダイヤモンド・オンライン
人は誰でも風邪をひく。しかし、いつもピンピンしている人がいる。彼らには「早期発見・即対処」という共通点がある。風邪をひきそうになっても悪化させないから、周囲から「風邪をひいているように見えない」のだ。では、彼らはいつ、何をしているのか?
本記事では、現役の内科医、救急救命医、薬剤師などの知見と医療統計データ、150近くの最新の医学研究論文や文献を総動員し、「医学的に正しい風邪対策」を紹介する裴英洙氏の新刊『一流の人はなぜ風邪をひかないのか? MBA医師が教える本当に正しい予防と対策33』から、内容の一部を特別公開する。(構成:今野良介)
風邪に抗生物質は効かない
「風邪薬」を服用するときの注意点は、「薬は毒になりうる」ということです。
不要な薬を飲むと、身体にダメージを与えることになります。
医者が処方するものや市販薬も含め、風邪薬は、風邪を「根治する」ものではなく、「症状を緩和する」だけです。適切な時期、適切な内容、適切な量で使って初めて、役に立つものです。
毒になる可能性が高い薬の代表的な存在が「抗生剤」(抗生物質)です。抗生剤を風邪の特効薬だと思っている人がいますが、非常に危険な考え方です。そもそも、抗生剤は「細菌」を殺す薬であり、「ウイルス」を殺す薬ではありません。
混同されやすいのですが、「ウイルス」と「細菌」はまったく異なる生物です。抗生物質は、細菌を破壊することはできるが、ウイルスには効きません。ウイルスを殺す薬は「抗ウイルス剤」です。
具体的には、風邪のほか、ノロウイルス、デング熱やエボラ出血熱などは、ウイルスが引き起こす病気です。一方、肺炎球菌による肺炎、大腸菌による膀胱炎、サルモネラ属菌による食中毒、溶連菌による咽頭炎などは、細菌が引き起こす病気です。
風邪の原因の8割以上はウイルスですから、ほとんどの風邪に抗生剤は効かないのです。「抗生剤でウイルス性の風邪が早く治った」という確かなデータは、世界中どこを探しても見当たりません。
抗生剤のおそるべき副作用とは?
恐るべき抗生物質の「副作用」
抗生剤の副作用として代表的なものが、下痢です。お腹の中にたくさんいる腸内細菌という良性の細菌が抗生剤によって殺され、それが原因で下痢が起こります。そのほか、蕁麻疹(じんましん)や肝機能障害などの副作用もあります。
さらに怖いのが、耐性菌の出現です。抗生剤を使うほど、薬に負けじと細菌が強くなり、抗生剤は効きにくくなります。抗生剤を飲んだだけ、体内で着実に細菌が強くなっていくのです。現在、世界中で耐性菌が増えて、抗生剤の効き目が相対的に弱くなっていることが社会問題になっています。
症状が消えても
細菌は生きている
抗生剤が必要なのは、明らかに細菌感染症が疑われるときです。
たとえば、のどが真っ赤になり膿がへばりつく咽頭炎や扁桃炎は、細菌感染の可能性が高く、抗生剤が必要になります。また、のどのさらに奥に細菌が入って気管支炎や肺炎を起こした場合など、風邪から二次的に細菌感染がおこったときに、抗生剤は正しく機能します。
いずれの場合も、医師が慎重に診察し、適切な検査を行って処方するべきものです。細菌感染症が疑われ、抗生剤が処方された場合は、用法と容量、内服日数を必ず守って飲みきってください。抗生剤は、指示通り飲み切ったときに初めて細菌を殺し切れることを前提に、処方されるからです。
「熱が下がったからまあいいか」などと自己判断で服用を中止したり、飲んだり飲まなかったりすると、あくまでイメージですが、仮死状態のゾンビが生き返るようにして細菌たちが復活する可能性があるのです。症状が消えても細菌が生きているケースもありますから、「ダメ押し」するようなつもりで、処方された分量を飲みきることを覚えておいてください。
『一流の人はなぜ風邪をひかないのか?』では、このほか、日常生活の中で風邪リスクを激減させる具体策を詳しく紹介しています。
仕事を休めないビジネスパーソンはもちろん、結婚式や旅行など重要なイベントを控えた方、受験生やその家族、妊娠中の方など、絶対に風邪をひけない時期に、ぜひ本書の内容を実践し、肉眼で見えない風邪ウイルスと戦う正しい方法を身につけてください。
裴英洙(Eishu Hai) 医師・医学博士、MBA。ハイズ株式会社代表取締役社長。1972年奈良県生まれ。 金沢大学医学部卒業、金沢大学大学院医学研究科修了。金沢大学医学部卒業後、金沢大学第一外科(現・先進総合外科)に入局し、大学病院や基幹病院を中心に、主に胸部外科(肺がん、心臓病など)に従事し、日々手術に明け暮れる。その後、金沢大学大学院に入学し、外科病理学を専攻し医学博士を取得。さらに、病理専門医を取得し、市中病院にて病理医として病気の最終診断にかかわり、年間10000件以上の重大疾病の診断をこなす。また、医師として働きつつ慶應義塾大学大学院経営管理研究科(慶應ビジネス・スクール)にて医療政策・病院経営の第一人者の田中滋教授に師事。同ビジネス・スクールを首席で修了。フランスグランゼコールESSEC大学院交換留学。ビジネス・スクール在学中に医療機関再生コンサルティング会社を設立。多数の医療機関の経営支援、ヘルスケア企業の医学アドバイザー業務などに従事。現在も医師として臨床業務をこなしつつ、臨床の最前線からのニーズを医療機関経営に活かすハンズオン型支援を行なう。著書に『10の仕事を1の力でミスなく回すトリアージ仕事術』『なぜ、一流の人は「疲れ」を翌日に持ち越さないのか』『一流の睡眠』(ダイヤモンド社)、『医療職が部下を持ったら読む本』(日経BP社)などがある。 |
『一流の人はなぜ風邪をひかないのか?』
著者からのメッセージ
はじめまして。裴英洙と申します。
このたび、『一流の人はなぜ風邪をひかないのか? MBA医師が教える本当に正しい予防と対策33』という、一般の方々に向けた「風邪対策本」を出版します。
「風邪の治し方」は、正直、医者泣かせです。 最先端の医学でも明確な原因のメカニズムは解明されておらず、風邪には、根治療法や特効薬がいまだに存在しません。 どんな名医でも、風邪を予防・根治する100%完璧な方法を知らないのです。
そこで本書では、現代医学で解明されている最大限の医学的知見や科学的知識を、一般の人が日常的に実践できるレベルの具体策に落とし込んで紹介します。現役の内科医、救急救命医、薬剤師などの知見と、医療統計データ、150近くの最新の研究論文や文献を総動員し、「風邪をひかないための予防策」と「できる限り早く風邪を治す方法」を紹介していきます。
人間は、ほうっておくと一生のうちに平均200回風邪をひき、生涯で丸1年間以上も風邪で寝込んでいると言われます。「風邪をひかないこと」は、究極のコスト削減・生産性向上に直結するのです。
また、風邪は、あらゆる人を苦しめるのに、「経験」や「感覚」で対処しがちな病気です。医学的根拠を元にした対策を網羅した本書を「現代人の新常識」として、風邪をひかない健康的な生活を送るために、是非とも、本書を使い倒してください。
裴英洙:著
価格(本体):1500円+税 発行年月:2018年2月
判型/造本:46並製、176ページ
ISBN:978-4-478-10250-3
一流の人はなぜ風邪をひかないのか? MBA医師が教える本当に正しい予防と対策33
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