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がん検診は無意味で危険?精度低いレントゲン検査でかえって肺がん死亡者増との調査結果
http://biz-journal.jp/2017/09/post_20431.html
2017.09.04 文=岡田光雄/清談社 Business Journal
多くの人が日常的に受診している健康診断や人間ドック。
しかし、はたしてどれだけの人が、その検査内容や結果をきちんと理解し、有効に活用しているだろうか。「重大な問題がなかったから」といって、検査内容や数値の意味を正しく理解せず、なんとなく安心しているという人も少なくないだろう。
そんな日本人の医療リテラシーの低さに警鐘を鳴らすのは、『本当は怖い!健康診断&人間ドック』(主婦の友社)の著者で、おおたけ消化器内科クリニック院長の大竹真一郎氏だ。
■がん検診で死亡率が下がるというデータはない?
当たり前の話だが、健康診断や人間ドックを受診すれば健康になるというわけではない。定期的に検診を受けていたのに、いつの間にかがんを発症してしまった……。そんな話を耳にすることもある。
大竹氏によれば、日本人の死因トップであるがんの検診も、実はそれほど有効とはいえないという。
『本当は怖い!健康診断&人間ドック』(主婦の友社/大竹真一郎)
「仮に年1回のがん検診を受けたとしても、それで病気が発見されて死亡率が下がったという明確なデータは存在しないのです。『検診を受けさせない』などという実験が人道的に許されない以上、『定期的に検診を受けている人』と『受けていない人』という2グループに分け、その後数年間にわたる経過を見るわけにはいきません。検診の効果をデータや数字で立証するのは、非常に難しい問題なのです」(大竹氏)
そう聞いても、「過去にさかのぼっての追跡調査ならできるのでは」と思うかもしれない。しかし、「がんはなぜ発症するのか」と原因から結果を導く調査に比べ、結果から原因を探ろうとする追跡調査の場合、「最初から結論ありきで、自分の都合のいいようにデータが集められがち」(同)になってしまうのだという。
■放射線を使うレントゲン検査では被曝リスクも
また、検診にはしばしば健康上のリスクも指摘されている。一般的によく行われているレントゲン検査にも、放射線を使う以上は被曝のリスクが存在するのだ。
実際、1990年にチェコスロバキアで喫煙男性6300人を対象に実施された調査で、肺がん検診の受診者と非受診者を追跡調査したところ、検診を受けたグループの肺がん発生率は検診を受けなかったグループより高く1.32倍、肺がん死亡率は1.36倍に上ったという。つまり、検診受診者のほうが肺がんで死亡するリスクが高かったのだ。
「すでに肺がんの症状が出ていたり、その疑いが強かったりする人の場合は、レントゲンを撮ることにメリットがあります。しかし、検診というのは、あくまで病気の可能性が低い人を対象とするもの。たった1人のがん患者を見つけるために、何人もの放射線被曝者を出してしまう危険性があるのです」(同)
しかも、レントゲン検査は被曝リスクを負うわりに、肝心の病気を発見したり特定したりする精度は意外に低いという。
たとえば肺がんの場合、通常は肺に「白い影」として映るが、これは肺結核や肺炎でも同じ映り方になるため、レントゲンだけで断定することは難しい。また、肺がんには肺の奥のほう(末梢部)から発生するタイプと肺の入り口(肺門部)から発生するものがあり、肺門部から生じるがんの多くは痰を採取する喀痰検査でも見つけることができる。
「その喀痰検査にしても、肺門部にがんができやすい喫煙者のみに有効な検査方法で、レントゲン検査も精度は低い。僕は、たばこを吸わない人はレントゲンも喀痰検査も受ける必要がないと思っています。その程度の検診のために、年1回も放射線を浴びる必要があるのか、という話です。
もちろん、非喫煙者が肺がんになるケースもありますが、放射線のリスクを考えると、喫煙者のみがレントゲンと喀痰検査の両方を受けるというのがベストでしょう」(同)
■健康診断より大切な「かかりつけ医」の存在
とはいえ、医療はきわめて専門的な分野だけに、自分で情報を集めて判断を下すのは困難な上、そもそも危険でもある。では、正しく効果的に検診を受けるには、いったいどうすればいいのか。
大竹氏によれば、その一番効果的な方法は、普段から信頼できる「かかりつけ医」を持つことだという。
自分の体をよく知るかかりつけ医がいれば、がん検診やいわゆる「メタボ検診」など、事前に自分が受けるべき検診メニューの相談もできる。近くにいい医師が見つからなかったり、設備などの都合で別の病院で受診しなければならなかったりする場合も、検診後に検査報告書を見てもらって適切な指導を受けることができるのだ。
「良いかかりつけ医の条件のひとつに、具体的にわかりやすく説明してくれることがあります。たとえば、受診時に『経過観察しましょう』ではなく、『3カ月後に再検査しましょう』『脳梗塞を起こす心配があります』など、きちんと期日やリスクを説明してくれる医師は比較的信頼できると思います」(同)
検診のリスクを回避するためには、信頼できるかかりつけ医を見つけ、普段から自分の医療リテラシーを高めておくことがもっとも大切といえそうだ。
(文=岡田光雄/清談社)
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