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80歳すぎてガン手術「する」「しない」で日本中の家族が大モメ! 体力の衰え、高額な治療費…問題山積み(週刊現代)
http://www.asyura2.com/16/iryo5/msg/625.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 6 月 19 日 15:34:45: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


80歳すぎてガン手術「する」「しない」で日本中の家族が大モメ! 体力の衰え、高額な治療費…問題山積み
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51958
2017.06.18 週刊現代  :現代ビジネス


ガンなどの大病を患い、ただでさえ心身にダメージを受けているときに、降りかかるさらなるトラブル。家族とはいえそれぞれ事情を抱えており、一枚岩で病気に立ち向かうのは、かくも難しいのだ。

介護から逃げたくて

「お袋は親父の介護から逃れたいがために、高齢にもかかわらず手術をさせたんじゃないか。もしかしたら死んでほしかったんじゃないかと、今でも考えてしまうんです」

こう語るのは、がん手術で父(82歳)を亡くした息子の上林啓太さん(62歳・仮名)。啓太さんの父親にがんが見つかったのは去年のこと。大腸がんだった。

啓太さんが続ける。

「医者からは手術をしなければ後々、腸閉塞を起こし苦しむ可能性があると説明されました。その上で手術をするか、しないかは、ご家族で話し合って判断してくださいと。

私は82歳という年齢を考え、母(80歳)に『親父の体力が持つか分からないから、手術はやめたほうがいい』と伝えたんです。ところが母は『手術をさせたい。お父さんを元気にしてあげたい。だから(手術を)了承して』と言って聞きませんでした。

父は多少、認知症も入っていましたが、コミュニケーションは普通に取れていました。でも手術に関して父は黙ったままで、最終的には母に促されるかたちで手術を受けることを決断しました」

だが、上林さんが危惧した通り、父親は手術中に容態が急変し、そのまま集中治療室を出ることなくこの世を去ったという。残された啓太さんと母は、父の死について口論になった。

「だからあれほど手術はやめておけと言ったのに、本当は親父に死んでほしいと思っていたんだろう」

「なんてことを言うの。そんなわけないでしょ。お父さんの介護を私一人に任せきりにしてきたくせに、よくそんなことが言えたわね」

啓太さんが就職で実家を離れて以降、両親は田舎の実家で、ずっと二人で暮らしてきたという。

啓太さんが続ける。

「父は50代の頃に脳梗塞を発症し、右半身に麻痺が残ってしまったんです。そんな父を母親はずっと介護してきたのですが、ここ数年は正直、疲れ切っていたのが端から見ても分かりました。

母もよく『もう(お父さんの世話は)疲れた』と漏らしていた。そんな状態でがんを患い、さらに介護が大変になることは目に見えていました。

だから母としては手術の可能性に賭けたかったのでしょう。

それと同時に手術になれば3ヵ月は入院することになるので、その間、介護をしなくてもよくなるとふと思ったのかもしれません。最終的に父が何も言わず手術を受け入れたのも、長い間、母に苦労をかけているという負い目があったからではないでしょうか」

息子である自分が介護をすることで父の手術を止める方法もあったが、住んでいる場所も離れているため、それは物理的に不可能だったという。

「父を亡くしたことで、母は悲しみに暮れていますが、正直どこかホッとしている部分もあると思います。確かに、80歳という母の年齢を考えても、がんを患った父の世話がこれからも続くのは辛いという気持ちは分からなくはない。

でももし手術しなければ、親父はあと1〜2年は生きられた可能性が高い。本当にこれでよかったのか――最期に家族に会うこともできずに逝ってしまった父のことを思うと、今でも心の中で手術をすすめた母を責めてしまう自分がいるんです」



80すぎてがんが見つかった時、手術するべきか否か、治療方針を巡って、患者家族で意見が分かれる。こんな問題が今、日本中で起こっている。これは決して他人事ではなく、どの家庭にでも起こりうる問題である。

国立がん研究センターの調べ('12年)によると75歳以上のがん患者数は、35.9万人(全がん罹患者数の41.5%)、85歳以上は10.8万人(同12.5%)というデータがある。

高齢者のがん罹患数は年々増加しているが、その理由は、平均寿命が延びたことと、医療の進歩によりがんの発見確率が上がったためである。

がんの場合、若くて体力があるうちは手術して切ればいいかもしれない。しかし、高齢者になるとそう簡単にはいかない。体力が持たずに術中に亡くなることもあれば、仮に手術が成功しても、身体に大きな負担がかかるため、予後が悪くなり、結果的に手術をしたことで死期を早めてしまう可能性もある。

本人そっちのけで大揉め

訪問介護・看護を専門とするケアマネジャーの上田浩美氏が語る。

「親の手術に関する家族のトラブルは増えてきています。中には娘婿や甥、姪、遠い親戚まで出て来て、本人そっちのけで大揉めになることがあります。

もし手術が失敗しようものなら今度は責任のなすりつけ合いが始まります。ただ難しいのは、私たちもアドバイスはできても、それ以上は家族間の問題なので口を出せないのです」

死ぬときにはじめて気づく人生で大切なこと33』の著者で、東邦大学医療センター大森病院緩和ケアセンター長の大津秀一氏も続ける。

「がん手術に関しては、一律に『何歳だからやるべきでない』とは言えません。高齢であっても若い人と同様に身体機能が保たれている方もいればそうでない人もいる。

つまり高齢になるほど個人差が大きくなってくる。

手術をするかしないかは、がんの部位、進行度、本人の全身状態や合併症、その手術法の負担の程度が大きな判断材料になります。医者としては手術によるベネフィット(利益)とリスクを説明し、最終的には患者さんの判断を尊重します。

しかし、明らかに手術するデメリットのほうが大きければ、いくらご本人や家族が希望しても、基本的には手術はできません」

さらに大津氏は、高齢者の場合、術後のQOL(生活の質)への十分な考慮が大切だという。

仮に手術が成功しても、その後寝たきりになり、介護が必要になるリスクは若い頃と比べて圧倒的に高い。

だが、すべての医者が患者のその後の人生を考えてくれるわけではない。現実には「助かりたければ切るしかない」と強引に手術をすすめてくる医者も存在するのだ。

中村芳美さん(58歳・仮名)の話。

「夫の父(義父)が肺がんを宣告されたのは80歳の時でした。医師によれば、腫瘍の大きさは2cmでリンパ節からも遠かったため、若い人なら手術をしますが、年齢も年齢なので放射線治療のほうが、リスクが少ないと。

その話を聞いて義父も夫も私も放射線治療にしようと思っていたのですが、その夜、病院から帰ると義母が『先生は手術ができると話していたので、手術させたい』と言ってきたのです。

『若い人なら……と先生も言っていたでしょう』と話しても『お父さんは体力もあるから大丈夫』と言い張り、挙げ句の果てには義父に『手術しないと死んじゃうよ』とまで言うので、義父も『まだ死にたくないからやっぱり手術を受ける』となってしまった。

担当医にも相談しましたが『他の病気もないし、ご本人が手術をしたいと言うなら、病院側は拒否できません』と言われたので、私たちも説得はあきらめて手術を受けさせたんです」



結果として手術は成功……だが術後、予期せぬことが起きる。

「3週間の入院で義父は足腰の筋肉がすっかり衰えてしまい、退院してから自分の足で歩けなくなってしまったんです。トイレやお風呂も私が介助しないと一人でできなくなってしまった。

10kgも痩せて、すっかり弱った義父を見る度に、先生の『若い人だったら……』という言葉が蘇りました」

さらに大変だったのが、術後の通院だったという。

「手術前は自分で電車に乗って通っていたのですが、歩けなくなり、私が義父を病院に車で送らざるを得なくなった。車だと2時間はかかるので仕事も休まないといけないし、心身ともに疲れ果ててしまいました。

結局、義父は5年前に亡くなりましたが、義父を亡くした寂しさからか、今度は義母がうつ病になってしまって……今は義母の介護に追われる毎日です」

誰が術後の面倒を見るのか

他にも手術自体は成功したが、動脈硬化が進んでいたため、手術中に脳梗塞を起こし、術後に麻痺が残ったというケースも実際にある。

高齢者の場合、術後に医者も予想できないトラブルが起こることは十分ありえる。それに伴う「介護リスク」を誰が背負うのか――これこそが家族間が一番ギクシャクする温床になる。

元東京大学大学院医学系研究科特任助教授(老年学)で、一般社団法人「後見の杜」代表の宮内康二氏が語る。宮内氏は「成年後見制度」(認知症高齢者を法律的に支援する)の専門家でもある。

「具体的には手術を受けた後、自宅を含めどこで療養し、誰が世話をするかがもちろん重要になるのですが、これで大概の家族は揉めてしまいます。

現実的には高齢者の場合、手術をするかどうかの決定は、医療的判断とは別の、誰が面倒をみるのかという家族の都合で決められていることが多いのです」

「兄妹で、がんになった父親の押し付け合いになった」と語るのは、三浦和江さん(54歳・仮名)。

「同居していた舅(84歳)が、胃がんになった時のこと。本人は『身体にメスを入れたくないし、抗がん剤も受けたくない。このまま穏やかに逝きたい』と言うので、私たちも舅の意向を尊重してあげたいと思っていたのですが、義妹(夫の妹)が『手術させたほうがいい』と主張してきたのです。

彼女は『お兄ちゃんたちはお父さんが早く死ねばいいと思っているんでしょ。義姉さんもお父さんの面倒を見たくないもんね』とあまりに心無いことまで言い出して……。

普段は温厚な夫が『いい加減にしろ!』と声を荒らげると『図星なんだ。自分の親を見殺しにするなんて人間のやることじゃない』と、彼女も興奮してまくし立てました。

私も感情的になってしまい『そこまで言うなら、実の親なんだからあなたが引き取って面倒見なさいよ』と言うと『それは嫌だ』と。それなら治療方針も私たち夫婦に任せるべきなのに、無責任に引っかき回す。

仲裁に入った舅に対しても『お父さんは殺されかかっているのが分からないの』と食ってかかり、『分かってないのはお前だろ』と今度は親子喧嘩になり、激昂した舅は血圧が急に上がって倒れてしまいました」

その後、舅は「自分のことで家族がいがみ合うのは耐えられない」と、とうとう手術を受けることを決意した。

しかし、入院する日の早朝に突然家を飛び出してしまい、1週間行方が分からなくなったという。

「『やっぱり手術も抗がん剤治療もしたくない』と、他の親戚の家に転がり込んで塞ぎ込んでいたのです。そんなわけで、結局手術はしませんでしたが、1年たった今でも、毎日畑に出て、お酒も飲んで普通の生活を送れています。

結果論になりますが、もし、あのまま手術を受けさせていたら、家族間のいがみ合いのストレスで体力以前に精神が持たなかったでしょう。夫の妹とは、それ以来、絶縁状態です」

東京慈恵会医科大学附属病院の腫瘍・血液内科診療部長の矢野真吾教授が語る。

「一番大切なのは患者本人の意思になりますが、医者としてはやはり、できるだけ家族全員が納得してもらうように働きかけます。そうしないと術後、なにか想定外のことが起こった際に揉める可能性があるからです。

そのためにも家族で意見が分かれた際には、セカンドオピニオン外来を受診することを勧めています。複数の医者の意見を聞いた上で、患者さん家族の総意で判断してもらいたい」



25歳年下の後妻が反対

確かにセカンドオピニオンが重要であることは間違いない。だが、いくつも病院がある都市部と病院数が限られている地方では事情が異なる。80代の父をがんで亡くした男性はこう言う。

「地方は別の病院に移動するだけでも大変だし、独特のコミュニティがあるので、わざわざ違う土地に行って、他の病院の先生に意見を求めづらいんです。

それにセカンドオピニオンを求める場合、基本的に保険が使えず自費となるので、地方の患者にとっては負担ばかりがかかる」

さらに近年、医療現場では、認知症を患う高齢患者の意思をどう確認するかが大きな問題となっている。もし認知症の親ががんになった場合はどうすればいいのか――。
前出の宮内氏が語る。

「欧米では、医療行為についても後見人の代理権を認めていて、認知症の人に代わって後見人が手術をするか、しないかを決めることができます。しかし日本医師会は『本人でないと決められない』と定めています。

とはいえ現実的には、認知症がある患者の場合、医師は家族に判断をゆだねることが多い。

ただし手術するには、家族全員の賛成が必要になります。たとえば子供が3人いて一人でも反対していると病院側は手術しません。手術後に家族からクレームや訴訟を起こされたら困るからです」

認知症の進行がひどいと家族の同意があっても手術できないこともある。帝京大学ちば総合医療センター消化器内科病院教授の小尾俊太郎氏が語る。

「寝たきりや、重度の認知症で意思疎通がうまくいかない場合は、患者さんの安全性が担保されていないので、いくら家族の方から手術をお願いされても、手術できないことがあります。たとえ手術自体はできても、術後に認知症による徘徊で傷口が開く危険性もありますから」

80をすぎれば認知機能は誰でも衰える。高齢でがんが見つかった際、家族で揉めないためには、事前の準備が必要になってくる。

高齢者の支援を行うNPO法人「二十四の瞳」の山崎宏氏が語る。

「家族間の意見の対立を未然に防ぐには、親が今から、がんになった時、何を望むのかを決めておいて紙に書くなりし、家族会議で直接伝えておくことが大切。がんの告知、がんの治療法、延命治療、最後の生活場所、資産承継の道筋などを決めて相続人と共有するのは、親の最後のミッションです」

中にはこんな意外な理由で手術するか、しないか大論争に発展することもある。杉野康夫さん(47歳・仮名)が語る。

「今年の正月明けに親父(80歳)に前立腺がんが見つかりました。ステージ2だったため、医者からも『手術して前立腺を全摘出すれば治る』と言われました。

親父は歳の割には元気だったので、手術に耐えるだけの体力もあるとのことでした。ところが10年前に母の死後に結婚した25歳年下の後妻がまさかの大反対をしてきたんです」

その理由を聞かされ、杉野さんはさらに驚いた。

「なんと後妻は『(手術したら)夜のほうができなくなるじゃない』と言うんです。もちろん医者からは、前立腺の手術をすれば勃起障害(ED)が起こるリスクは伝えられていましたが、親父には関係ないと思っていました。

だって命のほうが大事でしょ?というか、とっくに親父は枯れていると思っていた」

だが、杉野さんが父に問いただすとこんな答えが返ってきたという。

「後妻が『パパもそう(手術したくない)よね?』と同意を求めると親父は『俺も同じ考えだ』って言い出したんです。後妻に『もう私たちのことは放っておいて』と言われたので、それっきり話もしていません」

杉野さんはこう言って肩を落とすが、前立腺がんは進行が遅く、高齢者の場合は寿命のほうが先にくる可能性も高いので、「無理に手術する必要はない」という医者も多い。

金を払いたくないと言う息子

もっと切実に経済的な理由で、手術を巡って家族が対立することもある。

「高額療養費制度を使えば、患者さんの負担は確かに減りますが、それでもいくらかは実費がかかります。それを家族の誰が負担するかによって、治療法も変わる場合があります」(前出の矢野氏)

関西の大学病院に勤務する医師が、実際にあったケースを明かす。

「80代の男性が肺がんになったのですが、その治療法を巡り、家族が大きく揉めるケースを見たことがあります。その方はステージ2の非小細胞肺がんが見つかり、手術で切除か、放射線治療かの2択でした。

本人と妻は放射線治療の一つである陽子線治療を望んだのですが、これは先進医療のため保険が利かず、技術料が約280万円と高額のため、実の息子たちと治療法で対立しました。

私は本人の希望に沿うのが一番いいと思い、息子さんたちにもそう伝えたのですが、『父と母には支払い能力がないので、自分たちが医療費を負担することになる。子供の学費など自分たちが生活するだけでも大変なので余裕がない。だから保険が利く手術にしてほしい』と譲らない。

結局、患者さん本人が家を売却して陽子線治療をすることになったのですが、息子たちは遺産が減ったことを恨んでか、見舞いにも来なくなってしまいました。できれば家族が納得した上で治療したかったのですが」

まだこれからの人生が長い息子夫婦にすれば切実な問題ではあるが、あまりにも世知辛い。そうなることを避けたい、子供や孫に迷惑をかけてまで生きたくないと考える人もいるだろう。

「理想はやはり、本人、家族、医師がみなしっかり議論した上で結論を出すこと。そのためにできるだけ私たち医師も丁寧に根気強く説明しなければなりません。

患者さん本人とその家族が、手術のリスクと治癒の可能性をきちんと理解した上で下した判断であれば、結果がどうであれ、納得できるはずです」(前出の小尾氏)

術後介護の問題に経済的な問題と、80歳をすぎてのがん手術は本人だけでなく、家族全員に大きな影響を与える。正解がないからこそ、難しい。

「週刊現代」2017年6月17日号より


 

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