http://www.asyura2.com/16/iryo5/msg/531.html
Tweet |
認知症治療、武田や塩野義など5社提携 脳に薬届ける技術確立へ 政府支援、製薬の連携促す
武田薬品工業や塩野義製薬など製薬5社は認知症といった脳の難病などの治療技術の開発で提携する。政府も支援する産官学連携プロジェクトとして、薬効成分を脳などに浸透させ効き目を高める基盤技術を今後2年程度で確立。新技術を活用し各社は世界初となる認知症治療薬などの実用化を狙う。
今回のプロジェクトを機にこれまで遅れていた国内製薬業界における研究開発の提携が進めば、世界的な競争力強化につながる可能性がある。
大日本住友製薬、小野薬品工業、田辺三菱製薬も含めた5社で共同研究し、安倍晋三政権が成長戦略の目玉として設立した研究開発法人、日本医療研究開発機構(AMED)が支援する。約700の大学の研究成果などを詳しく調べられる情報システムを運営する大阪商工会議所も加わる。
実用化を目指すのは脳の難病治療薬などに必要な基盤技術で、世界的に注目される分野だ。脳にはウイルスや細菌の侵入を防ぐ仕組みがあり治療薬の成分も届きにくく、認知症の有効な治療薬は世界的にまだ実用化されていない。
今回は神戸学院大学をはじめとした国内大学の薬物伝達技術をベースに、5社の研究者が実証実験などを分担する。直接競合しない基礎研究分野が対象であるため提携しやすい。新技術を実用化できれば、脳腫瘍や精神疾患など幅広い治療薬の開発にもつながる。
新薬は既存の医薬品を上回る効果がなければ承認されないため、成功確率は3万分の1ともいわれる。小野薬品のがん治療薬「オプジーボ」も開発に20年近くかかり、高薬価になった。
AMEDは厚生労働省、経済産業省、文部科学省の医療研究の予算を集めて戦略投資をする組織で、今回は研究費の半分を負担する方向。政府は膨らむ医療費の抑制のために、今回の産官学プロジェクトのような国内提携を後押ししていく。
「メガファーマ」と呼ばれる世界大手に日系勢が対抗するには提携戦略は欠かせない。通常、医薬大手は連結売上高の1〜2割を研究開発費に振り向ける。スイスのノバルティスや米ファイザーなどは連結売上高が5兆円規模で、日本の製薬会社が独自に研究するだけでは差が開くばかりだ。
国内市場での収益確保も今後、一段と難しくなる。今年2月にはオプジーボが2018年4月の薬価改定を待たず半額となる。薬価改定を現在の原則2年に1度から、毎年見直す案も浮上している。研究開発費の抑制が急務であるなか、今回のプロジェクトの成否は、他の製薬大手の戦略にも影響を与えそうだ。
薬物伝達技術とは
▼薬物伝達技術 医薬品の成分を体内の特定の場所に効率的に届ける技術。ドラッグ・デリバリー・システム(DDS)ともいわれる。必要な量を一定期間、狙った場所に届けることができれば、治療効果の向上や副作用抑制などのメリットがある。
特にアルツハイマー病やパーキンソン病など脳の難病を治療するために欠かせない技術とされる。脳の特定の場所に治療効果のある成分を届けるDDSは実用化されておらず、世界中の製薬会社や大学などが莫大な研究開発費を投じて技術開発を急いでいる。
[日経新聞1月31日朝刊P.2]
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。