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なぜそこまで高くなる?
半額になったオプジーボ 高額化について製薬会社の見解
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161202-00000003-pseven-life
週刊ポスト2016年12月9日号
患者一人で年間3500万円もの薬剤費がかかることで話題となっていたがん治療薬「オプジーボ」。それがいきなり“半額”になるというニュースは衝撃的だった。
そこまで安くできるなら、最初の値段は一体何だったのか──当然ながらそんな疑問が浮かぶ。「クスリの値段」が決まるまでのプロセスを辿っていくと、実は国や製薬業界の様々な思惑が存在することが見えてきた。
オプジーボの高額化には、以下の3つの理由が挙げられる。
【1】開発コストが高かった
オプジーボのような生物由来の原材料を使ったバイオ医薬品は原価が高く、製造プロセスが複雑であるため、高コストになりやすい。オプジーボの開発期間は約20年に及んだ。その間の様々なコストが積み上げられ、「原価」となっているのだ。
【2】営業利益率が高く設定できた
「開発にこれだけかかった」という資料を基にした「原価計算方式」で積み上げられていく項目の中には「営業利益」が含まれる。きちんと儲けが出るように国が値段を設定するということだ。
「画期的な新薬のケースでは、既存治療と比較した場合の革新性に応じて、営業利益率が多めに設定されます。オプジーボは世界で初めて承認されており、標準の営業利益率(16.9%)に6割加算した高い利益率に設定がなされました」(医療経済ジャーナリストの室井一辰氏)
結果、オプジーボを製造販売する小野薬品工業の16年中間連結決算の売上高は、前年比67.5%増で中間期として過去最高をマーク。売上高全体の半分をオプジーボが占めた。
経営学用語では、競争のない未開拓の市場をブルーオーシャンと呼ぶが、小野薬品工業は、「青い海」を見つけて大きな果実を得たことになる。
【3】当初の適用患者数が少なかった
オプジーボが最初に保険適用されたのは2014年7月、皮膚がんの一種である「悪性黒色腫(メラノーマ)」の治療薬としてだった。
「当時、メラノーマの適用患者数は年間わずか470人だった。患者が極端に少ないため、メーカーの採算が合うように単価が高めに設定されました」(医療ジャーナリストの油井香代子氏)
数百億円ともいわれる膨大な開発費をメーカーが回収し、利益を確保するために高い値段になったということなのだ。ところがこの後、オプジーボの適用は肺がんの一種まで拡大されて、様相が一変した。
「対象になると思われる患者が一気に増加して、薬にかかるお金が激増しました。現行制度では適用が拡大されても薬価は見直されません。故に大問題としてフォーカスされたのです」(油井氏)
以上の3つの要因で高額となったオプジーボが圧迫するのは国の財政だ。油井氏が指摘する。
「保険財政に危機感を抱いた厚労省や財務省は、2016年度から年間の売り上げが1500億円を超える薬は値下げできるようにするなど、薬価改定のルールを相次いで変更していました。その流れのなかで“オプジーボ半額バーゲン”も実行された」
急激な値下げに猛反発したのは製薬業界だ。日本製薬工業協会の広報担当者がいう。
「新薬の開発には9年から17年の年月がかかるのに成功率は3万分の1しかない。開発した医薬品の知的財産権を適切に保護できないと、継続的な新薬の研究開発が困難になる」
小野薬品工業の担当者は、本誌の取材に改めてこう述べた。
「2018年4月の薬価改定時に25〜50%の薬価引き下げを想定していたため、1年2か月分のマイナス影響はありますが、薬価を決定する公式な会議である中医協での議論の結果であり、今回の決定を受け入れています」
結果、来年2月からの50%値下げが確定した。この決定は、がんに苦しむ患者にとって何を意味するのか。油井氏は、「単に損得勘定だけでない視点」を持つ重要性を説く。
「実はオプジーボは、効く人にはすごく効くが全員には効かない薬とされ、効果が出るのはいまのところ患者の約3割だけです。同様の画期的新薬でC型肝炎治療薬ソバルディなどは1度の治療で800万円かかるけど、治療効果が高い。海外では単に原価が高いか安いかではなく、費用対効果の面から薬価を見直します。日本にもそうした観点が必要です」
高齢化の日本が今回の騒動から学ぶべき点は多い。
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